感動的な再会
魔術っていうのは身体に悪い。二、三回ならともかく、十回以上の連続行使は危険だ。魔素が抜けて力が入らなくなり、吐き気や寒気が襲い、脳みそがぐちゃぐちゃになる感覚を味わうはめになる。そしてそれでもなお使い続ければ、やがて魔力枯渇して死ぬ。
転移は百を超えてから、数えるのをやめた。
出すと決めたガチャと同じだ。限界をぶっちぎってもリソースをぶっ込む。数字を見る必要なんてない。血反吐を吐こうが聴力が無くなろうが知ったことか。
何かを貪る魔物の群をミナゴロシにする。ただの魔物の屍肉と分かって次へ向かう。
物陰を覗くために岩盤を蹴り飛ばす。溢れ出た瘴気を掌圧で吹き散らす。
熱蒸気が噴き出す垂直の崖を駆け上がり、怪鳥の巣を検める。
全身にくまなく浮かぶ文様は魔力循環で光り続け、黒い稲妻のようなオーラはひたすらバチバチと騒ぎ狂い、金色の瞳は血で視界を染めている。
壊れるのは良い。
だがアレが死ぬのは放って置けない。
なぜなら……―――。
「やあ遅かったねゴアっち。でも予想時間はぴったりだ。さすがボクの親友、エディグ山なんか力でねじ伏せちゃうんだね!」
「テメェなんでのんきに山頂で寝てやがるんだコラァ!?」
今まで寝ていた岩の上にあぐらで座り、ちょいと片手を挙げて。
ククリクはあっけらかんと笑って、俺を迎えたのだ。