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四章 エディグ山

「魔術が使えない?」

「ああ、初級魔法すら使えん。どうにも合わん」

「魔術と魔法は厳密には違うものなのだけどね。まあいいや。多分それ、転生者だからだよ」

「……どういうことだ?」

「魂と魔素には深い関係がある。魂から魔素が湧きだし、魔素から魂が生まれると言われてるくらいにはね。分かるかい? 魂がないなら、魔素がないなんておかしいのさ。なのに転生前の君の世界は魔法がなかったんだろ? 君が転生したってことは、魂はあるはずなのに。となるとこれはもう簡単な話じゃないかな。多分、君のいた世界の魂は魔法が使えないよう設定されてるんだ。あ、この場合の魔法は広義の方ね」

「設定……って。いやまて、だが転移は使えるぞ。それに魔力を操ることだってできる」

「そりゃあ、魔族に生まれたなら魔力ぐらい操れないと。魔界で生き抜くために、魔素を魔力として使う力を得たのが魔族だからね。うん、きっと君の魔力を操る能力は魂じゃなく身体に依るところが大きいんだろう。さすがは魔力馬鹿の魔人族。あ、混血だっけ?」

「魔人族の純血は滅びたよ。それで、転移はどう説明する」

「どうもこうも。そんなの分からない方がおかしいよ」

「あん?」

「君の魂、どうやってこの世界に来たってのさ?」

「…………」

「君のだけたまたま設定に不備があったのか、それともわざわざ上書きされたか、どっちかなんて知らないけどね。調べようもないし。けれど、君は使ったのか使わされたのか、転移の魔法でここに来たんだろう。うん、まあもちろん、ぜんぶ与太話、妄想の類だけどね」




「ククリクはいるか?」

 解析班を訪ねた俺の声に、皆は揃って視線を逸らした。オーケー察した。

「今日はどこで昼寝している。軒下か? 自室か? 屋上か? まさかゴミ箱の中ではないだろうな。尻がハマって出られないまま寝ていたのはいつの話だったか?」

「それは二ヶ月と十日前です」

 メンバーの一人がメモを開いて答えてくれる。なんでお前そんなの記録してるの?

「いやそうじゃない。知りたいのは過去じゃなくて今の話だ。あの馬鹿はどこにいるか知らないか?」

「それが……エディグ山です」


 ……なんだと?


「え、死ぬぞ?」

 思わず素になってしまう。だってエディグ山だよ。最大の瘴気発生源、特Aランクの魔物の巣窟、自然の驚異を圧縮して箱詰めしギロチン落としたような超危険区域。

「ですよね……ですが今さっき、探求の魔術の結果が、間違いなく」

 マジか。

「いつからだ?」

「おそらく、昨日の夜からかと……」

 解析班たちの反応からして、目的も詳しい行き先も告げてないと見た。こうなれば問答の間も惜しい。

 速度計算。目的推測。経路予想。

 雑多に候補を絞れば、後は手当たり次第だ。

「手錠と足かせを用意しておけ! 首輪もな!」

 エディグ山へ転移する。



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