3.概要
ロビーには先ほどいなかった三科さんとLakeさん、そして僕の部屋に来たRikoを含め今この別荘にいる全員が集まった。皆下を向いて、ある人は震え、ある人は動揺していた。
「私が見たところ、これは間違いなく殺人事件です」
事情を聴いたであろうLakeさんと三科さんを含め驚きは隠せないようだった。実際にその現場を見た大野さんも、殺人事件であるとは考えたくなかっただろう。
私はあることを思ってロビーの外につながるドアを開いた。風もなく穏やかな外の世界。真っ白な雪は積もりに積もって、目算50cmは積もっている。それは、かなりの大雪であることを示していた。
「私は雪は二時間前に止んでいることを確認しています」
「あぁ、確かに止んでたな」
私はもう一度外の景色を見る。雪には、何の跡もなかった。そう、足跡も何も。
「この雪の状態を見る限り、二時間前以降、つまり午後九時以降にこの別荘に出入りした人はいない。少なくとも足跡を付けないと動けない人間が出入りした形跡はない」
ここまで言って、全員は理解したようだ。この中に犯人がいることに。あまりの驚きにだれも声を出せていない。きっと心のどこかではわかっていただろうが、目の前に真実を突きつけると混乱してしまうのだろう。
「とりあえず、今はみなさんが全員で一緒に行動しましょう。そして本当の真実を見つけてやりましょう」
この雪の状況では警察が来るのは当分先の事である。探偵という肩書きを持つのだから、ドラマのように事件を解決してやりたい。
反対意見が出るかと思ったが、誰も自分の意見に刃向わず賛成してくれた。皆、白鳥さんの無念をみんな晴らしてやりたいのだろう。白鳥さんをその手にかけた犯人を除いて。
「まずは、凶器を探すことではないでしょうか」
結束したからと言って、何もやることがないと無駄である。取りあえず私はやることを決めることにした。
「外は雪で覆われていて、外には足跡がないことから刃物を捨てるとしたらこの館内の可能性が高いです」
「窓から投げ捨てたとか?」
三科さんは疑問を投げかける。しかしながらこの別荘に詳しい大野さんは「それはない」と言う。
「この別荘の窓はほとんどがはめ込みだ。お風呂なんかもそうだ。で、部屋とかにある窓も、窓こそ開くけど網戸がはめ込みになっていて、窓から何かを投げようとか出入りをしようとしてもできない。台所にも勝手口があるんだが、そこは基本的に開かなくて、料理なんかを大量に運ぶ時だけ開けるそうだ。いつも鍵がかかってる。つまり網戸を破らない限り外に物は投げれないんだ」
「後非常口とかもあったわね。でも、危険防止からかもしれないけど、全部ドアノブにカバーが掛かっててそのままだと開かないよね。カバーを壊さないと開かないから、仮に外に出たら何か証拠が残るわね」
Lakeさんが言ったようにこの別荘には何個か非常口がある。自宅に非常口がある家がこの世界に何個存在するのか。しかも別荘に。という驚きはは置いておき、、凶器はほぼ確実にこの別荘の中にあるはずということになる。
「あともう一つ。現場の状況から、犯人は大量の血を浴びてるはずです。なので当然血まみれの服が存在しなくてはなりません。赤い服とか黒い服なら見分けはつきづらくなるかもしれないですが、大量に血が付いたら洗ったところで落ちないはずです」
つまり、凶器と血まみれの服がこの別荘に必ず存在するはずなのだ。
「でも、もしかしたら外とかに捨てられてるかもしれないから、近場だけでも外で探す奴が必要だと思うんだ」
佐中さんが提案する。私も一応の事を考えてその意見に賛成した。中は私と大野さんとLakeさんとMiko、外は佐中さんとRikoと三科さんで調べるということになった。




