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中継

作者: そらまめ堂

前置く事など何もない。現実とは常に前置かれずに立ち現れる。

気づけばかしこまった猿の話になっている。増田さんはかしこまった猿の話をしている。かしこまった猿の話をするはずではなかったのに、かしこまった猿の話をしている。テレビの画面には《電話;増田さん》と表示されており、しかし画面の中の男は寺の住職か住職のコスプレを着た頭の禿げ上がった男である。増田さんはなぜ話しているのか。なぜかしこまった猿の話をしているのか。そしてこの住職っぽい男はだれなのか。それに加えて増田さんはかしこまった猿など、知らない。急に「ドイツのライプツィヒ」というテロップが流れ始める。増田さんはかしこまった猿の話をしているのか。それとも肉まんについて話しているのか。増田さんはドイツの「ライプツィヒ」には行ったことがない。禿げ上がった住職はライプツィヒの埴輪を知らない。禿げ上がった男は住職かは判らない。増田さんは住職ではない。増田さんは禿げ上がった頭かは判らない。埴輪はライプツィヒではない。画面のテロップは驚異のメカニズムかも知れない。埴輪は禿げ上がった住職かも知れない。住職は埴輪かも知れない。猿はどうしたんだ。かしこまった猿はどうしたんだ。「望楼からの眺め」というどんくさい絵。しかし、その絵とかしこまった猿には一切の関係がない。住職っぽい禿げ上がった男は斉藤さん、という名前かも知れない。だが高橋さん、でないとは言い切れない。高橋さんかも知れない男は住職でないかも知れず、高橋さんではなく冴え渡った猿かも知れない。埴輪は猿でもあり、ライプツィヒは斉藤さんではない可能性もあると考えれば高橋さんは僧侶ではなく、メカニズムは増田さんを裏付ける唯一の手がかりかも知れず、唯一がどうして「ゆういつ」と読めてしまうと考えるのかといったところで伸びたり縮んだりしています。残された鼻血は山田さんかも知れない。


後に残るものも全くない。物語は常に突然終わる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 実は論理的であり、かつ混乱させるところがよい [気になる点] 作品の目的がわかるとそれ以上なにも見出だせなくなる [一言] こういう試みは小説の可能性を拡げるので面白いです
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