オレンジ
僕の家は大学の最寄り駅から2駅先のところにある。
簡素な住宅街が立ち並ぶこの街は、目立った建物はないけれど、コンビニや中型のスーパーなどがあり、生活に困ることはない。
僕と彩は、家の近くのスーパーで夕食の食材を買い、住宅街を通り抜けていく。
僕はこの帰り道が好きだ。
一軒家の屋根は夕陽に照らされ、秋の少し冷たい風が、僕の肌の上を滑っていく。
ちなみに、春は春で暖かな風が吹き、夏はさわやかな、肌にまとわりついた汗を乾かしてくれる風が吹く。冬は、心底冷たい風が、僕の足元から頭のてっぺんまでを凍りつかせる。
どれも、僕の好きな風であることは間違いない。
「なに笑ってるの?」
僕の少し前を歩いていた、オレンジ色のした彩が振り向いて小首を傾げる。
「いや別に」
それでも、僕は顔に張り付いた微笑みを消すことができない。
「ふーん」
彩は、体を前に向き直し、両手を体の後ろで絡ませる。
「ところで、今日は康平さんはいるの?」
と、彩は僕に問う。
康平さんとは、僕と一緒に暮らす(僕はルームシェアをしているのだ)大学3年生だ。そして、僕の幼馴染だ。家が近く、よく遊んでいた。
康平さんは、上京して、大学1年の時は、1人暮らしをしていたのだけれど、僕も上京すると決まった連絡すると、真っ先にルームシェアをしようと言ってきた。
家賃がどうのこうのというよりも、私生活が荒い康平さんは、すぐにお金を使ってしまう質で、一人暮らしの時には電気代・水道代未納で止められたこともあるほどらしい。そこで、(康平さん曰く)真面目な僕と住むことで、それを解決しようということらしい。
「今日は夜勤だから、帰ってくるとしても、明日の朝だと思うよ」
「そっか」
僕らは立ち止まる。
外壁は白で囲まれた何の変哲もないマンションに、僕らは入っていく。
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