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優しい女の子
そんな僕を見て、玲はクスッと笑う。
「何びっくりしてんの?」
「別に」
「早く食べないと冷めるよ、カレー」
前を向くと彩が座っている。
冴えない僕を、根暗な僕を好いてくれる女性。
斉藤綾。
目はぱっちりしていて、髪はショートカット。活発な女の子だ。
――どうして僕なんかと付き合っているの?――
そう聞くと、彩は怒り出す。
「玲!」
周りから彩を呼ぶ声が聞こえる。
可愛らしくて、優しくて、元気のある彩は、異性を問わず人気がある。
玲は、声を掛けた女性に手を振り返したあと、僕の方に振り返り、じっと見据える。
「ほら、そろそろ3限始まるよ」
そう聞き、周りを見渡すと、混んでいた食堂が、空いてきていた。
「あのさ、僕はどこにいるんだっけ」
僕は彩に尋ねる。
彩は、机に両肘をつき、頬杖をついて、目を細める。
「大学」
授業開始の鐘が鳴る。
「ああ、そうだった」
僕は、机の上に置いてあるカレーをスプーンですくう。
誰もいなくなった食堂で、彩だけが、僕を優しく見ていてくれた。




