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オモイデ
よろしくお願いします。
森崎弥生。僕はその名前を最近になって思い出した。
小学生からの幼馴染で、小中高と同じ学校であった。彼女は僕のことを「ヒロ君」と呼んだ。僕は彼女のことを「弥生ちゃん」と呼んでいた。
僕らは、学校の中ではあまり話したりはしなかったものの、下校の時は必ず一緒に帰った。家が近かったこともあったが、それよりも、僕らには友達というものが存在しなかった。
いや、友達なんて必要としていなかった。と思うのは、きっと僕の方だけなのだろう。
なぜなら、彼女は美人であった。
それも、憎たらしいほどの美人であった。
そのせいで、そのおかげで、異性には高嶺の花と見られ、同性には、妬みの権化と化してしまっていた。
僕は、そっと目を閉じる。そして、彼女の幻影を探し始める。
濃紺のスカートから見える、白い2本の太腿。
彼女は制服を着ている。
彼女の細い両腕は、脇にだらんと垂れている。
彼女の体がこちらを向く。
彼女の大きくはない胸がこちらを向く。
ワイシャツの上ボタンの二つが外れ、チラリと見える黒いブラジャー。
遅れて、肩より少し下まである、黒髪が風になびくようにやってくる。
彼女の顔……
「おい!」
僕の肩がビクッと震える。
お読みいただき、ありがとうございました。
次話もよろしくお願いします。




