追いかけ人
僕は、電車を乗り継いで、僕の地元へと帰ってきた。
元々、一人暮らしに憧れて、親に懇願しただけで、地元とはそこまで遠くない所に住んでいたし、時間も1時間くらいだった。快速だったら、もっと早かったかもしれない。
僕は、その足である場所に向かった。
それは、自分の家ではなく、その隣の隣。森崎弥生の住んでいた家だ。
驚いたことに、2年前と変わらず、そこは未だに売りに出されていた。
僕は、2階の窓を見上げた。
彼女はよく、窓際に腰かけ、本を読んでいた。
僕は、そんな彼女をじっと眺めていた。
そうすると、彼女は僕に気づいて、淡い微笑みを返してくれた。そして、こう僕に言った。
「どこか行くの?」
僕が行く場所は、近くにある公園か、図書館くらいだったので、そのどちらかを僕が答えると、彼女は少しだけ考えて
「私も行っていい?」
と僕に聞くのだった。
僕が、小さく頷くと、彼女は5分くらいしてから、外に出てきて、僕と一緒にその日を過ごすのだった。
そんな青春の思い出に、僕が浸っていると、僕の後ろで足音と吐息を響かせながら誰かが、元い、何かが駆けていった。
誰かと思い、僕が振り返るとそこにはもう誰もいなくて、先の方に男子高校生が走っていくのが見えただけだった。
僕は、その男子高校生を歩いて追いかけた。追いかけている人物が、人であるのか分からなかったが。
男子高校生は、すでに見えなくなっていたが、彼が行った先を歩くと神社があった。
彼女との思い出の神社。鷲崎神社が。
僕は、そこの石段の前まで近づいた。
あの夢は現実だったのだと分かった。
まるで、地面から水が湧き出るように、彼女と約束した、あの日の思い出が甦ってくる。
ただ、依然として、僕の高校時代の思い出は戻っていない。彼女との思い出も、この神社での思い出しか甦らなかった。
僕は、誰もいない神殿に向かって言った。
「僕は、君との約束は果たせそうにない」
でも、その言葉は、ただ僕の顔の前にある空気を響かせただけで、何の意味も持たなかった。
これではダメなんだ、僕は元から分かっていたことを口にする。
僕が、一つため息をつくと、僕のポケットが震えた。
ポケットから、携帯を取り出し、耳に当てる。
すると、今にも泣きだしそうな声で、彩は堪えながら、何かを押し込みながら叫んだ。
「今どこ!」
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