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姫毎

夢姫

作者: momo
掲載日:2015/05/23

澄み渡る空の下で私は君に腕をのばした。

君に触れたいと思って、存在を確かめたいと思って、腕を伸ばした。

私の腕は空気に溶けていく君の希薄になった存在をすり抜けた。

私は勢い余って倒れ込んでしまった。

碧い方の目から雫が目尻を伝って流れ落ちた。


夢から覚めるだけなんだと君は言っていた。

夢ってなに?君は誰かの夢だったの?

私の気持ちは?胸がこんなに熱いのも夢だったの?


君は私にとても多くのモノをくれた。

あの場所にまた行こうって言ってくれたのはなんだったの?

君はこうなることを知っていたの?知っていて私に秘密にしていたの?


あまりにも唐突なお別れだった。

もう君のぬくもりに触れることはできないの?

もう君の存在に触れることはできないの?

もう……会えないの?


私は力が抜けてしまったからだに、もう一度だけ力を込めて上体を起こし振り返った。

そこに君はもう居なかった。


今でも鮮明に思い出すことができるんだ。

君の温かな体温。君の太陽の様な笑顔。君の私を呼ぶ指笛。

一緒に食べたアイス。一緒に泳いだ湖。一緒に歩いた道。

大きな瞳。絡めた指先。柔らかな口づけ。


全てが夢だったっていうの?

全てが嘘だったっていうの?

ねえ、教えてよ。

ねえ、教えてよ!

私は必死で君を呼んだ。


夢ってなに?

君は誰かの夢だったの?

私の夢ではないの?

もう会うことは叶わないの?

どうすればいいの?

どうしたらいいの?

行き場のない気持ちは、こぶしを強く強く握りしめることしかできなかった。


……夢から覚めるだけだと君は言っていた。


私は君が溶けていった空を仰いだ。爽やかな青空とは対照的に私の心の中はグシャグシャしていた。いつまでも幸せな夢の微睡の中で泳いでいたいと思った。

指先を唇ではさみ、ほんの一抹だけの希望を胸に、最後にもう一度だけ君を呼んだ。

鳥の鳴き声のような私の悲鳴は大きな空に飲まれて消えていった。

これまでの出来事がまるで夢だったかのように消えていった。


君はいつまで経っても夢に再び落ちてくることはなかった。

形のない大切な大切な記憶の欠片達は、君を模倣することでしか保てなくて。

私はバカみたいに君を思い出した。もういない君の背中を追い続けたんだ。

君を思い出す度に胸が苦しくなったんだ。本当に苦しかった。

だけど、その先には君がいるとおもったから、君を追いかける道は君に繋がっていると思ったから、耐えることができた。

何度も、歩みを止めてしまおうかな?なんて思った。その方が楽になると思った時もあったから。

だけど、足が止まりそうになると大きな不安が私を覆ったんだ。その不安はとても大きくて、とても暗い感情だった。私は怖くて走り続けたんだよ。ただ一つ、道のずっと向こうの柔らかな光を求めて。

まるで悪夢のような夢の世界を駆け抜けた。

君はいつ戻るのかな?

心の叫び、私の不幸を嘆いています。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは、momoさん!夢姫。儚くて幻想的なのに苦しいお話ですね。「私」の不幸で孤独な叫びは胸がきゅーっと締め付けられます(>_<)momoさんのお話は悲しくも儚い強い気持ちを表した素敵な…
2015/05/30 18:58 退会済み
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