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第一話 リソウの彼女

初投稿です。

突然だが俺、次元真理(じげんまこと)の趣味の話をしよう。俺は二次元を今宵もなく愛している。初恋も二次元だった。自分で理想の彼女とイチャつく妄想小説を書くくらいには愛している。だがそんな俺の前に二次元...もとい俺の理想が同時に三人、現実に現れた時、俺は普通にいられるだろうか。


「ッハ!転校生の気配がする」

高校二年生の四月。既に四月は終わりかけているが四月だ。真理が突然前の席に聞こえる声でしゃべった。

「お前、中学の時からずっと言ってるよな」

前の席に座っているのは日本で一番多い苗字こと佐藤(さとう)だ。下の名前は(しょう)。真理の中学の時からの親友だ。性格がいいのでクラスにもすぐ馴染むだろう。というかもう馴染んでいる。ちなみにプロの漫画家でもある。絵は下手くそなので真理が描いているが物語の構成は将が作っている。それなりに売れていたりもする。一応クラスメイト全員に隠している。その方がかっこいいから。

「バカヤロー。新学期と言えば転校生だろ。こんな萌えシチュに憧れない馬鹿はいねぇ!」

「あっそ。もう4月は終わりかけてるけどな」

真理の熱弁に対して三文字プラス迎撃で済ませた。

「理想を言えば銀髪...いや黒髪も捨て難いな。いやここはあえて金髪か...」

一人で何やらブツブツ言っている。

「性格としては...真面目系は面倒くさいけど美人が多いよな。ツンデレは王道だし。待てよ、天然もありだな」

「お前さっきからうるせぇ」

流石に怒られた。五年目の将でもうるさく思うらしい。

「はーい席つけー」

先生が教室に入ってきた。もうSHR(ショートホームルーム)の時間だ。

「お前ら、落ち着いて聞け」

担任の先生が深刻な表情で皆に伝えた。全員が固唾を飲む。

「ま、まさか...」

「んなわけねーだろ」

「デスヨネー」

そんな淡い期待を込めながら先生の言動に注意する。

「転校生を紹介する!」

わっと教室中がザワつく。

「えっ...マジ?」

将は開いた口が塞がらないといった様子だ。

「きちゃー!!激アツ展開!...けどどうせ現実の女子なんて可愛くないんだ...しかも男子の可能性だってある...」

喜んだ後、自分で萎えるのは意味がわからない。本当に何がしたいのだろうか。

「せんせー女子?」

ある女子が先生に聞いた。

「先生は女子だ」

確かに担任の先生は女性だ。余談だがかなり美人だ。校内の人気もトップレベル。

「そういうことじゃなくて。転校生は女子?」

「ああ、女子だ。喜べ男子共。しかも三人!」

これを聞いてもちろん教室はザワつく。そして真理はと言うと

「上手く行き過ぎだ...これは夢ではないことは確定している。つまりそんなに可愛くない女子ってことだ」

「冷めてんなぁ...」

将も呆れる。あんなに興奮していたのが嘘のようだ。

「俺は二次元専門なの」

じゃあ最初から期待するなよと思ってしまう将。

「じゃあ入ってきてー」

全員が前のドアに注目する。ガラガラ。ドアが開き入ってきたのは綺麗な黒髪ロングの美少女と見入ってしまうような銀髪ボブの美女、さらに周囲の目線を集める鮮やかな金髪ツインテールのロリ系だった。

「「おおぉ〜」」

教室にいる全員がその容姿に思わず声が漏れてしまっていた。

「じゃあ自己紹介してくれ」

担任が言うと黒髪ロングの美少女が一歩前に出て

一澪(にのまえみお)だよーみんなよろしく〜」

陽キャ感を感じる自己紹介をした。次に銀髪ボブの美女が出てくる。

二相(したながあい)です」

名前だけで簡素な自己紹介だ。最後は金髪ツインテールのロリだ。

三紫(みたびゆかり)よ。よろしく」

少し女王様っぽい雰囲気の自己紹介だ。

「おい、あの三人だったらお前でも好きになっちゃうんじゃねーの?」

将が真理に小声で言う。

「どうだろうな。結局は性格が大事だよな」

「そうだよな。まぁ俺の彼女が一番可愛いってことは言っておく」

急にノロケてきた。非リアからすればうざい。

「ちょっと!恥ずかしいこと言わないで!」

右斜め前にまで聞こえていたようだ。彼女の名前は九条羽愛(くじょうゆあ)。将の彼女だ。ちなみに誰にでも優しく人付き合いがうまいので漫画の担当者さんへの売り込みなど、商業関係などは彼女が担っている。あと女性の体を描くのが苦手な真理の手助けをしてたりもする。主にモデルとかをして。もちろん協力してもらう場には将の厳しい監視がついている。

「新学期早々熱々だな」

周りの席の奴らが冷やかしてくる。

「さて、ではいきなり席替えを行う。理由は...転校生が三人も来ていちいち席を決めるのが面倒くさいからだ!異論は認めん!」

誰も異論は無いと言った様子。ただ一人を除いて。

「羽愛の近くになれない可能性が...」

と言ってはいるがくじ引きなので交換してもバレない。ただそれが面倒くさいだけだった。つまり実質異論は出ていない。

「じゃあ転校生組が引いた後、出席番号順に引きに来い」

転校生三人が引く。澪が34、一番左の一番後ろ。相が28、左から二番目の後ろから二番目。紫が32、一番右の後ろから三番目だ。ちょうど転校生三人の間に一人いる。誰が33を引くのだろうか。

「そうと決まれば話は早いだろうね」

「全員がそこを狙うんだろうな。俺以外。俺はもちろん26だ」

羽愛が31を引いていた。つまり26が羽愛の隣ってわけだ。

「誰になるかはわからんがラブコメパートのレパートリーが増えそうだな」

一人だけ漫画的観点から話をする真理。

「そういうとこだよなぁ、顔はいいのにモテない理由」

「それ関係ないだろ」

「まぁまぁ、とりあえず引きに行こうぜ」

くじ引きの時間だ。無駄にあ行がクラスに多いせいで前のやつらの時間が長い。前のやつらはまだ33を引いていない。

「ここでロマンス小説だったら...お前みたいな感じのやつが引きそうだな」

今度は将が小説的視点で話をした。

「んなわけないだろ。ちなみにお前は...」

将が引くのを真理が見る。

「25だ。羽愛の隣〜」

ご機嫌だ。

「そっか。じゃあ俺が引くぞ」

素っ気なく流す。

「おい!雑だな。お前なんか33引けばいいんだ」

「どうせ33にはならんだろ。これで引いたら終わりだ」

と言って自信満々に引く。結果は

「...33だ」

散々フラグをたてて回収した。

「ッフ。むしろ清々しいぜ。流石は俺」

もう諦めたようだ。人間は絶望しすぎると冷静になる。そして残りは消化試合のようになり特に盛り上がることもなく全員が引き終わった。

「そうそう」

突然先生が喋りだした。

「今回の席替え、くじ交換は禁止だから」

「「...ゑ!?えー!!」」

クラス中から文句が飛び出る。

「先生っ!それはおかしいです!」

「そうだそうだ!一年生の時はありましたよ!」

「うんうん、どうでもいいぞー」

バレないように野次を飛ばす将。もちろん誰も気づかない。

「まぁまぁ...気にすんなお前ら。転校生が混乱するから避けただけだ。多分。次からはやるぞ」

まぁそれならといった感じで静まる。

「じゃあさっさと席移動しろ」

「はーい」

真理の前が紫、隣が相、後ろが澪だ。ちなみに将たちは羽愛が紫の前でその右が将となっている。

全員が移動し終えると真理一人だけテンションが地に落ちている。

「よろしくね」

澪が後ろから挨拶してくる。

「ん...俺、次元真理」

女子ウケしない名乗るだけの簡素な挨拶だ。

「えーっと...なにか趣味とかある?」

どうにかして会話を繋げようとする。

「漫画」

先程と同じように簡素だ。

「...」

沈黙が続く。

「ちょっとあなた!相手が話しかけてくれているのにその態度はなんですか!」

真理の態度が気に入らなかったらしく隣の相が言ってきた。

「生憎俺は三次元と必要以上になかよしこよしするつもりはない」

将と羽愛とだけ関わればいいと思っている。

「友達いない奴の言い方じゃん...」

前の紫が皮肉ってきた。

「友達なんていらんだろ。俺は将と九条とだけで良いんだよ」

「お前...そういうとこだぞモテない理由」

相の二つ前の将が言ってきた。

「だ、か、ら、モテなくてもいいんだよ」

何度も言うが真理は二次元専門なのだ。

「そもそもお前らと関わらんとは言ってないだろ。まぁどうせそうなるだろうが...」

「もう手遅れね」

相が気づいたようだ。ちなみにこのクラスでは全員がこの事実に気づいている。だから真理と話せている将と羽愛は尊敬されてたりもする。

「早く帰りたい...」

(いきなり変な奴に絡まれたし...)

朝のホームルームが終わったばかりなのに早くも泣き言を言う真理。

「今日はアレか、お前の推しのライブか」

「That's right!今日だけは手伝わんぞ」

しょうもない理由で仕事をしない相方に対して

「わかってる」

と返事する漫画家。まぁそうじゃないとやっていけないだろう。

「原稿にまとめとくかぁ...」

「文字で頼む。お前の原稿見にくい。絵が下手すぎんだよ」

一種の芸術とも取れてしまいそうなほど下手だ。

「えー...」

まぁ自分から仕事を増やすような真似はしないだろう。以前もプロットで提出してきたが結局は文字に起こさせた。

「じゃあそろそろ並ぶぞー。言ってなかったが今日はみんなが待ちに待った全校集会だ!お前らが体育座りでお尻を痛くしてる中、先生達は体勢を変え放題!最高だな」

先生がみんなに喧嘩を売る。

「ふざけんな!」

「連絡事項くらいちゃんと言え!」

「先生も体育座りしてくださいよ!」

「学生の内にやったからいいんだよ!ほらさっさと行け。あと各クラス二列だからな」

渋々、みんな廊下に出て歩いていく。

集会にて。

(ではおやすみ〜)

すぐに眠りにつく。

(集会なんてクソみたいなことやってられるか。いつもと同じく睡眠の時間にしてやる)

だがしかし

「起きてください」

隣から早速起こされる。でも無視する。

「起きてください」

無視。

「起きてください!」

無視。

「いい加減に…」

「いいか?」

怒りの言葉を発しかけた相に対して不機嫌かつ被せ気味に口を開いた。

「人には誰しも譲れないモノが幾つかはある。俺にとってはそれが睡眠なんだ。それにお前が見ず知らずの俺に構う必要なんてないだろ。高校生にもなってそんなこと言ってくるしょうもないやつなんていねーよ。周り見てみろ」

明らかに寝ている真理が悪いのにあたかも相が悪いように言う。

「う…」

言い返せない。周りにいる人たちも特に寝ている者を咎めたりはせず、ぼーっと話を聞いているフリをしていた。あと何人かは寝ていた。そしてその後は真理が余計なことを言ったせいで地獄のような空気感だった。こんな場からはすぐに逃げ出したいと思うほどに。

(めんどくせー)

自分に非があるのはわかっている。だからこそめんどくさい。

「自業自得だ」

前から将が悪い笑顔で言ってくる。

「うっざ…」

朝から最悪の気分だ。せっかく今日の放課後には楽しい楽しいイベントがあるのに。

「では各学年、団長先生の指示に従ってください」

憂鬱な気分でぼーっとしていたらいつのまにか周回が終わっていた。

「じゃあ二年はさっさと教室に戻るぞ」

なるべく転校生組とは目を合わせないように戻る。

「じゃあ休み時間な。一応言っておくが一時間目は数学Bだ。準備しとけよ」

と言って先生は去っていった。

(どうしよっかなー)

三次元に興味はないとはいえ、流石に周りでこんなに落ち込まれるとやりにくい。とりあえず将の席に行く。

「二さん、あいつはいつもあんな感じで女心が分かっていないクズだからアイツの言うことは基本的にスルーでいいよ」

「…はい」

完全に元気がなくなっている。まぁあの様子から察するに今までの自分を否定されたような感じなのだろう。周りの人間...特に女子からの視線がかなり痛い。

「あーあ女の子泣かせちゃった」

羽愛が触れてほしくないことに触れてくる。

「うるせぇ。泣かせてない」

一応相には聞こえないように小声で喋る。これで聞こえてたらかなりめんどくさいことになる。

「思いっきり泣かせてるじゃん」

「一、そういうことは大きい声で言うな」

少しは空気を読んでほしい。

「アンタって結構最低…」

紫にゴミを見るような目で見られた。

「知るか。三次元なんてどうでもいい」

「キモ」

そんなことを言っても真理にはノーダメージ。

「でもさ、朝に次元があーいう系の子の話してなかった?金髪がどうのこうのとか銀髪が...みたいなさ」

羽愛が朝の出来事を思い出す。

「えー...本当にキモいんだけど。やっぱこういう奴ってのはどこにでもいるものなのね」

「そういうもんだ。諦めて俺みたいなやつとは関わらないことをおすすめする」

「...」

てっきり言い返してくると思っていたが黙り込んでしまった。

「どうした?」

反応がない紫の顔を覗き込む。

「別に?ただ...私が探してる人もアンタみたいな感じの雰囲気の人だからもしかしたら知り合いかもって...まぁアンタとは性格も真反対で優しい人だけど...」

「お前が探してる人がピンポイントでこんなとこにいるわけないだろ」

「この学校にいるっていう噂が流れてるのよ。それにオタクって【さんちゃんねる】だっけ?みたいなのでほとんど繋がってるんでしょ?」

「アホか。そんなわけないだろ」

高校生にもなってそんなことを言う奴がいるとは夢にも思わなかった。

(コイツ、口調が強いくせに何もわかってないポンコツ系の人間か...)

「ってか探してる人が俺みたいな感じなんだったらキモいとか言うな」

「あの人には言わないわ。あの人だけじゃなくて誰彼構わずは言ってないわ。ただアンタは素直にキモい」

「はぁ?」

キレそうになるのを堪える。同じ轍は踏みたくない。

「おーいそろそろ席につけー。授業すんぞー」

頑張ってイライラを消そうと深呼吸していると先生が入ってきて初授業が始まった。

自分の理想の高校生活を書いていく予定です。多少変なとこはあると思いますが温かい目で見てください。

投稿は不定期です。

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