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夏のホラー参加作品

思いだした!


春に入学した大学が夏休みになったんで帰省して高校時代の友人たちと卒業した高校がある街で遊んでたら、遊び過ぎて最寄りの駅に着いたのはもう直ぐ丑三つ時になるって時間。


タクシーはこの時間だと飲み屋街の方に行ってしまっているのか、駅前には1台も停まって無い。


もっともタクシーが残っていても乗って帰る金なんて残ってなかったけどな。


うちの町、戦国時代末期に滅んだ豪族が治めてた町だっただけに城の防御を兼ねていた寺が多数あって、駅から家がある旧市街地に向かうには多数ある寺の墓地の前を通らなければならないんだよ。


嫌だなー怖いなーなんて思い旧市街地に向けて歩き出すのを躊躇っていたら、後ろから肩を叩かれ声を掛けられる。


「ヨ! 久しぶり」


振り返り声を掛けて来た奴の顔を見たら進学した高校が別で付き合いが途絶えたけど、中学時代は仲の良かった同級生だった。


「オウ、久しぶりだな、お前も今帰りか?」


「ああ、って、お前こんなところに突っ立ってどうしたんだ?」


「墓場の前を通るのが怖くて……」


「ハハ、そう言えばお前昔から、怪談とか幽霊とか駄目だったもんな。


途中までだけど一緒に帰ってやるから行こうぜ」


「本当か、頼む、ありがとー」


友人と肩を並べ取り留めのない事を喋りながら旧市街地に向けて歩く。


墓場に囲まれている道の真ん中辺に来たとき友人が、「あ、此処でお別れだ、じゃあな」と言った。


「エエー! こんなところで見捨てるなよー」って言い返しながら友人の方に目を向けたら、友人の身体がどんどん薄くなり消えて行く。


墓場に囲まれた道の真ん中に1人取り残され、友人が消えた場所を見続けながら俺はある事を思いだしていた。


消えた友人は去年の夏、成績が伸びない事を苦にして駅のホームから電車の前に飛び込んで亡くなっていた事を。









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― 新着の感想 ―
[一言] 友人の心根が亡くなった今でも見守ってくれてるんですね~。 この場合、主人公はどう思うんだろう? 感謝なのか、怖いなのか?
[良い点] 墓場に囲まれたところ、ものすごく恐いと思います。私だったら一人じゃぜったい通れません。 この幽霊の友人。 自分が死んだ駅のホームに行っての帰りだったのかもしれませんね。
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