○○○○はランドセル!?
第四回なろうラジオ大賞参加作品第十八弾!
「ゲファファファファッ! 怒りのままに暴れ狂え、怪人シャチクジラよ! 東京を大混乱に陥れるのだ!」
「シャッチャー!」
突如日本に宣戦布告した謎の組織『クライゾネ帝国』は手始めに、鯨と拉致した社畜を掛け合わせ生み出した怪人を東京に放った。警察だけでなく自衛隊まで駆り出されたが、怪人を止める事は不可能だった。
このままでは東京が彼らの拠点として制圧されてしまう!
果たしてこの危機を救ってくれるヒーローはいないのか!?
「だ、誰かぁ」
そしてそんな混乱の渦中にある東京の中で助けを求める声があった。
避難の途中にあった青年こと吉田は、思わずハッとして声がした方を見る。
見ると怪人がビル壊して出来た瓦礫に挟まれて動けなくなっているJSが!
「だ、大丈夫か!?」
吉田はすぐに駆け寄った。
自分の身も確かに大事だがここで子供を見捨てては最低な人間だろと、心の中のもう一人の自分に言われたためだ。
そして吉田は瓦礫をどかそうとするが、吉田だけではどうにもならない。
「す、すみません、そのランドセルのキーホルダー、取ってもらえませんか?」
するとその時、少女は変な事を言った。
見ると確かに、少女の手の届かない場所に小型のランドセル型のキーホルダーがあるが。
「こんな時に何言ってるんだ!」
「すみません! 時間がないんです!」
吉田の質問に対し、少女は泣きそうになりながらもそう返す。
そしてそんな少女の視線に、吉田は耐えられなかった。
どうしても少女が、自分より先に結婚した姉の娘と重なり構いたくなる。
「ああもう! はいこれ!」
そして吉田は、少女にそのキーホルダーを渡した……その時だった。
少女の身動きを封じる瓦礫が元々あったと思われる、半壊しているビルがさらに倒壊を始めた!
「うわぁ!」
叫ぶ吉田。
このままでは死ぬ!
しかしこの危機を救う女神は存在した!
「マジカルハピネス、アープッ!」
ランドセル型キーホルダーを手に、少女は叫ぶ。
すると次の瞬間……信じられない事が起こった。
なんと少女が手にしたキーホルダーが突如発光。
その光が少女の体を包み込み、瓦礫を吹っ飛ばすと……なんと少女の体が中学生並みに大きくなり、服装が、フリルなどがあしらわれた謎衣装に変わり、さらには髪型や目の色まで変わったのだ!
「正体バレたけれどしょうがない! 人の命にはかえられない! みんなの明日を奪う悪の組織追いかけて、魔法少女アヴニールここに参上!」
そして、新ヒロインは降臨した。
○○○○には変身装置、が入ります。
クライゾネ。
スペルはCRY SONNE。
英語とドイツ語の組み合わせで『泣き叫ぶ太陽』という意味合い。