スポーツにおける違法性阻却とは ~シバターのブレイキングダウン批判を考察する~
作者は法律の専門家では無いので、間違いがありましたら申し訳ありません。
過去判例などを参考に考えておりますが、解釈の間違いなどがあるかと思いますし、また、分かりやすくするため、かなり砕けた文体のため、細かな部分でおかしい所がありますが、ご容赦ください。
先日、ネット記事でシバターが朝倉未来がスーパーバイザーを務める格闘興行、ブレイキングダウンについて批判しているというのを見まして、久々にYouTubeのシバターのチャンネルを見たんですね。
で、肝心の内容は動画前半から中盤までは朝倉未来の餅撒きイベントに参加したさいの炎上に関する分析をしていて、後半にブレイキングダウンのたしか第4回目の興行の中でへずまりゅうを起用したことと、青汁王子が重傷を負ったことについて批判しているものでした。
まあ、動画を見た感想は、信者に囲まれて裸の王様になりがちな朝倉未来に対して、「お前、いま裸だぞ」と批判の体で指摘してあげて、アンチ含めて再生数を稼ぎつつ、バランスをとる。朝倉未来もまた、それで軌道修正しながらネタに出来てアンサー動画などで再生数が稼げると、上手いことWinWinな関係なんだなと思ったんですよ。
そんな二人の関係は兎も角として、ブレイキングダウンに対しての批判を纏めると以下の点だと思うんですね。
元迷惑系YouTuberで最高裁にて有罪が確定し、執行猶予中のへずまりゅうを起用したこと。
素人同士を闘わせて格闘技と銘打ち、あまつさえ怪我が発生する事態になったこと。
この2点ですかね。へずまりゅうの起用については過去に襲撃されたこともあるシバターなので、それも含めての恨み節もあると思いますし、今やYouTubeで永久垢バン状態のへずまりゅうが稼ぎの場として格闘技を選んでいることに対しては「本人がきちんと努力して結果を出す」なら問題ないとは思っています。
現状ではヒールに徹しているというよりは単純に楽に儲けるためのツールに利用している感が否めないので批判も仕方ないようには思いますけどね。
そして、本稿では2つ目の「素人を格闘技と銘打ち闘わせる」「素人に大怪我が発生している」という点について、シバターの考えていることの考察、及び実際にこれが格闘興行においてどういった問題となりうるのかを考えてみます。
さて、ではここからは久々登場、奴隷乙博士とテン助ちゃんの会話でお贈り致します。
「久々ニャ」
「うん、次があるかはわからないけどね」
「そう言うことは言っちゃダメニャっ(=☆ω☆=)」
「ハハハ( ´∀`)では、やっていこうか」
「はいニャ。今日はどういう風に話していくニャ」
「まず、スポーツにおける違法性阻却について」
「ふんふんニャ(。-_-。)♪」
「次に危険の引き受けの限界について」
「ほうほうニャ(。-_-。)♪」
「それを踏まえてシバターの発言を考察してみるよ」
「わかったニャ(´ω` )b」
「博士、スポーツにおける違法性阻却っなんニャ」
「うん、スポーツではやっている選手や楽しんでいる参加者、観覧者を含めてプロアマ問わず、基本的に事故が発生した場合の怪我などの法的責任を問わないんだ。このことは法的な違法性が阻却されている。簡単に言うと違法性のある行為でもスポーツなら違法じゃ無くなることがあるんだ」
「なんでニャ(-ω- ?)」
「スポーツでは参加者は勿論、観覧者もその競技のルールやそれに則った参加者のプレイから発生する危険を意識するかどうかはともかくとして、認識していると考えるんだ」
「モータースポーツなら、ハンドル操作を誤って観覧者に突っ込むとか、車同士ぶつかるとかニャ」
「そうだね。その際に発生した損害については選手個人に責任を問わない。選手たちも観覧者も『モータースポーツのアクシデントとして、事故が発生する危険性』を認識した上で見ているし、参加しているという前提で、彼らが『危険の引き受け』をしているとするんだ」
「危険の引き受けニャ(-ω- ?)」
「例えば僕が運動会の大玉転がしに参加したとしよう」
「おお、あのでっかい玉をみんなでコロコロするやつニャ。おいらもあの上に乗ってみたいニャ」
「乗っちゃダメだよ(^ω^) その時に大玉の下敷きになって怪我をするリスクや手を滑らせて転んで他の人に踏まれる可能性があるよね。観てる側も大玉が間違って転がって来て怪我をするかも知れない」
「どんくさい博士なら、充分あり得るニャ」
「うるさいよ。まあ、意識するか、しないかは別として、リスクは存在していて、それはある程度は予測可能な範囲なわけだね。競技を行う上で常識の範囲内で予測出来る危険性については事前の同意に関係なく、そこに参加したすべての人が危険を理解した上で相手を怪我させることもあると踏まえて、自分が怪我をする危険性を引き受けたとするんだ」
「なるほどニャ。いちいち、怪我するたびに相手のせいにしてたら、スポーツなんて出来ないし、お外で遊ぶこともできないニャ」
「うん、これはスポーツの練習や、仲間内で行うレジャーにも適用されるから、まさしくお外で遊ぶことにも適用されるね」
「ふんふんニャ。なら、スポーツとか、ルールを決めた遊びなら、どんな結果でも違法性は問われなくなるニャ(-ω- ?)」
「勿論、そんなことはないね。モータースポーツでは選手個人に責任はなくとも、団体は少なくとも見舞金を出すし、再発防止のためにレギュレーションの改正を行うし、違法性を阻却できるのはあくまでも、常識的に考えて、競技上の行動の範囲内で起きた事故に限られるからね」
「ボクシングの試合で殴ってたら大怪我させたはルール上、問題ないけれど、いきなり頭をつかんで膝蹴りかまして鼻を折ったらアウトってことニャ(-ω- ?)」
「やけに具体的だけど(^-^; まあ、そう言うことだね。その競技を行う上で想定できる行動の結果、他者に与えた損害については、その法的責任は問われないってことでいいと思うよ」
「なるほどニャ」
「さて、じゃあ危険の引き受けの限界について考えてみよう」
「スポーツの違法性阻却の大元のところニャ」
「危険の引き受けについて考える前に同意殺人や同意傷害について説明していこう」
「同意殺人に同意傷害ニャ(-ω- ?)」
「つまり、相手が自分を殴ってくれとか、殺してくれと頼んで来て、同意の元に行われた殺人や傷害のことだね」
「極まったドMのプレイと自殺幇助ってことニャ」
「少し間違った認識があるけど、概ねその解釈でもいいと思うよ」
「極まったドMは仕方ニャいけど、自殺幇助は犯罪ニャ」
「さすが、世界一頭のいいにゃんこのテン助ちゃん。その通り、自殺幇助は犯罪だね。同意があっても殺人は犯罪なんだ。やり方によってはただの殺人で裁かれるしね。この当たりも難しい部分はあって、森鴎外の「高瀬舟」なんかを読むと考えてしまうよね」
「あれは名作ニャ」
「僕の知り合いの愛猫家が、エッセイにしようか悩んでいるよ。さて、閑話休題。たいして同意傷害はテン助ちゃんの言うようにある一定のラインで認められている部分もあるんだ」
「漫才のツッコミとかニャ(-ω- ?)」
「あれを傷害と呼ぶかは難しいけれど(笑)でも、まさしく、あれは傷害にはならないという線引き何かが『一定のライン』というわけだね」
「あっ、わかったニャ。スポーツでも損害の程度によって、同意があるんだからオッケーってことニャ」
「まあ、そういう側面もあるってことだね。スポーツの場合と漫才に共通することは、相手を傷付けることが目的ではないってこともあるね」
「あくまでもスポーツで勝つことや漫才で笑わせることが目的ってことニャ(-ω- ?)」
「そういうこと、だから同意傷害とは厳密には異なる部分もあるんだ。同意傷害は相手も自分も明確に「傷付ける」ことを目的としてるからね」
「SMプレイニャ」
「それが一番的確なのがキツいね(^-^; 性的嗜好をお互いに充たして、その上で社会通念上、許される範囲内ならば適法なんだね。それがやり過ぎれば違法になる」
「プレイ用の鞭でしばいたり、プレイ用のろうそく垂らして満足してればオッケー。それが大怪我さしたり、間違って殺しちゃうようなら、アウトってことニャね」
「ざっくりし過ぎで色々と問題発言だけど、まあ、そういうことだね(^-^;」
「でも、博士。なら、格闘技は相手をぶちのめして、ぶっ倒すのが目的ニャ。同意傷害になるんじゃにいニャ(-ω- ?)」
「いいところに気付いたね。格闘技は「格闘」の技を競うという点で、他のスポーツと比べても難しい部分があるんだ」
「型を競うんじゃなくて、ホントに殴り合うニャ」
「型を競うものもあるけどね。実際、例えば公園でフットサルの練習をしていても問題ないけれど、シャドーならともかく、いきなり殴り合ってボクシングの練習を始めたら、通報されるよね」
「それはただの喧嘩に見えちゃうニャ」
「ただの喧嘩は決闘罪が適用されるし、暴行や怪我を負わせれば傷害罪にもなるからね」
「格闘技は違法性を阻却されるんニャね(-ω- ?)」
「そう、管理団体に所属先を通じて試合を組んでもらい、様々な制約とルールを守る前提で『競技』として格闘することで、違法性阻却されるんだ」
「プロアマは関係なく、所属してるジムとか会社や学校からお墨付きを貰って、管理団体の指示に従ってスポーツとして行うからってことニャね」
「そう、そして、アマチュアの場合なんかは基本的にヘッドギアや胴体への防具。グローブなんかも相手に怪我を負わせにくいものが使われていることが殆どなんだよ」
「あくまでも、「技」を競うから、技術がまだまだで怪我をさせたり、したりするリスクの高いアマチュアだと防具が必要なわけだニャ」
「そういうこと、だからアマチュア格闘技とプロ格闘技はルールやレギュレーションがかなり違う。格闘技の世界でも選手ために様々に安全配慮がされてるんだね」
「さて、ここまでを踏まえてシバターの発言の意図を考えてみよう。テン助ちゃんはどう思う」
「んーニャ(;>ω<;) 未熟なアマチュアをリングにあげて、防具もつけさせずに試合させた挙げ句に、大怪我してましたって、運営側の意識が低すぎるってことかニャ」
「うん、それでいいと思うね。あと、格闘技をひろめたいと発言してる朝倉未来氏に噛みついているところから、「未熟な試合」「安全配慮に欠けた試合」を話題性だけで見せることは、むしろ格闘技が安全配慮に欠けた危険で技術のない野蛮なものという認識をひろめる可能性があると言うことだね」
「ただの暴力による残虐ショーだと思われたら、他の格闘技が迷惑ニャね」
「そうなんだ。だから、シバターは『リスペクトがない』と言ったんだと思う。また、昨年の1000万チャレンジで素人を怪我させたことの反省がないとも考えたんだろうね」
「自分でボコったら怒られて炎上するから、話題性のある素人同士をボコらせ合えばいいって感じかニャ」
「そうもとれてしまうって事だね。そして、スポーツとして、契約などを参加者と結んでいたとしても、明確な格闘技としての所属先がない人物、これは技量が定かでないことに繋がるけれど、そうした人物を防具もつけさせずに試合させる。これは『スポーツとしての格闘技の常識の範囲内』におさまらない可能性があるんだ」
「街中で強そうな喧嘩自慢を殴らせあって、どっちが強いかやるのと変わらないニャ」
「そうなんだ。明確な所属先、持っている資格とか、修得した格闘技の種類、キャリア。そうしたものを照らし合わせて、技量が近く、体格の近いものをルールの中で競わせるから「スポーツとしての格闘技」が成立する前提を崩しかねない」
「プロキャリアが豊富な引退選手が十分に安全配慮した上で行うエキシビションみたいなのを、素人にやらせたら危険ニャ」
「そこだね。プロならば、危険と折り合って、正当な契約も結べるだろうけれど、自分の技量も、危険もよく認識出来ない素人に契約させたからと、違法性阻却できるとは限らない」
「そして、死亡事故なんか起きたら、放置した格闘界全体の問題になりかねないニャ」
「だから、シバターは苦言を呈してるんだろうね」
「よくわかったニャ」
「さて、下手な説明でしたがおわかり頂けましたか」
「質問や意見待ってるニャ(=゜ω゜=)」
ご意見、ご感想お待ちしています。