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賢者巡礼  作者: ナハァト
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恒例は常に起こる可能性が高いから恒例

「堅牢なる鋼」と共に冒険者ギルドに向かう。

 王都・レゾールが拠点ということなので、ついでに宿とかオススメの場所を聞いておいた。

 他にはダンジョンについてだが、過去に地下六階まで攻略されたそうだが、それより先には進めていない。

 ただ、これは別に冒険者としての質が悪いとかではなく、ダンジョンの仕組みによる結果だ。

 全階層非常に広いらしく、また階層別で自然環境も再現されているそうで、資源としてはありがたいが、攻略となるとかなりの難易度を誇るダンジョンであるらしい。

 また、地下六階以降は通常の魔物とは一線を画す非常に強い魔物が徘徊しているそうで、難易度はさらに上がっている造りだそうだ。

 過去地下六階に行ったのは、Sランクという最高ランクの冒険者であった。

 しかし、それでもこれ以上の攻略はできないと判断を下して戻ってきたという、かなり難度の高いダンジョンのようである。

 そんな話を聞いている間に、「冒険者ギルド・トゥーラ国本部」に辿り着く。

 二階建ての建物で、そこまで大きくないが飲食店というか酒場が併設されているのが見てわかる。

 中に入ると、十人くらいが酒場で盛り上がっていて、冒険者ギルドの方には誰も居ない。

 受付嬢たちが専用のカウンターで暇そうにしている。

 そういう時間帯なのだろう。

 冒険者ギルド自体はフォーマンス王国でも行っていたし、大抵依頼を受けるための朝と。完了した依頼の報告で夕方とかに人というか冒険者が溢れ返るのだ。

 今は丁度その中間くらいなので、冒険者ギルドとしてはもっとも暇な時間と言える。

 まあ、カウンター内部では職員が忙しそうに動いているので、今の内にやっておかないといけないことをやっているのだろう。

 酒場に居る十人くらいは冒険者のようだが、そんな時間に居るのだから、どういう存在なのかはお察しだ。


「それでは、報告に行ってくる。ただ、盗賊の件の報告も兼ねているから、少し時間がかかるかもしれない。できれば、オススメの宿への案内と助けてもらったお礼の食事もご馳走したいから、待っていてもらえないか?」


「そうだな。他にも聞きたいことはあるし、待っている。食事は、大勢の方が楽しいしな」


 モンドさんにそう返し、待つことにした。

「堅牢なる鋼」は受付嬢に話を通し、案内されながら冒険者ギルドの奥へと進んでいく。

 ………………。

 ………………。

 さて、このままポツンと立っていても仕方ない。

 といっても、これといって今やること、できることはない。

 とりあえず、ここにどんな依頼があるかでも見てみるか。

 冒険者が受ける依頼は依頼ボードに張り出されているのだが、ここのはボード自体が大きく、きちんとランク分けされている。

 ……ふむふむ。

 なんか変な依頼がある。

 他のはというか、それ以外は普通に紙に依頼内容が書かれているだけなのだが、それだけは額縁に飾られて目に付くようになっている。

 内容は……「ミスリル鉱石(極大)の入手」。

 ミスリル鉱石が希少な鉱石というのはわかるが……極大?

 そんなの手に入るのだろうか?

 よくわからないので他のを見ていく。

 やはりというか、ダンジョンで手に入る資源や魔物素材関連が圧倒的に多く、次いで王都内の細々としたモノで、王都外はほぼない。

 精々が、「堅牢なる鋼」が受けていたような護衛依頼しかない。

 ダンジョンに関する依頼に特化しているようだが、それだけ得られる恩恵が大きいのだろう。

 まあ、俺のダンジョン経験はラビンさんのダンジョンだけで、それも結局は途中で蹴り落とされるというモノで終わっているのだ。

 ここでダンジョンに挑戦するというのもアリかもしれない――と思っていると、不意にドンッと体が押される。

 なんだ? と思って様子を窺えば、酒瓶とグラスを持った三十代ほどの酔っ払い男性が居た。

 どこかで見た顔のような気がしたが、先ほど酒場の方で見かけた者の一人のようだ。


「いてえな。そんなところに突っ立ってんじゃねえぞ、ガキが。……ライムちゃ~ん! 今暇でしょ? 俺たちと一緒に飲もうぜ~!」


 酔っ払いはそのまま受付嬢に声をかけに行く。

 は? と思う。


「ぶつかってきたのはそっちだろうが。それと、どう考えても脈はないから諦めた方がいい」


 俺の言葉が聞こえた、というか聞こえるように言ったのだが、酔っ払いがぐりんと顔を回して俺を見て、睨んでくる。


「……あんだと? 生意気なことを言うガキだな」


「生意気? 事実しか言っていないが?」


「それが生意気だって言ってんだよ! ああん!」


 酔っ払いが凄んでくるが、正直なんとも思わない。

 それに、脈がないのは本当に事実だ。

 酔っ払いに声をかけられた時、受付嬢は嫌悪感丸出しだった。

 そこをわからせてやろうかと思っていると、酒場から酔っ払いの仲間だと思われる者たちが現れる。

 もちろん、酔っ払い。


「おいおい、どうした?」


「いや、こいつが生意気でよ!」


「何い? ……ここらじゃ見ない顔だな。他所から来たのか?」


 答える必要性を感じないので無視。

 

「へっ。当たりか。だがなあ、ここは冒険者の本場。他のところとは質からして違うんだよ。テメエみたいなガキが通用する場所じゃないってことを、その身をもって教えてやる。外に出ろや」


 どうやら、ケンカを売られているようだ。

 う~ん……「堅牢なる鋼」はまだ戻って来なさそうだし、時間潰しの意味も込めて相手をするか。

 丁度、試してみたかったこともあるし、買ってみようと思う。


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