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賢者巡礼  作者: ナハァト
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当たる時は当たる

 邪神が黒い波動を発したが、こちら側は特に異変はない。

 黒い波動がなんだったのかはわからないが、これがきっかけとなったのか、邪神が積極的に動き出した。


「グガァッ!」


 煩わしい、とでも言うような声が邪神から上がると、その周囲に人の何倍もある巨大な黒い球が十個現れる。

 何が? と思えば、巨大な黒い球から小さな黒い玉が発射される。

 一個とかではなく、数個纏めての連続発射だ。

 狙いは俺とカーくん。

 避ける、あるいは防いで対処する。

 俺もカーくんもこれで傷を負うようなことはないが、それでも黒い玉の発射が途切れることがなく、邪神に攻撃をすることができない。

 対して、アブさんの方に黒い玉は発射されていないのだが、その代わりに邪神からの拳という直接的な攻撃に晒されている。

 そちらの方が有効である、と理解しているようだ。

 アブさんは避けるだけで精一杯のようなので――こちらからの攻撃が一切できなくなった。

 封じられている、と言ってもいい。

 それでも、巨大な黒い球を作り出し、そこから黒い玉を発射し続けているのだから、邪神も消耗しているとは思うが――。


「……カーくん、どうだ?」


「いや、駄目だな! 邪神が回復していっている!」


 やはり攻撃しないといけないようだ。

 それなら、と身構えると、察した真竜ノ杖が障壁を強めに張ってくれて黒い玉を完全に防いでくれる。

 真竜ノ杖に感謝しつつ、魔力を漲らせて――。


「『【詠唱破棄】光り輝く螺旋槍スパイラル・ライトスピア』」


 やはり、有効だと思うのは光属性魔法だろう。

 なので、光属性魔法を発動して、回転する光り輝く巨大な槍を十本――巨大な黒い球と同じ数だけ作り出し、一斉に放つ。

 黒い玉を潰しながら回転する巨大な光り輝く槍をは進んでいき、巨大な黒い球と衝突すると相殺してどちらも消滅する。

 すべての巨大な黒い球が同じ結果となった。


「よくやった! アルム!」


 カーくんが俺を褒めると竜の息吹(ドラゴンブレス)を放ち、邪神の腹部の一部を消し飛ばす――だけでは終わらずに、そのまま竜の息吹(ドラゴンブレス)を放ち続けて邪神の腹部を薙ぎ払う。

 それで邪神尾腹部が消滅して、上半身と下半身が分かれ――瞬時に戻る。

 どれくらいかはわからないが、それなりに消耗させたのは間違いない……と思う。

 俺も直ぐに攻撃しようとするが――その前にアブさんの援護。


「『【詠唱破棄】闇夜を裂く眩き剣(シャイニングセイバー)』」


 眩く輝く巨大な剣を作り出し、アブさんに迫る邪神の腕を斬り落とす。

 邪神の腕は直ぐに戻るが、その間にアブさんが攻撃を行う。


「即死だけではないのだよ! 某は!」


 アブさんが魔法を放つ。

それは赤黒い球で、邪神の頭部付近に放たれると――。


「爆破!」


 アブさんの声と共に赤黒い球が弾けて大爆発を起こす。

 邪神の頭部の一部が焼き尽くされるが直ぐに戻る。

 けれど、それで終わりではない、とアブさんは大爆発を起こす赤黒い球を連発。

 大爆発がさらなる大爆発を起こし、大爆発による黒煙が邪神の頭部を覆い隠す。

 どうなったかは……考える必要はない。

 元に戻るだろうし、何より動いているので無事なことは明白。

 黒煙で見えなくとも、邪神がアブさんを殴ろうと乱雑に拳を振るう。

 ……こういうの、当たらないと思っていると……当たるんだよな。

 なので、当てさせる訳にはいかないと、眩く輝く巨大な剣で邪神の腕を斬り落とし、元に戻っても直後に斬り落とす。

 それを繰り返していると――。


「……嘘だろ」


 邪神の背中から新たな腕が二本、生えるように出てきて合計四本腕になった。

 ……こういう時、なんて言うか。

 ……そう。想定外。


「アルムが何度も斬るからだな!」


 アブさんが俺のせいだと言う。


「二本では足りないと判断したか。……アルムがスパスパ斬るから」


 カーくんがアブさんに同意。

 俺の味方が居ない。


「四本腕か! これまでそんなのとは戦ったことがねえな! よし、アルム! 俺と代われ!」


「お前の相手はそこの黒い剣のヤツだろうが! というか、よそ見するな!」


 ファイに一喝しておく。

 そういうのは、まず黒い剣を持つ黒ローブを倒してからにして欲しい。

 まあ、邪神が居る限り倒せないようだけど。

 なんにしても、四本腕になろうが関係ない。

 斬って斬って斬りまくるだけだ――と思ったところで、邪神の背中側の二本腕が一気に見た目以上に伸びてきてガシッと掴む。

 何を? 俺を。正確には俺を守っている障壁を。

 ふっ。甘い。このまま握り潰そうとでもいうのか?

 それは砂糖菓子よりも甘い。

 真竜ノ杖の障壁は非常に強固である。

 いくら邪神といえども、そう簡単にはどうこうできない……はず。

 大丈夫だよな?

 ま、まあ、俺の魔力で補強できるので、危ない時はそれで凌げばいいだけの話。

 何より、障壁が砕かれる前に魔法で掴んでいる腕を落とせばいいだけ――と俺が魔法を放つ前に、邪神が障壁を持ったまま振り被る。

 あっ、嫌な予感。

 投げられた。

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