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賢者巡礼  作者: ナハァト
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倒しにくいってだけで、倒さないとは言っていない

「て、敵襲! 敵襲~!」


「て、敵だと! まさか、聖都の門がもう破られたのか!」


「い、いえ、空から降ってきて――」


「そ、空から? 世迷言を! ええい! ともかく敵が現れたというのなら排除だ!」


 大教会付近に残っていたアフロディモン聖教国軍が集まってきて、取り囲んでくる。。

 俺、クフォラ、ファイ、アスリーは、大教会の正門前に下りてから、ただそれを眺めているだけ。

 アブさんは上空で待機。

 まあ、予想通りなら出番はない――いや、アブさんはやる気だ。そう見える。理由としては、「人類最強」に即死魔法が効かなかったことだろうか?

 もしかして、さらに強い即死魔法を?

 ……それでも、そもそも「人類最強」は即死無効な気がするのだが、そこには触れないでおこう。もしかすると――があるかもしれないし。

 ともかく――。


「急遽決めたけど、本当に攻めなくていいのか? このまま待つと?」


 大教会の門に向けて下りていく間に決めたのだが、確認の意味を込めて尋ねるとファイが答える。


「仕方ねえだろ。予想通り、ここに居るヤツの数は少ないようだし、最初に集めて纏めてやった方があとあと楽になるからな。それに、『人類最強』とやる時に邪魔が入れられと面倒だ」


 後半が本音なのは言うまでもない。

 ただ、「人類最強」は俺が狙っている敵でもある。

 もちろん、ファイとアスリーも、前回の借りを返すと息巻いているが、この件に関しては倒した者勝ち――となった。

 下手に揉めても仕方ないし、何より俺はとりあえず一発キツイのを入れられたら目的達成、みたいなところがあるので、それで文句はない。

 まあ……倒せるかどうかは別の話である。

 あと、これについては俺、ファイ、アスリーの三者だけの協議で、クフォラは不参加だった。

「男の子って……」とクフォラのどこか呆れたような言い方が耳に残る。

 そうこうしている間に、アフロディモン聖教国軍が集まってくる。

 本当にあまり残っていないようで、百を超えた辺りでとまった。


「く、黒い鎧って、まさか『暗黒騎士団(ダークネス・ナイツ)』! それも三人も! 従者っぽいのは倒せそうだが、『暗黒騎士団(ダークネス・ナイツ)』は無理だろ!」


「それでもやるんだよ! リミタリー帝国は教皇さまが神敵と認定されたのだ! 滅ぼすべし!」


 アフロディモン聖教国軍がそんなことを言っている。

 色々と言いたいのだが、とりあえず一つ。その倒せそうな従者っぽい者ってもしかして俺のことか?

 それを言ったヤツ、前に出て来いよ。俺が身体強化魔法増し増しの拳を食らわせてやる。


「――で、ですが、そもそも前回の侵攻もそうですが、本当に神敵なのですか? 自分はリミタリー帝国と戦う意味がわから」


「それ以上は口にするな。お前も身のためだ。教皇さまが決めたこと。それに従うまでである。……ともかく、こんな馬鹿げた戦いで命まで失うことはない。いざという時は武器を捨て降伏しろ。運が良ければ生きられるはずだ」


 そういうことを言うのもやめようか。

 なんか、こう、倒しにくくなるから。

 いや、まあ、倒すんだけど。

 少し手加減してやろうかな? とか思ってしまう。

 まあ、結局、倒すんだけど。


「そろそろいいだろ」


 ファイがそう口にした。

 それが合図となって、俺たちは一斉に攻撃を始める。

 ファイとアスリーがそれぞれ前後に飛び出して、俺はファイの、クフォラはアスリーの援護として魔法を放つ。

 ……まあ、援護が必要かと言われれば、必要ない、というのが正解だろう。

 ファイもアスリーも、一振りで数人纏めて倒していっている。

 強さの次元が違う、といったところだろうか。

 特にファイの方は、一度いいように使われた影響からか、少しばかり苛烈である。

 おそらくだが、アフロディモン聖教国軍の何人かは武器を手放して投稿を示そうとしたようだが、その前にファイによって倒される――といった感じの光景が何度かあった。

 多分、迷わずにいけば……間に合う可能性がある。

 ……可能性という時点で、それでも普通は間に合わないってことだけど。

 そんな感じでファイの勢いが強く、正直援護は必要なさそうだ。

 まあ、援護するが。

 ただ、ファイがそんな感じなので、もう一人のいいように使われた人――クフォラも似たようなモノだった。

 援護を超えて、本気で仕留めに入っている魔法を連発している。

 爆発音や破壊音と共に、アフロディモン聖教国軍から阿鼻叫喚が轟いていた。

 アスリーはかなり器用なようで、クフォラの放つ魔法を上手くかわしている……そう。かわしているのだ。かわさなければ当たっている。しかし、今のクフォラは少し怖い気配を放っているので、もう少しアスリーに気を遣ってやれば? と声をかけづらい。

 いや、ほら、その前に俺はファイの援護で忙しいから。うん。

 だから、アスリーよ。時折クフォラに何か言ってくれ、という視線をこちらに向けるのはやめようか。

 というか、余裕あるよな?

 そんな感じで、集まったアフロディモン聖教国軍をあっという間に倒し――そのまま大教会へと向かう。

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