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賢者巡礼  作者: ナハァト
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なんか拍手してしまうよね

 無のグラノさんにアフロディモン聖教国の状況を伝えると、不味いかもしれないと口にする。

 いきなりそんなことを言われて反応に困るのだが、無のグラノさんの様子は神妙なモノで、嘘でも冗談でもないと伝えてきた。

 なので、詳しく聞こうと尋ねようとすると、別のところから声がかけられる。


「どうかしたの?」


 ラビンさんが尋ねてくると、無のグラノさんが神妙なまま端的に伝える。


「どれかはわからないが、武具の封印を解こうとしている者が居るようだ」


「それは……嘘でも冗談でもなく?」


「うむ。アルムからの話だと、逆転魔法陣を敷こうとしている。既に、三つは敷き終えているようだ」


「三つ……既に半分が。待って。ということは?」


「うむ。アレの使いはあの時やったと思っていたが生き残っていた……いや、蘇ったのかもしれない」


「いや、決め付けるのは早いよ。まだ確定した訳じゃない。アルムくん、手間だろうけど、もう一度説明してくれないかな? ボクも聞いてから……いや、カーくんにも聞いてもらって判断してもらった方がいいかな。いいよね?」


「あ、ああ、構わない」


 思わず頷くが、ラビンさんの様子に加えてカーくんも交えるとなると……本当に不味い事態なのではないかと不安になる。

 いや、もう確定なのは間違いない。

 それがどういうことか詳しく聞きたいが、聞けるのはもう一度話してからになるようだ。

 ラビンさんがカーくんを呼ぶと、こちらの神妙な様子に気付いた皆も来て、そのまま話すことになった。

 ……話し終わったあとの反応は二つに分かれる。

 無のグラノさんだけではなく、ラビンさんとカーくんも同じように神妙な様子を浮かべるのだが、他の皆はよくわかっていないというか、何かが起ころうとしているのはわかるが詳細まではわからない、と俺と同じ状態であった。

 なので、自然と視線は詳細を知っているであろう、無のグラノさん、ラビンさん、カーくんに集まる。


「……そうだな。これは過去に起こった出来事に関わっているのだが」


 そう前置きして、無のグラノさんが説明してくれる。

 思っていたよりも長い説明で、一度にすべてを理解できたか自信はない。

 けれど、わかった部分――忘れてはいけない部分は記憶した。

 無のグラノさんが話したのは――約五百年前の話。

 当時、世界は強力な魔物が蠢き、大いに荒れていた。

 世界がそこまで荒れている原因――中心となっていたのは、邪神と呼ばれる存在。

 その邪神によって、世界は滅亡へと向かっていた。

 だが、その邪神をどうにかしようとしても、邪神は強大な力を持ち、どうしようもできない。

 よって、取られた手段は――封印。

 当時、勇者パーティと呼ばれる四人組が、見事邪神を封印した。

 その封印の際に用いられたのが、勇者パーティが所持していた武具――「神剣」「神盾」「神靴」「神杖」の四つと、封印の要となる「神玉」。

 相当な強力な封印だそうで、邪神であっても自力で封印を破ることはできないほどらしく、それで漸く世界に平和が訪れた。

 ただ、封印に使用したのは強力な武具でもある。

 だからこそ、悪用されないように――二度と使われないように、ただ、壊されるのも困るため、誰も触れることもできないような強力な封印を施したそうだ。

 そこまで強力な封印が必要だったのか? と思うが、下手に破壊すれば邪神復活となる可能性もあると考えれば、できるだけのことをやっておくのは普通のことなのかもしれない。

 というか、無のグラノさんの話は妙に臨場感があったのだが、その理由を尋ねると、無のグラノさんは邪神を封印した勇者パーティの一人で、魔法使い。「神杖」の所持者だったそうだ。

 ちなみに、ラビンさんとカーくんはその協力者らしい。

 思ったよりも凄い人物たちだったことに、驚き。

 長く共に居た火のヒストさんたちも初耳だったようで――。


「お、おお……す、凄いな」


 多分。話の規模が大き過ぎて現実味がないのだろう。

 俺も今そうだ。

 何故かはわからないが、自然と拍手が出た。

 なんか凄いなって人を見た時に拍手するような、そんな感じ。

 バラバラと、戸惑うような拍手だったのは仕方ない。

 それに、今重要なのは、現在アフロディモン聖教国で起こっていること。

 四つの内のどれかはわからないが、武具の封印を解くための手段が行われているのは間違いないそうだ。

 いやいや、各地で起こっていることなのに? と思ったが、それくらい強力な封印を施していて、封印解除にはそれくらいの規模が必要らしい。

 えっと……何々? 六芒星の魔法陣の中心に「無」の属性、六つの先端に「火」「水」「風」「土」「光」「闇」の属性の力がそれぞれ配置されていて、封印解除は中心の「無」は変わらないが、六つの方は「火」と「水」、「風」と「土」、「光」と「闇」と、対となる属性の力を打ち込んで破壊する――と説明された。

 ……うん。とにかく、一国の国土を使うような強力な封印が破られそうになっている、ということだけは理解する。それで充分だとも言われた。

 そうして無のグラノさんからの説明を受けたあと――。


「アルムには、急いで戻って封印解除を阻止して欲しい。ただ、もし間に合わずに封印が解除されてしまったのなら、場合によるが可能であればその武具を回収して欲しい」


 そうお願いされた。

 そのあと、かなり緊迫した様子のラビンさんとカーくんは、他の封印具がどうなっているのかを調べると言って準備を始めたので、緊急度の高さから、俺もアブさんと共にアフロディモン聖教国に向けて出発する。

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