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賢者巡礼  作者: ナハァト
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予想が当たると嬉しくなるよね

 あと追いとして来た軍の数は大体一万。

 ちなみに、本当に反乱軍という名称となった。

 元周辺国やその各国の名を使うのでもなく、元周辺国軍という名でもない。

 現リミタリー帝国への反乱という意味で、そう名称とするとアンル殿下が宣言した。

 なので、反乱軍。

 なんだろうな。こう……自分が何かに対して〇〇じゃない? と思ったあとに、その何かがそうである、そうになった、という時に感じる、勝利した時のような高揚感みたいなモノが……。とりあえず、小さくグッと拳を握っておいた。

 そのあと追いで来た反乱軍。

 元王都・オジナルからということもあって、結構な規模だと思う。

 もちろん、これだけではない。

 援軍というか、まずは先発で、追加も来るそうだ。

 そうだよな。

 魔道具研究所の町・マアラを攻め落としたあと、帝都にも向かうのだ。

 ……いや、それでも足りなくないか? と思ったのだが、よくよく考えてみると、帝都進攻は周囲の元周辺国から軍が向かう。

 一国というか、一か所の数が少なくとも、最終目的地である帝都に着く頃には文字通りの大軍となっているのは間違いない。

 まあ、その前に、まずは魔道具研究所の町・マアラをしっかりと攻め落とすことが大事だが、そう簡単にはいかない、というのがセカンたちの予想である。

 というのも、魔道具研究所の町・マアラはリミタリー帝国にとって重要な場所なので、間違いなく防衛にも相当な力を入れているはず、と考えているのだ。

 それは正しい、とそこの警備をしていた傭兵団「日の出傭兵団サンライズ・マーセナリーズ」と、捕らえられた兵士たちからの情報提供によってセカンたちは確信に変わる。

 実際、その通りというか、今はまだ魔道具研究所の町・マアラに辿り着いていない。

 その前で戦っているのだ。

 攻められるとわかっていたし、こちらが攻め込んでくる姿も別に隠していないというか、大軍を隠すことなど普通は無理なので、魔道具研究所の町・マアラ側は準備を整えて、町の外にある草原で陣形を組んで待ち構えていたのである。

 脱出する際にリミタリー帝国兵士の姿を見ているので居るのは知っていたが、大きな町ということもあって、思っていたよりもその数は多かったようだ。

 セカンによると、総数ではこちらの方が上回っているが、全体的な質はあちらが上らしい。

 今は正面からぶつかり、一進一退の攻防を繰り広げている。

 その様子を、後方から確認していた。

 いや、俺としては一人でもやれる。戦いが始まる前に実際にセカンにそう言った。いや、提案の一つとして。


「うん。まあ、あれぐらいの数ならやれると思うぞ。魔法でビヤアッと」


 寧ろ、それこそが今の俺の本領発揮だろう。

 超広範囲殲滅魔法。単に魔力過多による暴走とも言うが――得意である。

 というか、周りに人というか味方が居ると逆にやりづらくなるので、一人でやらせてもらった方がいい。

 まあ、その場合は、相手が背にしている魔道具研究所の町・マアラまでなくなるかもしれないが。


「却下だ。バカタレ。本当にできたとしても、やらせる訳にはいかない。これは戦闘経験を得るためにも行っているのだ。本番は帝都。それまでに少しでも強くなるために必要なのだ」


 怒られた。いや、呆れだろうか。

 ただ、その理由には納得できたので大人しくしておく。

 兵に経験を積ませる。

 だから、俺だけではなく、セカン、トゥルマ、ファイ、エルといった、個として強いのはまだ戦いに参加していない。

 後方――アンル殿下とネラル殿下の近くを陣取っている。

 ……いや、両殿下を守る意味もあるのか、これは。

 アブさんは上空で待機中……というよりは、戦っている場面を見て盛り上がっている。

 やれ! そこだ! と殴り、蹴り。楽しそうだ。

 対して、セカンたちは気を張り続けている。

 俺はどちらかといえば、アブさんの方に近い状態――というか気を張っている訳ではない。

 時間はかかるだろうが、戦いの様子を見た感じ、こちらが押し切ることはできるだろう。

 このまま勝利かな? と俺は思うのだが、セカンたちが簡単にいかないと考えた大きな理由は、現在魔道具研究所の町・マアラに居る「暗黒騎士団(ダークネス・ナイツ)」・クフォラの存在である。

 こっちは現役・引退含めて「暗黒騎士団(ダークネス・ナイツ)」が三人居るのに、そんなに気にすることだろうか? と思うのだが、相手がクフォラというのが問題なのだそうだ。

 言ってしまえば、こちら側に居るセカン、ファイ、エルの三人は近接で攻撃範囲は狭いが、クフォラは遠隔で攻撃範囲も広いため、下手をすれば相当な痛手を受けることになる。

 そのことを危惧しているため、クフォラは要注意人物なのだ。

 まあ、クフォラは魔法使い。

 となれば、俺の出番だろう。

 相手が魔法使いなら、格の違い――俺が受け継いだ無のグラノさんたちの魔法の力をわからせてやる。


「ちょっと待った」


 待ったがかかった。

 待ったをかけてきたのは、ファイ。


「せっかく『暗黒騎士団(ダークネス・ナイツ)』とやり合えるんだ! 俺がやる!」


 そう言ってくると思った。

 そもそも、ファイがこっちに来た理由の一つだし。

 だが、読めていれば対処はしやすい。


「それならそこにエルが居るぞ」


 エルの両目が見開かれ、裏切られた! というような表情を浮かべる。

 セカンはホッとしていた。

 ファイが満面の笑みでエルに詰め寄ろうとした時、事態が動く。

 リミタリー帝国側の奥に、数人を纏めて丸呑みできそうな巨大な炎の蛇が現れる。

 その蛇の形には見覚えがあったので、誰がそれを行ったのかは直ぐにわかった。

暗黒騎士団(ダークネス・ナイツ)」・クフォラが現れたのだ。


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