世代的なモノってあるよね
見続けても仕方ないので、中に入る。
そこで、みんなが俺に気付いたので、少し高くなっている場所でやっていたことは終わった。
ただいまと伝え、みんなからおかえりと言ってくれる。
……本当に、これだけでいいのだが。
内心でそう思いつつ、みんなにドレアを紹介する。
ドレアは緊張しているようだが、だからといって母さんとリノファにまで緊張する必要はない。
ここでは数少ない人間だよ。
ちなみにもっとも数が少ないのは、カーくんである。
ドラゴンは一頭しか居ない。
元々はラビンさんもダンジョンマスターという存在で一人だったのだが、今はアブさんが居る。
よって二人。
なので、カーくんだけが種族的に一体だけだ。
………………。
………………。
増えないよな?
さすがに、大きさ的にここに入ってくるのは難しい気が……そうなると、カーくんも出るのが難しいと思うのだが、どうしているのだろうか?
「どうかした? アルムくん」
「……いや、なんでもない」
今はドレアの方だ。
紹介が終わったあと、ドレアにはみんなを紹介していく。
それが終われば、あとのことは風のウィンヴィさんにお任せだ。
「ここを出て、道なりに進んで……で、そこを曲がればみんなが使っている部屋の前――リビングみたいな場所があるから、そこでゆっくりと話せばいい。ああ、道順を説明はしたけど、案内はウィンヴィさんがやってくれるから、そこまで気にしなくていい」
「任せてよ! さて、色々と聞かせて欲しいな。今のシートピアのこと。キミのこと。それと、伝わっている限りでいいから、ソフィーリアのことも。目元がそっくりだよ、キミは。……あっ! もちろん、僕のことを聞きたいなら教えてあげるよ! もちろん、海神の槍についても、ね!」
「ああ、もちろんだ。私も、会えたら聞きたかったことがたくさんある!」
風のウィンヴィさんとドレアを見送る。
そういえば風のウィンヴィさんに「青い空と海」のことを伝え忘れていたけど……まあ、いいか。
ドレアが伝えてくれるだろう。
今はそれより、と俺はみんなに向き直る。
「……さて、先ほど何をしていたのか、教えてもらおうか」
ニッコリと笑みを浮かべた。
―――
「……なるほど。ドレアを連れてくることがわかっていたから、みんななりに歓迎の意を示そうとした訳か」
そういうこと、とみんなが揃って頷く。
その気持ちは嬉しいというか、いいことなのだが、やっていることが……。
「なんでさっきのようなことを?」
「ウィンヴィからの提案なのだよ。海洋国・シートピアから来るのなら、そこに合わせた歓迎の仕方をするべきだと思うな? と」
無のグラノさんがそう教えてくれる。
そうか。ドレアのために……ん? いや、待てよ。
というか、こういう歓迎の仕方が普通なの?
「青い空と海」だけが特別かと思っていたのだが、そうではないのか?
でも、それならハーフェーン商会ではそのようなことはされていないし、「青緑の海」も、なんだったらグラスさまもそんなことはしていない。
ドレアだってそうだ。
………………時代的なモノだろうか?
考えてみれば、風のウィンヴィさんと「青い空と海」は同じ時代を生きた訳だから………………て、そうだ! 「青い空と海」!
思い出したので説明。
一緒に、アブさんが気にかけていて、自分のダンジョンに招きたいという考えもある、ということも合わせて伝え、そのままこの件においてもっとも頼りになるだろうラビンさんを見る。
「……という訳なんだが、どうにかできる手段はあるだろうか? ラビンさん」
「んん~……そうだなあ~……なんか面白そうな人たちのようだし……でも、物理的に運ぶとなると手間だし……う~ん。あれをこうすれば……」
ラビンさんが真剣に考え出す。
みんなの注目がラビンさんに注がれるのは、「青い空と海」に興味があるというのもあるだろうけれど、一番は風のウィンヴィさんに会わせたい、という思いがあるからだと思う。
あっ。でも、そういうことなら――。
「ウィンヴィさんを向こうに連れていくのは無理なのか?」
「無理。ウィンヴィくんだけじゃなく、グラノくんたちはちょっと特殊でね。このダンジョンから出られないんだ。まあ、手がない訳じゃないけど現実的じゃない。だから……うん。繋げちゃおっか。こことそこを。ついでに、アブくんのところとも。それが一番いい方法かな。いざとなればここで匿うこともできるし」
「繋げ? え? どういうこと?」
「ダンジョンの罠の一つに、『転移罠』という設置型の魔法陣があって、その効果を簡単に言えば、魔法陣の上に乗った者をどこかに飛ばしちゃうというヤツなんだけど、これを上手く使えばいける、かな? 問題となるのは別のダンジョンと行き来できるかどうかだけど、それはやってみないことにはなんとも言えないし……」
「転移罠……大丈夫なのか、それは?」
「うん。大丈夫だよ。アルムくんが地上と最下層を行き来するのに使っている魔法陣も、この罠を応用している部分があるから。ただ、さすがに直ぐには無理かな。ボクのところとアブくんのところなら、管理者が揃っている訳だし、上手く繋げられると思うけど、その楽しそうな部隊が居るダンジョンは、言ってしまえば放置されたダンジョンみたいなモノだから……ちょっと直接見てみないとわからないかな? だから、行こっか」
「行く? どこに?」
「そのダンジョンに」
ラビンさんがニッコリと笑みを浮かべた。




