5.ザンギエフ王宮舞踏会にて
マスカットを思わせる爽やかな香り漂うエルダーフラワー水を浸したガーゼで顔を拭い、ブラシでさらさらと白粉を塗す。
マスカラの様に眉と目元を小筆で描き、手ぬぐいにつけた深紅の紅を頬にちょんちょん、とのせる。
指で暈すと頬は恋する乙女の如く色付き、鼻歌のリズムに合わせて軟膏状の口紅を指でぽんぽんと叩くと薔薇色の花が咲く。
「はい、これにて愛らしいマドモワゼルのお顔の出来上がりです。」
「わぁ...!!」
「ありがとう。」
ぼんそわー。エレーナ・B・シャーグロッテこと所沢結でーす。
隣で若葉色のお目々をキラッキラさせて鏡の中の自分に見惚れてんのはエレーナの取り巻きちゃんのクロエ。
「ごめんなさい...お化粧までしてもらって...。」
「化粧をする人数が一人増えたまで。些事でございます。」
「それに、ここからが本番ですわクロエ様。お着付けが残っていましょう?」
「お着付け...!やっと...!」
おーおー、着付けって聞いただけでもっと目ぇ輝かせてんじゃん。
もうキラキラじゃなくてギラギラの域では?
座ってた椅子をメイドの方へ向け、膝上丈のうっすーい靴下を履く。
膝小僧のすぐ下でリボンガーターを結んで立ち上がったら、全女の子の憧れ「魔法のお着付け」の始まり。
メイド達が懐から杖を取り出し、フイッと振る。
「「踊れ、踊れ、衣装達よ。」」
「「ドレスは軽やかに空を舞い、飾りは氷上を滑るが如く。そして靴が魅せんは高らかなるタップダンス。」」
ドレス達が宙を舞う。その姿は自我を持ったかと錯覚してしまうほどに楽しげで。
杖を指揮棒のように振るう。詠唱はまだ終わっていない。
「「踊ろう踊ろう、我らと踊ろう。」」
「「衣装の舞は主をも巻き込み、気付けば灰被りから麗人へ大変身。」」
その中からコルセットが抱きつく様に装着され、独りでに背中の紐が締め上げられる。
それを皮切りにドレスに、手袋、アクセサリーなどがあたしとクロエを着飾る。
「すごい...!」
「「これなるは二十四時の鐘が鳴れど解けること無き祝福なり」」
瞬く間にお着付けタイムは終了。
下着姿からドレス姿に大変身。
中心に宝石がついた、白い花のコサージュがよく映える濃紫のドレス。
なめらかな絹の生地は普段着のドレスと比べて肌触りが段違い。
そしてアクセサリーどころか至る所にエレーナのモチーフであろう「花」の装飾が施されてある。
正にエレーナだけの為のドレスって感じ。まぁ実際そうなんだけどさ。
いやぁ...キャラデザ担当のセンスが見える見える...。
んで、一方のクロエというと...?
「へへ...本当にエレーナ様になったみたい...!」
ん゛っふっっっ...かんんわよ。
いや正味クロエにしては大人な感じかなー?似合わんかもしれんなー?なんて思ってたよ?
でも...まっずいなぁ...可愛いが過ぎるなぁ...。
あたしのドレスと同じく花モチーフで紫色のドレスなんだけど、紫っつても薄紫の類だし、花も大輪が一つドドーンってなってる訳じゃなくて可愛らしい小さい花がいくつか群集してる感じで。
しかもあたしのドレスには無いリボンだってある。特に髪飾りはめちゃかわ。
え、これ本当に元々エレーナのドレス?さもクロエ専用のドレスでございますって雰囲気醸し出してますけど。
いやパッパに貰った記憶も着た記憶もあるけどこんな感じちゃうかったぞ?!
ん゛~~~...ま、いっか。可愛いし似合ってるし。
「でもエレーナ様、いつもこんな素敵な事してるんだ...!」
「いえいえ、貴女の初めての着付け故楽しめるようにしたまで。いつもはもっと簡略化されたものですよ。」
「わたしのために...ありがとうございます!」
楽しんでもらえたように何より何より。初めてのお着付けを良い思い出にできてよかったよ。
はぁ、にしても可愛いな。完全に美少女の原石だわこの子。大発掘ですわ。
待って、なんでクロエこっちに近づいてくるんです?待って尊みの供給過多でおっ死にますことよ??
あ~~~ガチ恋距離~~~~!!!!
「...。」
「どうしました?」
「あっ!ごめんなさい、勝手にエレーナ様のお顔をじろじろ見ちゃって。」
「構いませんが、私の顔に何か気になる所でも?」
「あぅ、それは、えっと...あの...わたしとエレーナ様の髪飾りが左右真逆になってて、なんか...エレーナ様の姉妹になったみたいって思って!えへへ...」
クリティカルヒット!!!即死です!!!!!!!
はぁ~~~~...可愛すぎんだろうちの取り巻き...!!!
いやぁ...今日の舞踏会の主役、決まっちまったなぁ...。
「ふふ、そうですね。可愛らしい妹がまた一人増えてしまいました。」
「可愛らしいなんてそんなぁ...!!ふへへへ...!!」
真っ白な手で挟まれた顔は熟した桃の様に赤くてとろとろしている。
「さぁ、舞踏会へ参りましょうか。私の可愛い妹さん。」
「...はい!え、エレーナお姉さま!
「ふふ。」
扉の向こう側にはネロが待っていた。あたしオンリーはまだしも女の子の下着姿なんて見ちゃあかんでしょ?
「着替え終えましたか。玄関で馬車が待っていますので」
と、その前にー?!
「あら、私としたことが杖を忘れてしまいました。大変、取りに行かなくては。」
「...急ぎ目でお願いします。」
「えぇ。クロエはネロと待っていてくださいな。」
急ぎ足で自室へと戻る。
さーて、急がなくちゃ。
バックの中にはハンカチやガラス管に入った水銀、そしてエレーナの杖などが入ってる。
自分のを忘れたとは言ってないさ。忘れた...っつかーまだバックに入れてなかったのはこの隠してた箱の中身。
買った杖と「増強薬」と「妖媚薬」、あとルジェットで買ったライター。
急いでリングガーターを太腿に嵌めてその間に魔法薬を挟んで、杖はバックと同じ色の布で包んでバックの中にイン!
ライターはハンカチに包んで...これでよし。
駆け足で戻って...
「お待たせしました。無事取りに行けましたわ。」
犯行のための道具をな!!!
「早く参りましょう。遅れてしまいますから、てかもう遅れそうですから。」
「ふふ、ごめんあそばせ。危うく一番の楽しみがお預けになってしまう所でしたもの。」
「ったく...。」
急ぎ目に玄関へ行き、馬車に乗って出発進行。後ろには献上品を乗せたであろう馬車が続く。
穏やかに揺れる馬車の中で馬蹄の音と車輪のカラカラという音だけが耳に入る。
「...そういえば、ネロさんも舞踏会へ行くんですね。」
「私の執事ですので。供の役割位当然ですわ。」
「供と申しましてもお嬢様の身の回りの安全の確保程度ですがね。」
「そっか...。舞踏会、アメリアちゃんやノエルちゃんも来てるといいな...。」
「二人のことだから来てる筈よ。二人共、貴女の姿を見てきっと驚くでしょうね。」
絶対驚くぞー?可愛すぎて。
てか二人どころか参加者全員「あの愛らしい娘は誰だ?!」ってびっくらこくだろうさ。
「もうすぐ到着致します。御準備の程を。」
「えぇ。」「はっ、はい!」
そして王宮の入口目の前に馬車が止まる。
ネロが先に降り、安全に降りれるように手を引く。
周囲には各国からの来訪者が城の中へ続々と入ってゆく姿が見受けられた。
「行きましょうか。」
入口には王宮の衛兵が不審者がいないか見張っている。
「スィーヴハー侯令嬢、エレーナ・シャーグロッテ。只今参りました。」
「シャーグロッテ侯爵令嬢!お待ちしておりました!...はて、そこのお嬢さんは?」
「ひっ...」
「私の友人ですわ。それよりも献上品はどちらへ運べばよろしくて?」
「箱の方は厨房へ。バスケットの方は後程使用人が受け取りに参りますのでそのままお手元に。」
「ありがとうございます。ではネロ、箱を厨房へ運ぶ様に伝えて。」
「はっ。アンリ、ジュール、ベルナール、献上品の箱を使用人たちと共に厨房へ。中は割れ物故細心の注意を払って運ぶように。」
おーけーおーけー。ひとまずはホールへ向かおうか。
...はぁ、あのいっちゃん面倒臭いのをせにゃならんのか...。
先程の衛兵が伝達したのだろう。ホールの入口を潜ろうとしたその瞬間、トランペットの音色が高らかに鳴り響く。
「スィーヴハー候令嬢、エレーナ・シャーグロッテ嬢の御成ー-ーりー--!!!」
んなでけぇ声で言うな!!目立つでしょうがよ!!
あーあー、もう皆こっち見てるよ!言わんこっちゃない!!
とりあえずドレスの端を持って一礼一礼...。
「へ...?...へ...?!...な、なに...?!
「クロエ、私の真似をなさい。」
「へ、あ、はい...!」
ちょっと参加者ー?!クロエ怯えてんじゃーん!
「あれがかの噂の魔法嬢ね...。」
「フラムルンド王子の婚約者だよな...。」
「若くして魔法の天才だとか...。」
「あの王立校をたった三年で修了したらしいぞ。」
「美しい風貌をしておられる...。」
こっち見んな散れ散れ!見せもんちゃうぞあたしは!
「隣の娘は誰だ...?」
「見た目からして妹ではなさそうだが...。」
「オドオドしているわ。こういった場は初めてなのかしら。」
「もしや取り巻きか?」
「狂犬嬢と小狐嬢の他にいたのか...?」
「あぁ、あの地味な...。」
おっと?クロエの悪口か?グー出るぞ?今のあたしは。
「それにしても...可愛いな。」
「名は何というのだろうか...」
「小さなお花みたいな子ね。」
「...嗚呼、とても...愛らしい方ですね。」
じゃろ?じゃろ?!クロエ可愛いかろ?!
もっと言ってもええんやで?いやもっと言え。
いやいや待つんだ所沢結。本来の目的はクロエの可愛さを見せびらかす為じゃあないだろ?
殿下とヒロインちゃんをくっつける為じゃろ?
ヒロインちゃん探しをするんだハリーアップ!
そう思ってた矢先に聞き馴染みのある声が聞こえる。
「お嬢様ー!!」「お嬢ー!」
アメリアとノエル。やっぱ来てるよねぇ、よかったよかった。
「やっほーお嬢ー」
「お嬢様、今日は輪にかけた麗しさです...お嬢様?そちらの娘は.........?!クロエですか貴女?!」
「うっそクロエ?!マジ?!」
「う、うん...。」
「えぇ。可愛らしいでしょう?私の妹は。」
「「妹ォ?!」」
「あえっと、あのこれは...その...。」
「貴女...あなた...!!遂にお嬢様と姉妹関係を結んだのですか?!いつ、どこで?!羨ましい...羨ましい限りですわ!!もしかしてそのドレスを頂いた時に...!!という事はドレスだけに飽き足らずお嬢様の妹としての位置も頂いたということですか?!強情ですわ貴女!!私もお嬢様を『お姉様♡』とお呼びしたいのに!!いえ!かくなる上は勝手にお呼び致します!にしても羨ましすぎますわ!お嬢...お姉様は...」
うっわすんごいマシンガントークで草。
「はいはいストップストーップ。クロエビビってんじゃん。しかもお目々真っ赤だぞ?そんなすーぐ目赤くしちゃう子は忠犬...じゃない忠臣じゃないんじゃないのー?」
「はっ!忠臣...!も、申し訳ございません。つい驚きの余り我を忘れてしまっていました...。」
真っ赤な虹彩が灰紫に戻る。何故だか知らんけど興奮すると虹彩がこう赤ーくなっちまうんよな。
とんでもない設定だねぇ。異世界ってすごいねぇ。
「ふふ、姉妹関係など結んでいませんよ。ほんの冗談です。」
「じょ、冗談...。私、何かとんでもない勘違いを...。」
「まーまーいーじゃん、いーじゃん。それにしても、クロエってば庶民の癖に可愛くなっちゃってさ。素敵な羽が素敵な鳥を作るとはよく言ったもんだねえ。」
ノエルがクロエの頬や頭を優しく撫でる。ちょっとノエルさん?あーたそんなバブみ隠し持ってたんです?!
ちょっとノエルー?!クロエ真っ赤にして固まってんじゃーん!
「こりゃ沢山の男共が群がってくるぞぉ~!覚悟しときな?ク・ロ・エ・ちゃん?」
「へぇ?!いやいや...そんなわたしなんかと...」
「それは大変だ。ならば一足先にお相手願わなくては。」
「ふぇ...?」「──はい?」
なんぞ?!気配も無く近づいてくるとは...お主何奴?!
浅黒い肌にターバン...燕尾服だけど所々にガルム特有の装飾があしらわれてる...ガルム人..?
それに商人の国で教育熱心なガルム王国とは言え、このバイリンガル並みに流暢なバルバリシア語...結構な貴族か豪商と見た。
「気配も無く近付いてくるとは感心しませんね。ガルム王国の方とお見受けしましたが、まず名をお名乗りあそばせ。何処ぞの誰とも知らぬ者にクロエを預ける訳にはいきませんもの。」
「おや、驚かせてしまい申し訳ございません。何せ影が薄いものでして。申し遅れました私、ライル=アブジェンニと申す者。シャーグロッテ侯爵令嬢殿の仰る通り、熱砂と商人の島国ガルム王国から参りました。以後お見知りおきを。」
「ご存知の様ですが、私はエレーナ・シャーグロッテと申しますわ。こちらはアメリア・フーシェンとノエル・サージェルナド。そして...」
「く、クロエ...ピュリメヴェレ...です。」
あやしい、本っ当にあやしい。信用できんわ。何てったって....
こいつは糸目だ。
そう糸目!!糸目キャラは裏切りの証!!
糸目キャラのお兄さんは世界一信用ならん!これでCV石〇彰だったら裏切りの役満よ?!
や、でも今裏切る訳じゃないし...てかそもそも仲間ですらないし...。
もう今後関係しなければ被害は受けないよな...。
「確と記憶しました。では改めましてクロエ嬢殿、僭越ながら僕と一曲踊ってくださいませんか?」
膝をついてクロエに手を差し伸べるあやしいガルム人。
正味受諾も拒否もあたしに決定権がある。クロエはエレーナの判断に委ねるだろうから。
「は、ぅ...えっ...と、エレーナ様...。」
ん~~、まぁ、いいでしょう。金輪際彼に関わらなければ良いだけの話。クロエの相手にしてもいいよな。
「行ってらっしゃい。初めての舞踏会、楽しんで頂戴な。」
「じゃ、じゃぁ...よろしく、お願いします...。」
クロエがライルの手を取る。良い顔の男を目の前に顔が真っ赤ですわ。
「ふふ、こんな麗しき乙女の初めてを頂けるとは...この上なき幸せですね。」
「きゃぅっ?!はぅぅ...。」
クロエ、手を握られて肩まで薔薇色になっとるわ。うぶだなぁ...。
だけど一方であたしは内心顔面蒼白。彼の今の言葉に悪寒っつーか、なんちゅーか背筋がゾワワッ...って来た。
なんだろう...すんげー嫌な感じ。
ノエルも同じのを感じたのだろう。「ゔぇ~...」と苦虫を大量に噛み潰したかの様な顔が隠しきれていない。
アメリアも悪寒はせずとも一種の警戒心がフル稼働したようで、眼孔がかっ開き口をキュッと閉じて硬直してる。
そして動いたかと思えば軽食のボウルに入っていた林檎をおもむろに取り出し、
「クロエに少しでも危害を加えようものならば...貴方の金玉、『こう』ですからね?」
潰すな潰すな!...にしても牽制としては百点だ。ナイス。
「こんな愛らしい乙女を誰が傷つけられましょうか。ご安心を、ダルシムに誓って危害を与えないと誓います。ではクロエ嬢殿、どうぞこちらへ。」
「はぃ...。」
ライルにエスコートされながら踊っている人たちの中心へ行ってしまった。
「...うち、あいつ苦手だわ。」
「奇遇ですねノエル、私もです。何か嫌なモノを感じますわ、あの方。」
「それな。どこか漠然とした気持ち悪さが...。」
「ライル=アブジェンニ、覚えておきましょうか。」
「アブジェンニ、ねぇ...。どっかで聞き覚えが...。アブジェンニ、アブジェンニ...。...うっっわ、最悪...。」
ノエルがやっちまった、と言わんばかりに手で顔を覆う。
「何か心当たりでも?」
「心当たりも何も...アブジェンニってガルム王国のスルタンとこの名前じゃん。っちゅーことはあいつ...王族だよ。あーもーマジ最悪。」
「はああああ?!」
「王族...?!」
はあ?!マジで?!ガルムの王様って...あんな奴が血族にいるのかい?!とんでもねぇなオイ。
...となるとクロエは今、王族の人間と踊ってるって訳か...。
...はは、ヤッッバ...。
「けどライルなんて名前は記憶に無いな。一体何者なんだあいつ?」
「まぁ良いでしょう。いずれにせよもう関わらないでしょうし。それよりも!お嬢様お腹は空いていらっしゃいますか?軽食を持って参りますわ!」
「あ、うちも行こーっと」
「お願いしますね。」
...軽食を取りに行ってしまった。
ライル=アブジェンニ...か。面倒なことを起こさなければ...せめてあたしらを巻き込まなければいいけど...。
クロエ大丈夫かねぇ...変に誑かされてないかねぇ...。
...。
ホール中央部ではくるくると大勢の参加者が踊っている。
その周りには軽食を楽しむ者や踊り疲れて休憩している者、テラスで夜風に当たっている者とかが。
そして最奥の壇上には王様と王妃様。
...あれ?フラムルンド殿下おらんくね?サボり?困るんですけど...。
いや嘘だ居たわ。...ホールの隅っこに。
...王子様とあろうお方が隅っこぐらしですか。
夜会服も着てないしなんだいこいつ。
ちょっと話しかけてみっか。
「こんばんは殿下。何故斯様な隅に?」
「エレーナ侯爵嬢か。別に君には関係無いだろう。ただ人混みが苦手なだけさ。」
「左様で...。」
「あぁ。それに僕は舞踏会なぞ全く興味ないんだ。だがちゃんと君とは踊る、父上の乾杯にも魔法花火にも参加する。それで十分だろう。放っておいてくれないか。」
「...わかりました。殿下との舞踏、楽しみにしております。では暫しの間御機嫌よう。」
「君は君で楽しむといい。」
「勿論。」
すまんなぁ、殿下。君と踊る相手はあたしじゃなくてヒロインちゃんなんやで...。
ってそうだよヒロインちゃんだよ!ヒロインちゃん探さなきゃじゃん!
どこかにヒロインオーラ☆的なの纏ってる子はおらんかな~?おるじゃろ~?出てこい~?
「お嬢様ぁぁ!!」「お嬢ー!」
あらまアメリア達。もう軽食持ってきてたの。
「探しましたわお嬢様!どちらへ行かれてたのです?」
「ごめんあそばせ、殿下へご挨拶に参りまして。」
「あー、あの王子サマいたの。んでお嬢。軽食、持ってきたよ。」
「カナッペにサンドイッチ、コクテール、ソルベなどを持って参りました。」
「このポキってのが名前の割に意外といける味だったから食べてみてよ。」
「あぁ、それどこの国のでしたっけ。」
「アッカ聖国にある島の伝統料理なんだってさ。」
結構持って来たね~。よくこれを一つの大皿に収めたもんだ。
「ありがとう。ポキも是非頂きますわ。ところで、クロエはまだライル様と?」
「そう、ですわね...。あちらに...。」
「えっと、こ、これが?こうで?え?」
ぎこちないねぇ...頭上に?が浮かんでら。
「落ち着いて下さい。ほらこうやって、1,2,3,1,2,3...」
「1,2,3,1、ひゃゔっ?!」
あ、ドレスの裾踏んだ。
「おっと、大丈夫ですか?じっくり慣れていきましょうね。1,2,3,1,2,3..」
「1,2,3,1,2,3...」
「上手ですよ、この調子でいきましょう。1,2,3,1,2,3...」
...みーごとにエスコートしてて草。少し見直し...ん?なんだ?黄色い...ポワポワ?
煙?ケサランパサラン?いや違う、これは───!!
横へ振り向くと黄色いオーブを身に纏った少女の姿が目に入る。
エレーナと同い年位だろうか。このオーブは多分あたしにしか見えてない、っつーか何らかのフィルターがかかって見えるのか。
乙女フィルターならぬヒロインフィルターってか、なんじゃそりゃ。
いかにもヒロインみのある少女らしい、あどけない顔立ちに艶やかなピンクベージュの髪、煌めくアップルグリーンの瞳。そして月をモチーフとしたであろう可愛らしいドレス。
...間違いない。
ヒロインちゃんだ。ヒロインちゃんのご登場だ...!!
ヒロインはちょっと遅れてやってくるってか。
なんかアメリアが喋ってるけど、何故かヒロインちゃんから目が離せない。
ヴェルトにおいてこの上ない最高の悪口になっちゃうけど...まるで妖精のよう。
でも他の人は...殿下すらもあの子に目もくれていない。んな訳ないでしょ...。
どこの子だ?白い肌だから確実にガルム人やアッカ人では無いだろう。目鼻立ち的にもチェーリカ人やハルミット人、ルジェット人でもなさげ。
じゃあザンギエフかミズガルズのバルバリシア系?いや違う。
あの子、どの国の人間でも無い。
おかしい、ありえない。
ヴェルトに国家は七国のみ、なのにその中のどれでもない。
考え得るとしたら、まだ発見されてない国から来た人間か、あたしと同じ地球から来た...だけどあたしみたいに転生したんじゃない、転移してきたタイプの人間か。
どっちの推察もぶっ飛んでるけど多分、後者の方が可能性高いぞぉ...。
...はは、面白くなってきたなぁ!!!!ヒロインと悪役令嬢どっちも異世界から来てるのか!!
いんやでも、ヴェルトの常識とかインプットされてないってことはヒロインちゃんのサポートをする羽目になるのか...めんどいな...。
「お・じょ・う・さ・ま!!」
「っ!...どうなさいました?」
「いやどうも何もお嬢ずー-ーっと上の空で、軽食にもあんま手付けてないし...そっちこそどうしたん?」
「あぁいえ、少し気になる方を見つけまして。」
「気になる方...ですか?」
「私自身全く存じ上げない方なのであまりよくわかりませんが...。少し彼女に声を掛けてみようかしら。」
ワインフラグ立てがてら接触してみよう。どんな子なんだろなー?
アメリアに軽食を預け、ヒロインちゃん(推定)の所へ向かう。
鼻歌交じりにホールを歩く少女、あの子だ。
「~♪」
「こんばんは。今宵の舞踏会はお楽しみになって?」
振り向く少女が二、三秒こちらを凝視する。
凝視したかと思えば、満開の花束の様にぱぁっと笑顔を見せる。
右手首には無機質な銀色のブレスレットが煌めいていた。
「こんばんは!舞踏会、すっごく面白いです!ドレスはキラキラだし、軽食は美味しいし!」
「なら良かった。私はエレーナ・シャーグロッテと申します。貴女のお名前は?」
「リュンネ・ハーファス!エレーナさん、よろしくね!」
「よろしくお願いしますわ、リュンネ様。」
「へへ~」
元気な子だなぁ...。ヒロインらしからぬ気もしなくはないけど。
でも...
「ねねね、夏休みどこ行く?」
「家から出たくないでーす」
「そんなこと言わないでよー!夏休み全部家とか悲しすぎるって!」
「涼しい家からあっついとこにわざわざ行きたかないわ」
「じゃあ涼しいとこならいいでしょ!ほら海とか!...海いいじゃん!!海行こうよ!」
「えー」
「海の家でかき氷奢るからさ~行こうよ~」
「それじゃ足りんなぁ?」
「むー!じゃあフランクフルトも追加でどうよ!」
「...わかったわかった、行きますよ。」
「わーい!ゆいゆい大好きー!そう決まったら水着買いに行かないと!放課後見に行こうね!」
「スク水じゃダメなん?」
「ダメだよ~!」
...どっか皐月みたいで懐かしくなるわ。
皐月に会いたいなぁ...。
皐月に会うためにも今頑張んなきゃだよな。
...少し探り入れてみっか。
「リュンネ様はどちらからいらっしゃったのですか?」
「え~っとね、ブブロン村から!あとなんかむずむずするから様付けは禁止!リュンネって呼んで、エリー?」
「え、エリー...。承知しました。それにしても同じサンギエフ国民だったとは...これも何かのご縁でしょうか?」
「もしかしてずっと前に会っちゃってたりして?」
「そうかもしれませんね。」
記憶にはないけどな!!
てかぽろっと言っちゃったけど「ご縁」って単語、通じるんか...。益々異世界人疑惑が濃くなるぞ...。
疑惑を確信に変えるためにどっかのタイミングで仕掛けるか。
「あ~...舞踏会、終わってほしくないなぁ...」
「それ程までにお気に召されたのなら光栄ですわ。」
「いやすっごく楽しいのもそうなんだけど、帰りがなぁ...」
「馬車でいらっしゃられなかったので?」
「そうなんよ~、馬とか無いから空飛んできちゃって。」
ここだ!!
「あら、箒でいらしたのですね。速度が速すぎてしまうとその『妖精』の様なお姿が台無しになってしまうでしょう?」
「まぁねぇ~...このドレスはおきにだけど、かっ飛ばさないと家帰るの遅くなっちゃうし。妥協妥協。」
...妖精と聞いて嫌な顔一つしてない。というか完全にスルーしやがった。
異世界人確定です、対戦ありがとうございました。
となると、多分ブブロン村ってのは拾われた所なのかな?
okok、全て理解した。
後はエレーナ本来の仕事を除けば、リュンネと殿下に魔法を掛けるのみよ!
「では私はここで。どうぞこの後も舞踏会をお楽しみ」
パー!!パーパラパッパッパー!!
?!?!トランペットの音?!
でもザンギエフ王宮の音とは違う...いやまさか...!!!!
「ミズガルズ王国王子、『氷雪の貴公子』グラシアン=ミズガルズ殿下の御成ー---りー---!!!」
「...っ、来たか。」
「...♪」
わ~~~~、来たよ来ちゃったよ!!
ザンギエフ王国のライバル国、旧ザンギエフ王国の片割れ!
その王子が!!
周囲が一気にざわつく。あたしやクロエの時なんかとは比にならない。
グラシアン王子の整った唇が弧を描く。
「ご機嫌よう、玩具のお城の様なザンギエフ王宮にお集まり頂いた紳士淑女、そして麗しきマドモワゼルの諸君!革命と科学の国、ミズガルズ王国王子グラシアン=ミズガルズ、此処に推参した!」
「...グラシアン。」
大衆を退け、ズカズカと殿下がグラシアン王子の元へ歩む。
その顔はいつもより一層きつくなっていた。
「...フラムルンド。」
殿下を認識した途端、不愉快そうに水色の目を細める。
しかしそんな顔も束の間、笑顔で迎える。
修羅場の予感...!!!
「やぁやぁこれはこれは、不愛想で堅物なフラムルンド殿下。ご機嫌麗しゅう。今日もしかめっ面は相変わらずだな。...ほんと、憎たらしいったらありゃしねぇ。」
「...君も相変わらずだな、グラシアン。」
「はんっ」
ピリピリとした緊張感がホールを駆け巡る。
国王陛下は静かに二人を玉座から見つめている。
背筋からは寒気と粟立ちが止まらない。
だけど、その中には得体の知れない哀愁も潜んでいて。
「ドレスコードはどうしたんだ。君の国は夜会服の一着も持てない様な王族が統べる貧国だったのかい?」
「オレはそんな改まった夜会服なんて着ずとも十二分高貴で美しいからな。」
いや理由になってないぞ??
王子同士揃いも揃って夜会服着てないとかどうなってんのよ...。
「そ・れ・に、お前も人の事言えたもんじゃないぜ?お前こそそんな真っ赤なおべべじゃなくて夜会を着たらどうだ?」
それはそう。主賓がドレスコードに則ってないってのはアレじゃろうて。
「舞踏会に興味が無いんだ。ダンスも必要最低限しかしない。ほぼ参加しないにも同義だろう。それなのにわざわざ夜会服に着替えるなんて馬鹿馬鹿しいにも程がある。僕は君のように女性を引っ掛ける軽薄な男でもないしね。」
「引っ掛ける?失礼だなエスコートしてんだよ、マドモアゼルをな。エスコートと誘惑の違いもわからないなんて童貞王子は流石だな!」
「好色家になるよりよっぽどマシさ。それに『童貞』なんて汚い言葉を公衆の面前で使う奴よりも、ね。」
「...その堅物な態度と澄ました顔。本当につまらない、憎たらしいぜ、フラムルンド。お前って男は。」
「僕も一国の王子として恥ずべき君の不真面目さと下品さは本当に嫌いだよ。グラシアン。」
「つくづくオレらは気が合わないな。」
「それが宿敵というものだ。それに、気を合わせたいとも思わないだろう?」
「はっ!勿論。」
間に入る隙が無い!!てかなに間に入ろうとしてんだエレーナ!
緊張でホールが静まり返っている...ホールに響くのは二人の声と外の木々の騒めきだけ。
「...まあいい。君も今宵は舞踏会の来客だ。迷惑を掛けないのであれば、存分に楽しむといいさ。」
「言われなくともそうするさ。今夜の目的は敵国の視察なんかじゃなく...麗しきマドモアゼルなんだからな。」
「きゃっ?!」
手慣れたように近くにいた女性の手を取り、甲にキスをする。
途端、周囲が堰を切ったかの如くざわつき始めた。
「...。」
「さぁ、今夜は楽しもうじゃないか!!」
その言葉を機に舞踏会が再開した。
「んじゃオレはここで。じゃあな、堅物王子サマ♪」
そう言うとグラシアン王子は殿下の横を通って群集踊る中心へ立ち去ってしまった。
これで...一安心、かな?
「リュンネ...」
隣を見るとリュンネが瞳を輝かせ、興奮した笑みで両頬を手で覆っていた。
何かぶつくさ言っとるけど...何言ってるんだか全くわからん。最早人語じゃなくなってない?
「リュンネ?」
「はっ!!!ねぇエリー!!あの人たちは?!宿敵って?!」
グラシアン王子を知らない...のも当たり前か。異世界人だもんな。
しかし来たばかりだとしてもザンギエフ領内にいたんだからフラムルンド殿下は知ってるでしょ。
...いやでもそんなもんか?あたしも前世皇太子は勿論、両陛下のお名前言えんかったもんなぁ。
「先程の青い方の方はグラシアン=ミズガルズ王子、隣国のミズガルズ王国の王子でございます。そして赤い方はフラムルンド=ザンギエフ殿下、我が国の王子ですわ。我が国とミズガルズ王国は敵国同士なのはご存知かもしれませんが...王子すらも宿敵同士なのです。」
「へぇ~...漫画みたーい。」
「そして自慢とは言いたくないのですが、フラムルンド殿下は私の...許婚なのです。」
「いい...なずけ...?エリーが?」
「えぇ。」
「へぇ~...ふ~ん...そうなんだぁ...。」
「愛情もへったくれもないのですけれどね。」
「...。」
ごめんな...ガチの自慢じゃないのよ...一応知っといて損はないかなぁって思ったのよ...許してクレメンス...。
「そ、そういえばリュンネはおいくつなのです?」
「歳?えーっと...十七!」
あぁ良かった十五歳以上だ...!!助かった...!!
「あら、同い年ですのね。なら良かった。リュンネ、ワインはお好き?」
「好きも何も飲んだこと無いよ~、だって成人じゃないもん。」
「十五歳以上でしょう?立派な成人ではないですか。」
「あ、わたし成人なの?!そっか~!成人かわたし~!」
「成人であれば飲酒も可能な筈。今宵シャーグロッテ家からワインの献上品がございまして。そのワインを振舞う予定なのです。良ければ一杯いかがかしら?」
そして魅了魔法に掛かってくれ!!
「ワインを振舞うなんてエリーんち凄いんだね~!友達がそう言うんだったら、わたしも生まれて初めてのワイン、飲んじゃおっかな~?」
「是非頂いて下さいな。」
「ねね、それって王子様も飲むんだよね?」
「?...そうですけど...。」
「王子様と同じワインを飲めるなんて滅多にないでしょ?だからちょっとドキドキワクワクしちゃって!」
「殿下とお飲みになるワインが初めてのワイン...良いですね。」
よーし、布石は置いた。飲んで魔法に掛かってゴールインはすぐ近く、気張っていこう。
「友人が待っておりますので私はここで。」
「ざーんねん。もっと話したかったんだけどな...。そうだ!エリーの友達、いつか紹介してよ!わたし、もっとエリーの事知りたい!」
「機会があれば、ゆっくりとお茶会でもしながらしましょうね。」
「絶対だよ~!約束だからね~!」
魅了魔法掛かったらどうせあたしにも友人にも興味無くなるさ。
殿下にべったりな日々を過ごすんだよ君は。
恋心洗って待ってるんだな!!!
「只今戻りました。あら、クロエもおかえりなさい。ライル様とのダンスは楽しめましたか?」
「はい!初めてで上手に踊れなかったけど...。ライルさんが優しくエスコートしてくれたおかげで、すごーく楽しかったです!」
「ならよかった。」
「また...ライルさんと踊りたいなぁ...。」
未だ興奮冷めやらず、クロエの頬は頬紅など要らないくらい薔薇色に染まり、ペリドットの瞳は夢見心地にとろりと溶けている。
かー--っっ!!!完っ全に女の顔だよ!!
なーにうちの純情無垢なクロエにそんな顔覚えさせとんじゃいライル=アブジェンニ!!!
「お嬢様、お預かりしていた軽食ですわ。追加にベリーのカクテルとファンナもどうぞ。」
「ありがとう。でも流石にこれ程の量は食べきれませんわ。もう一皿頂けるかしら。」
受け取った別皿に食べきれないもの...トマトとチーズとバジルのサンドイッチにフルーツのカクテル、生ハムとトマトとチーズのピンチョス、ベガベリーであろうベリーのソルベ、そしてファンナ、まぁ地球で言うところの杏仁豆腐をのーせーてー...。
え、シェードラのソルベ?渡さないに決まってるじゃないですかやだなぁ。
「どうぞ、クロエ。」
「あぇ、あ...。いいん、ですか...?」
「まだ軽食をお食べになっていないでしょう?舞踏会の軽食はザンギエフだけでなく世界中の食べ物が並べられているの。例えばこのファンナはアッカ聖国のお菓子ですのよ。ファンナは比較的どこでも食べられるけれど、現地に行かなければ食べられない様なものもあるわ。こんな機会、滅多に無いのではなくて?」
「そっか...!じゃあ、いただきます...!」
クロエが一口運んだ途端、白くてつやつやなあん...ファンナに目を輝かせる。
「わぁ!ツルッてなった!おいしい...!エレーナ様!」
キラキラした瞳でこっちを見上げ...ぐほぁっ...!!
「ふふ、存分にお食べなさいな。」
あ~...ものすっごく美味しそうに食べるじゃーん...。正に眼&福。
「てかお嬢結構な長話だったじゃん。そんなに魅力的な子だったん?」
「えぇ、可愛らしいお嬢さんでした。いつか貴女達にもご紹介したいわ。」
「へぇ~...どこ生まれだったのさ?」
「ブブロン村ですって。だからノエル、貴女が付け入っても何も利益はありませんよ。」
「ちぇ~。」
「そういえば、アメリアちゃんたちは踊らないの?」
「...はは、私と踊ろうなんて思う方がいる訳ないでしょう?」
「でしょうね~。わざわざ『狂犬嬢』に近付く命知らずはいないっしょ。結果見事に『壁の華』だけど。」
「か、壁の華...?」
「そういう貴女はどうなんです?」
「うち?あんたと同じかまだマシなレベルじゃね?だってこちとら『「賢き狐」の最高傑作』よ?近付くのは相当な馬鹿もしくは狐の力を借りるか利用したい奴だけ。そんでもうかうかしてると噛まれて痛い目見るんだから普通の脳してんなら誘わんでしょ。」
「と、言う事は貴女も『壁の華』ですわね。」
「ねぇ、壁の華って...。」
「別にいーんだよ。旨いもの食べれるし、それに...。」
...さて、作戦実行前の最終確認だ。
まずは場所。二階の観覧室。
昨日エレーナパッパと前日のご挨拶に行った時に、あそこの一室に魔法が掛かる日時を設定できる魔法具を設置した。
偽装魔術で大勢の人間がいる様に見せかけてる上に、監視カメラ的なのも雷属性魔法の応用でジャマーもどきを掛けてあるから完全なる安置。薬物混入も魔法も行うならそこでだ。
そして薬、これは考えるまでもないか。薬瓶はスカートの中、あの部屋でワイングラス二つに投入する。
あとは魔法か。呪文も振りも完璧。色々準備とかあったのによくここまで出来たもんだ。我ながらに天晴ですわ。
懸念点があるとすれば、この魅了魔法は掛かりにくくしてるから、薬がちゃんと回るまで無効果。だから魔法を掛けても効果が出るまで若干のディレイがある。
変なタイミングで効果が発現しちゃわないか心配。まぁケース・バイ・ケースとしか言いようがないけれどね。
それにホール中に散布する形をとってるから、もし間違えた人に薬入りを飲まれたら計画が完全に破綻する。
おっかなびっくり案件だけどちゃんと覚えればいいだけの話だし、心配する必要ないよな。
...よし、いける。あたしはやりきるぞ、この作戦を。
半年ぶりですね、若柚子です。
ついに始まりました王宮舞踏会。運命の日。
今回は新キャラとしてガルム王国の王族の血縁らしき青年ライル=アッラシード、結曰く物語のヒロインリュンネ・ハーファス、そして敵国ミズガルズ王国の第一王子グラシアン=ミズガルズが登場しましたね。彼らがどのように物語を引っ掻き回すのか是非楽しみにしてください。
因みに当作品及びヴェルトでは地球と同じ果物や野菜、宝石などが違う名前で現れるので、そういった一覧表みたいなのを作成した方が見やすくて良い感じですかね?それだったら魔法の一覧表も出したいですね。
実はプロット上ではまだ半分も行ってないのですが、この時点で一万五千文字越えてて流石にチキりました。どんな結果となるのは次回か次々回のお楽しみということで。
長々とご読了ありがとうございました。また次回をお楽しみください。若柚子でした。
そういえば気付けばこの作品も七月に一周年迎えてるんですねぇ。今の今まで全く気づきませんでした...。何か一周年記念として挙げましょうかねぇ...。