九月十一日
九月十一日
よく晴れた日。行き先を決めた。都市シュシュだ。どうしてシュシュなのかといえば、ただ人が多いから。人が多いとそれだけ出遭える、ようになるかもしれない。都市シュシュまでの道のりの町や村を経由していけば、かなりの人に会えるはずだ。考えてみれば、ぼくの知っている世界は狭かった。狭い狭い社会で、知ってる人はぜいぜい二十人くらい。これは大問題だ。ぼくの方はみな他人で、名前も顔も存在すら知らないのに向こうはみなぼくの存在を知っている。こんなんで出遭えるはずがないのに。ぼくは何をしていたんだろう。夢から覚めたような気分だ。靄というか。霧が晴れたような。思考がはっきりして言葉もすらすらと口をついて出てくる、ようになった気がする、だけかもしれないけれども、ぼくはそう思わずにはいられない。何がぼくをそうさせたんだろう。
「九月九日」は九月九日(昨日)の分、
これは九月十日(今日)の分です。