九月二日
九月二日
都を出てホーンの丘に着く。幸いにも晴れているのでここで野宿。そうそう、髪を染めた。祭の時に使うあれで髪を赤毛にした。
あの子は来るだろうか。来なかったらどうしよう。来なかったら? まあ別にいなくても困るわけじゃないからそれはそれでいいんだけど。おい、日記のなかで強がっても意味無いだろ、このばか。一人じゃ淋しいに決まってる。
そういえば彼はもう出遭ったのかな? なにかを所有しているのかな? 今の今まで考えもしなかった、なんて間抜けなんだろう。もし、もし彼がぼくの持ち主だったら? うん、ありえないことは知ってるよ。人生そううまくいかないから。でもありえなくもないだろう? ちょっと想像してみよう。ぼくの主人がとうとう現れる。うーん。想像できない、だってそれがどんなものか知らないんだから。けど彼がぼくの主人であっても、それはそれで困る。せっかく出てきたのに旅はもう終わり? ちょっと待って、そうならぼくはどうなるんだろう?
今、ジェスがいれば、と思ったけどそんなことを考えて後悔しても意味がない。だから寝る。