六月五日
六月五日
今日は祭だった。やっぱりぼくは帽子に髪を全部隠してフリアンと一緒にいた。フリアンは賑やかな人だから一緒にいてちょっと疲れるけど彼のことは好きだ。ぼくが上手く喋れないのを解ってくれているから言葉を細かく砕いてくれる。彼の隣にいればいつか彼のようになれるかな。
町の広間で曲芸を披露した。ちゃんとした格好をして。ぼくは球乗りしながらジャグリングが得意だ。誰もぼくをぼくと気付かなかった、フリアンが髪を染めてくれたから。帽子を差し出して礼の言葉を言うと、お客たちが小銭を投げ入れてくれる。稼いだ分でぼくは万華鏡を買った。古い古い万華鏡で、店主さんが安くしてくれた。
髪の色は戻した。ぼくはそうしたくなかったのだけれども。ジェスが駄目だというものだから。ちぇ。