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ヴィヴが家の前に着くと、玄関のドアが開いて父親と母親が転びそうになりながら出てきた。
「ヴィヴ!ヴィヴ!」
「ただいま!お父さん、お母さん・・・危ないよ。」
ヴィヴは二人の肩を優しく抱いて家の中へ入った。自分も未だに驚いているが、それ以上に両親の方が慌てふためいていていろいろな気持ちが溶けて軽くなっていくような気がした。
そのあとも、二人はヴィヴ本人よりも騒いでいたので、彼は諦めて荷物の整理をするために部屋に行くことにした。
明るくて賑やかな両親に似たのか、ヴィヴ本人も明るいと言われることが多い。しかし、自分がいなくなったら両親はどう思うのか、寂しがるのではないか・・・と思ったりもしたが、何となく大丈夫なのではないかという気がした。
自分の部屋を見回すと、機械いじりが好きなヴィヴの為に父親がプレゼントしてくれた型落ちしたパソコンが目に入ってきた。他にも、ヴィヴの部屋には様々な機械や工具が並んでいる。
一番最初に手に入れたのはドローンだ。買ってくれたのは店にある中で一番安いものだったのだが、ヴィヴはとても大切に抱えて帰ったことをよく覚えている。ヴィヴは、ドローンを改造して小型カメラも取り付けた。庭に生えている背の高い木に巣を作った小鳥を観察したかったのだ。
「ヴィヴ、機械いじりが好きなんて、まるで叔父さんみたいだなぁ。お前の叔父さんは有名な発明家なんだぞ。父さんはまったくそういった才能がなかったけどな。お前がいてくれて、叔父さんも心強いだろう。叔父さんは今でも世界を飛び回っていて、いろいろな発明をしているらしいぞ。」
父親が発明家の叔父のことを話してくれたのは、それが初めてだった。親戚も、かなり長い間会っていないので話題にもならなくなっていたのだ。ヴィヴが聞いて回ったところによると、専門的な知識があるためか、あまり会話が弾まない人だったと口をそろえて言われた。
「皆には変わった人だったって言われたけど、いつか叔父さんに会ってみたいなぁ。叔父さんの発明品を見せてもらいたいし、俺の発明品についてもアドバイスしてもらいたいな。」
リベロでどんな任務をするのかわからないが、別の世界に行くのは今もどこかにいる叔父のようで少しわくわくした。
「バックには着替えと工具箱を入れて・・・そうだ、家を出る前に家族で写真を撮ろう!思いっきり笑顔の写真を!」