表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消滅指定都市リベロ  作者: 東堂 アカリ
1/72

1 序章

『お願い…お願い、目を覚まして…あなたが諦めてしまったら、あなたを救ってくれた人の心が死んでしまう…お願い…』




ピッピッ  ヴィーーーーー………




 機械の中でぐったりと目を閉じた少女は、ここに運ばれてから一度も目を開けたことはない。

この子だけではない。小さな赤ん坊から、もっと大きな子供まで、目を開けず、声も出さず、たまに少し動くくらいだ。


私の役割は『セラピーベッド』と呼ばれる医療ベッドに できるだけ多くの子供たちを入れて治療すること。

簡単な病気の治療程度なら10分もあれば十分だろう。ただ、ここにいる子供たちは10分では完治しない。

この部屋に医療ベッドは8台、私は詳しく知らないが他の部屋にもあるという。全部でいくつあるのか私はわからない。

そんなことよりも、ひっきりなしに運ばれてくる子供たちの数が多すぎて治療が間に合わない。ベッドが何台あるのかなんて考えられないくらい、治療を待つ子供が多すぎるのだ。


私が、以前勤めていた研究所から この病院に来たのは半年前だ。

ここに来てから、もう一人の医師と交代に最低限の休憩と少ない睡眠時間で、文字通り「休みなく」働いている。


私の仕事は『患者を医療ベッドに運ぶこと』、ただそれだけ。


 ひっきりなしに運び込まれる患者を…かろうじて 息をしている状態の子供たちを、  

できるだけ 全員 死なせず 完治させること。


 ただ それだけ。


私は いつも心の中で、子供たちに祈るように話しかける。


『お願い…目を覚まして…生きることを諦めないで…

あなたが諦めてしまったら、あなたを救ってくれた人たちの心が死んでしまう…

どうか…お願い…』





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ