うしなったもの てにいれたもの
冬童話2021投稿作品です。
こうしゃくさまと おくさまの そばにいるために けっこんをしたいという おうじさまの めのまえで おけしょうをおとした アグリー。
きれいじゃない かおをみせたら あきらめてくれるかと おもったのに おこらせて しまったみたい! どうしよう!?
おうさまと おうじさまの まえで おけしょうをおとして ちいさなめ ぺちゃんこのはな そばかすだらけのかおをみせたあと。
しょんぼりしてかえったアグリーを こうしゃくさまと おくさまは あわてて だきかかえました。
「どうした!? だいじょうぶか!?」
「アグリー あなた おけしょうを……」
ふたりは アグリーが おうさまと おうじさまのまえで なにをしたかを さとりました。
「だいじょうぶだアグリー。 もしおうさまがおこって アグリーに ばつをあたえるなら わたしもいっしょに うけよう」
「わたしたち よ」
「おとうさん……! おかあさん……!」
ふたりのことばに こらえていたなみだが あふれだしました。
「もしこのいえを ついほうになったら どこかで おみせでも ひらこうか」
「すてきね。 そうしたら おしごとの せんせいは
アグリーに たのまなくちゃ」
「うん! がんばる!」
しあわせな じかんは あさまで つづきました。
よくあさ おうさまから めいれいが くだされました。
「そんな……」
こうしゃくさまは ことばをうしないました。
ひとつ こうしゃくさまの いえを とりあげる
ひとつ そのいえは みなしごのために つかう
ひとつ こうしゃくさまと そのおくさまは
「だいじんとして おしろで アグリーと いっしょに くらすこと……!?」
おうさまは おこったのでは ありませんでした。
みなしごを じぶんのこどもとして だいじにする こうしゃくさまと おうじさまとの けっこんをことわってでも いっしゃにいたいという アグリーに かんどうしていたのでした。
おしろに よばれた こうしゃくさまは おうさまから うれしそうに かたを たたかれました。
「こうしゃく! きみの やさしさは すばらしい! このくにの おおくの おやのない こどもたちを わしとともに すくってほしい!」
「もったいない おことばです。 ぜんりょくを つくします」
おうじさまが アグリーに ちかづきます。
「これで かぞくとは はなればなれに ならないだろう? あらためて ぼくと けっこんしてほしい」
「でも わたし ぜんぜんきれいじゃないのに……」
「きれいだよ」
おうじさまのめが アグリーをまっすぐ みつめます。
「おとうさんと おかあさんのことを なによりだいじにおもう そのこころが ぼくは きれいだと おもったんだ」
「えっ……!」
アグリーは まっかに なりました。
「いますぐじゃ なくてもいい。 でもぼくは きみいがいを おきさきに するなんて かんがえられないんだ」
そういって おうじさまは アグリーのてに キスをしました。
こうして かおは あまりうつくしくないけれど やさしくて がんばりやの アグリーは あたたかいひとに かこまれて いつまでも しあわせに くらしましたとさ。
めでたし めでたし。
最後までお付き合い、ありがとうございました。
どうわらしい ハッピーエンド。
マンネリと いえなくもない。
……何とか期間内に完結できた……!
『さがしもの』テーマで、童話っぽく、かつなろうっぽいサクセスストーリー的な内容を意識して書いてみました。いかがでしたでしょうか?
この企画のお陰で、童話を書く楽しさを改めて感じさせていただいたので、この企画が終わった後も、何かの折に書けたらと思います。
ありがとうございました!