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みつかった かけがえの ないもの

冬童話2021投稿作品です。


こうしゃくさまと おくさまの なかなおりを みとどけて おやしきを はなれた アグリー。

でも そのむねには いままで かんじたことのない さびしさが ふゆのかぜのように ふきあれていたのでした。

 それは ほんとうに とつぜんでした。


「アグリー!」


 やすみのひにいちばで かいものをしていた アグリーが おおきなこえに ふりむくと そこには いきをきらせた こうしゃくさまが たっていました。


 いままで みたことのない こわいかおを していました。


(おこられる……!)


 からだを ぎゅっと ちぢこませた アグリーのかたを こうしゃくさまのてが らんぼうに つかみました。


「……よかった……!」


 そのまま ぎゅっと だきしめられて アグリーは わけがわからなくなりました。


「ばかもの……! どれだけ しんぱいしたと おもっている……!」


 こうしゃくさまは やっぱり おこっていました。

 そして ないていました。


 アグリーの めからも なみだが こぼれました。




「アグリー! よかった ぶじだったのね!」


 アグリーは ばしゃに のせられて もどったおやしきで おくさまからも だきしめられました。


「あなたが めいわくだなんて だれが いったのですか!」


 おくさまも おこっていました。

 でも しごとで おこられるのとは ちがって なんだかうれしい おこりかたでした。


「あなたと おかしを つくったとき 『こどもがいたら きっとこんなふうに しあわせなのね』って おもえたのよ?」


 アグリーは びっくりしました。

 そんなふうに おもってもらえてるなんて そうぞうもしませんでした。


「だから だんなさまに いえなかった つらさが はなせたんじゃない! あなたはもう わたしの むすめよ!」


 なみだが あふれました。

 おくさまからも アグリーからも。


「あ あたしも おくさまが おかあさんだったら いいなって……」


 アグリーを だきしめる ちからが いっそう つよくなりました。


「ほんとう? ほんとうなの? じゃあ もう このやしきから いなくならないのね!?」

「はい!」


 ふたりは うれしくて うれしくて こえがかれるまで なきました。




 アグリーは すこしして せいしきに こうしゃくさまのいえの むすめになりました。


 きぞくのなかには きぞくではないアグリーを よくおもわないひとも いました。


 でもアグリーが おけしょうをして きれいなドレスで ぶとうかいに でたときには だれもが びっくりしました。


 それは そうなのです。


 たいせつな むすめのために こうしゃくさまと おくさまが おけしょう ドレス アクセサリー すべてを かんぺきに よういしたのですから。


 おけしょうで めはぱっちり そばかすも かくせましたしね。

読了ありがとうございました。


こうしゃくさま よくやった。

アグリーを みにくいと わらったことは これでチャラに してやらんでもない。


次の話もよろしくお願いいたします。

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