欲情
地下街の天井の中心に妖明石がひかっていて、その下に川が流れている。
光でキラキラ光っている水面はどこか美しい。
わたしたちはその浅い川に飛び込んで、溺れるように水を飲む。
水面から顔だしお互いに笑いながら水をかけあう。
「何で笑ってるのだ?」
にヒヒと、執事は地面を指さす。
「砂金ですよ俺たちはいま金のなかにいるんですよ。おまけに水草もあるってことは外にこの川が通じてることを指す。
お嬢様外に出たらこの土地を買い取りましょう。黄金の国ジパング復活の勢いでこの地下を観光地にするのもいい。」
お嬢が流暢に喋るドルシェを白い目で見た軽蔑は目の輝きだった。
メノンのことを忘れているのか?いや、
忘れたいのだと思う。
お嬢は服を下だけ脱いだ。
「お嬢様?」
「ドルシェはわたしを殺すため仲良くして、わたしを惚れさせたのだ。」
トボトボと歩くお嬢はドルシェの鍛えた肉体美を見て抱きよった。
ドルシェはメノンのことを思い出し迷う。
お嬢は、か細い声で、「男らしくないぞ」と誘ってくる。
「お嬢様- - - -大きくなりましたね。いけないことはバレずにやるものですよ。わたしはもう妻がいないからと癒してくれても、うれしくありません」
お嬢は抱きつきながら断られたことに泣いてしまう。
「この砂金、私に譲ってくれないでしょうか。わたしがあなたと対等になれて、あなたが大人になった時わたしから、想いをお伝えします。
お嬢様。」
最後のセリフ「お嬢様」がドルシェの私に描く壁なのだった。