第1話 キャラクタークリエイト
─────────AWO─────────
それはAnother World Online の略称で、このAnother World Online はFully immersive type(完全没入型)のハードウェア(ヘッドギア型)を利用して実際にゲームの中の世界を楽しめる─────二次元を具現化した理想の機械だった。─────そもそも意識の没入技術は2040年頃から注目され始めて2050年には実用化に至った。
その技術をゲームに転用したのは更に技術が進歩した2070年代から出始めた。────それこそ初期のゲームは面白味が少なく、まだテレビゲームや従来のVRゲームの方が人気があった位だった。それでも完全没入技術のゲームへの転用は画期的であり、その将来の市場を見込んだゲーム会社各社はこぞってその技術開発とゲーム開発を行い、新たなジャンルのゲーム──────Fit VRMMO ──────を各社が発売し瞬く間に世界に広まった。そしてその業界のトップを当初から常に走っている日本の会社である『アビス』は前作のアルカディア・オンラインと言うVRMMOで大きな注目を浴びた。そしてそんな『アビス』が今回新しく発表したゲーム──────Another World Online ──────AWOを発表したのだった。
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僕は鷹野万紀廻。女の子みたいな名前だけど歴とした男子だからね。まあ見た目が······完全に女の子だから僕が外を歩いても誰も男の子だと分かってくれないけどね。しかも母親の方がイギリス人でしかもモデル並みの美人で、どうやら僕はお母さんの遺伝子がかなり強い様で金髪に碧眼なのに日本人のような堀の浅い顔なので、中々二次元に登場するような顔になってしまっている。しかもそれに身長が150位しかないので尚更幼さを醸し出している。言っておくけどこれでもちゃんと高校生だからね。でも高校生と言っても僕は既に卒業の内定を貰ってしまっている。それは何故かと言うとここ最近始まったことだが国家ぐるみで行われている人工的な学力の強化が行われていてそれの結果が良い人だと一気に大学卒業レベルまでになってしまっている人も居る。
僕は何と国立大学卒業レベルにも成ったから驚いたよ。この学力強化の特徴としては、これを受けた15歳以上なら何と無条件に大学の入試資格を得れる事だ。その理由は学力強化を大体13~15で受けるのだけども、これを統計学的に最低でも高校卒業レベルの学力には成ることが判明しているのでこれを受けたら大抵どの大学も受けられる。
これを説明してしまえば学校何か必要無いんじゃないかと言う人も居るかも知れないけど、この施術は12~20までの間しか効果が無いことが判明しているので最低でも小学校には通う必要がある。まあ、飛び級してしまうと精神が未熟なまま社会人になってしまうのではと言う懸念もある現状なので、適正年齢までは社会人には成れない仕組みだ。で、僕はまだ15なので働けないことも無いけど僕はバイト程度に留めて18になったらどこかの大手企業に就職しようかと考えている。
と、言ってもバイトだけではかなり時間が余ったけど、最近発売を表明した『アビス』のAnother World Onlineを僕は幸運な事に予約することが出来た。
このAWOは初回生産分が僅か二万本に対して予約者数は約1000万人だ。僕はその中で幸運にも予約できたので、今までコツコツ溜めてきた貯金を叩いてハードウェアのヘッドギアとソフトのAWOを購入した。参考までに価格は、ヘッドギアが諸々込みで定価が150,000円。AWOが25,000した。
正直に言ってしまうと、この初回分を予約出来なくても次の2陣をと思っていたけど、でもそれをあっさりと予約出来てしまったのだから本当に驚いた。
で、このAWO何だけどこれのコンセプトが自由な世界を楽しもうと言うことで、本当にその通りで本当に何でもできる。それこそ自分の国をゲーム内で建国出来るらしい。とにかくそれくらい自由度の高いゲームなんだ。
それでそのヘッドギアとソフトは今日届くので僕はそれをドキドキしながら待っているんだよ。
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先程宅配で本体とAWOが届いた。AWOの正式サービス開始は今日の丁度正午なのに対して現在は11:00。まだ一時間あるけどこのゲームはサービス開始前にキャラクター作成が出来るので、僕はサービス開始直ぐに遊べるように今からキャラクターを作成することにした。先ずは本体の方の設定とかは色々あるけど最新型のを買ったお陰か直ぐに終了して使える状態になった。まあ、元々ゲーム用なので設定する事は殆ど無かったけど。
次にその本体の方にソフトを挿入してインストールを開始した。このソフトは本体にゲームをダウンロードする為だけのソフトなので一度インストールしたら別にソフトを挿入しないでも遊べる。非常に画期的だった。
そしてインストールも完了して次はいよいよキャラクターの作成だ。
僕は没入を開始するための言葉を唱えた。
「ダイブスタート!!」
その言葉とともに一度視界が暗転。すると直ぐに別の空間に現れた。そこは従来のゲームで言うホーム画面で、此方ではメインロビーと呼ぶ。僕はそこからAWOのアイコンをタッチしてAWOを開始した。
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生体データ確認────────完了。
ゲームデータ確認────────完了。
インターネット接続確認────────完了。
『Welcome to Another World Online!!』
「ようこそAWOへ!!私は設定アシストAIのマキだよ!」
驚いた事にこのゲームでのキャラクター作成にはわざわざAIが付いてくれるらしい。
「あ、うん。宜しくね。」
「よし!それじゃあ先ずは君のこの世界での身体を作ろうか。」
そうマキが言って僕は僕のゲームでの身体を作った。それは現実のものと殆ど変わりは無いけど唯一身長だけはこのゲームで限界である、現実での身長プラス5センチまでしている。
他は特には弄らずに現状のままだ。
「うん!決まったね。それじゃあつぎは君の種族を決定しよう!!」
そう言われると、目の前に種族の説明が表示されているウィンドウが現れた。そこにあった種族は·····
・人間
・エルフ
・ドワーフ
・獣人
等のお馴染みの種族から
・竜人
・ゾンビ
・スケルトン
等の意外な種族もあった。そして僕は最後のところまで来ると一つ気になる表示を見つけた。
・ランダム
「ねえ、マキ。このランダムって何?」
僕はそれが気になったのでマキに聞いてみた。
「ああ、これ?これはその通りランダムで種族が選ばれる。勿論この中の種族は当然。他にも確率でここにはない種族も選ばれる事があるよ。その中には希少な種族もあるかも知れないね。」
「へぇ、面白そうだね。じゃあ僕はランダムにするよ。」
「分かった。じゃあ最後に聞くけど、本当にこれで良いのね?後から変更はできないよ。」
「うん。いいよ。やっちゃって。」
「よし!それじゃあいくよ~!えいっ!」
そうして何かスロット的な何かが回り始めるとそこには種族の名前が書かれていると思われる文字が回っていた。
そして、スロットがいきなり止まった!!
「えーと、結果は?」
僕が気になってマキに聞いてみる。すると驚きの結果を聞かされた。
「凄い!!おめでとう!!君はこのゲームで一人しか成れない龍種に選ばれました~!!」
「えっ!?ドラゴニア!?何それ?」
「詳しくはまた種族別のチュートリアルで説明されるからね~。取り敢えずはステータス。決めちゃおっか♪」
僕はマキに押されるままステータス設定画面に移った。
「それじゃあ、ステータスポイントを振ったり、スキルを選んでね!」
よし!これこそ先ず一つの醍醐味だな!!
名前:未設定
性別:男
種族:龍種
称号:無し
ステータス
HP 100
MP 100
体力 10
筋力 10
魔力 10
器用 5
敏捷 5
耐性 10
特殊 5
残りSP:10
説明
HP:ゼロになると死亡
MP:魔法やスキルを使用すると消費
体力:ダメージに対する耐久
筋力:相手に与える物理的なダメージに関係
魔力:相手に与える魔法でのダメージに関係
器用:魔力消費量や生産系スキルに関係
敏捷:素早さ
耐性:異常状態に対する抵抗力
特殊:異常状態を伴った攻撃に関係
スキル
種族固有:(人化)、(飛行)、(ブレス)、(龍の鱗)
通常:()、()、()、()、()
選択可能:5
説明
人化:龍種の固有スキル。人の姿を取る事が出来る。
飛行:飛ぶことを可能にする。人化状態でも使用可能。一分間にMPを1ずつ消費。
ブレス:MPを10消費して炎属性の範囲攻撃を行う。人化状態では手から放出。
龍の鱗:全ての受けるダメージを5%軽減。即死を除く全ての状態異常を無効。
はっきり言おう。この龍種······強力過ぎる。多分だけどこのステータスはレベル1の初期の時点では恐らくはとても高いだろう。そして何よりもスキルだ。特に『龍の鱗』は強すぎる。即死を除く全ての状態異常を無効。これがその中でも特に異才を放つ。
「あの、参考に人間のステータスを見ることはできますか?」
「はい。可能ですよ。こちらです。」
人間
ステータス
HP 50
MP 50
体力 2
筋力 2
魔力 2
器用 3
敏捷 3
耐性 2
特殊 2
スキル
()、()、()、()、()
あっ、やっぱり龍種強いわ。
それで数あるスキルの中から選別した結果のステータスがこれだ!!
名前:マキナ
性別:男
種族:龍種
称号:無し
ステータス
HP 100
MP 100
体力 10
筋力 10
魔力 15
器用 10
敏捷 5
耐性 10
特殊 5
残りSP:0
スキル
種族固有:(人化lv.─)、(飛行lv.1)、(ブレスlv.1)、(龍の鱗lv.1)
通常:(刀術lv.1)、(光魔法lv.1)、(闇魔法lv.1)、(鑑定lv.1)、(錬成術lv.1)
選択可能:0
となった。まずSPは元々僕はこのゲームでは魔法を中心に使いたかったから魔力と器用にそれぞれ5ずつ振り分けた。それで、スキルは魔法をメインで取って、刀術は万が一の為と後は僕が勝手に格好いいと思ったからで、錬成術は魔法特化にするにあたってどうせ器用をどんどん上げるので、それならと思って生産職で主に魔道具やポーションを製作できる錬成術を選んだ。鑑定はその錬成術に必要なアイテムを見付けるために必要かな?と思って取った。
後は名前は現実の自分の名前をもじっただけ。
「それでは設定が完了したので私はここまでですね。次はチュートリアルです。それでは行ってらっしゃい!!」