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Changeling  作者: decoppa
9/12

8:再会

 「はぁ…幸せ…」


 セアは羊の肉を噛みしめている。



 「お風呂も食べ物ももらっちゃって、ありがとう」


 「気にすんな!可愛い弟と妹のためだ」



 森を抜けた村で、2人に声をかけてきた男の名はイアン。


 アーシルとセアの孤児院での先輩だ。3年前に2人に先駆け退所している。



 「しかし、大きくなったな」


 イアンは、アーシルとセアの頭をわしわしと撫でる。


 

 「イアンの方こそ、すごく大人っぽくなったね!」


 「うん…その髭は変だけど…」


 「なんでだよ、かっこいいだろ?」


 イアンは笑いながら、無精髭をしょりしょりと触る。




 「それで、だ…2人はどうしてこんなところに?」


 イアンに問われ、2人はこの村にたどり着いた経緯を話した。


 仕事が見つからず、仕方なく街を出たこと。途中で巨大な熊型のモンスターに会い、道を逸れたこと。そして森の中で迷い、結果としてここにたどり着いたこと。



 顛末を話したところで、イアンは突然笑いだした。


 「そうか!お前達もか!」


 イアンはくっくっと笑いながら膝を叩いている。



 「お前達も…?」


 「俺もなんだよ!3年前だけどな」


 イアンも、3年前に街を出た後、同じように熊型のモンスターを避けて森に入り、この村にたどり着いたらしい。



 「さらに笑えるのが、あの熊型のモンスター…人を一切襲わないんだと!」


 「えっ?」


 イアンも、この村で教えてもらったらしいのだが、あの巨大な熊型のモンスターは、基本的に木の実や蜂蜜しか食べない。また、巨体ゆえに襲われる心配がほとんどないため、自分から攻撃をしかけることもほとんどないそうだ。



 「でも、セア達を真っ直ぐ追いかけて…」


 「森に入った後、ナイフで木に傷をつけて進んだだろう?」


 「うん…」


 「あの森の木は、傷をつけると蜜がでるんだ。それが、あの熊型モンスターの好物なんだと」


 つまり、ただ蜜を舐めていただけで、襲うために追いかけてきたわけではないと。



 アーシルとセアは、はぁっと肩を落とす。早とちりで苦労してしまったらしい。



 「それでも、だ。知らないモンスターを警戒する判断は間違っちゃいねえよ」


 イアンは2人を見て、にかっと笑う。


 「結果的に、俺はこの村にたどり着いて、傭兵として雇ってもらえたしな」


 イアンはモンスターや盗賊の襲撃からこの村を守ることを条件に、住まわせてもらっているらしい。

 この村に住んでからの生活を聞かせてもらった。


 それから、3人は昔話に花を咲かせた。


 人心地ついた頃に、アーシルがふと思いだし、イアンに聞く。



 「そういえば、村の入り口に男の人達が集まっていたけど、あれは?」


 「ああ、あれはな…」



 イアンの表情が少し暗くなる。


 

 「昨日の夜、家畜がモンスターに襲われたらしい。それも、目撃した奴の話では、聞いたこともないタイプのモンスターだ」



 イアンは真剣な表情に変わり、ぎゅっと拳を握り、2人に向き直る。



 「なあ、ひとつ手伝ってくれないか?」


 イアンはそう切り出した。

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