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episode:013 異形種

 その音は、下に降り始めた時に聞こえてきた。

 蔓が揺れる。

 初めは小さな振動だったそれは、やがて大きくなり蔓全体が大きく揺れはじめた。


「な、なんなの?」


「接近する物体あり!」


 震源は下方。私がこれから降りようとしている方からだ。

 下を覗き込むが、日は昇り始めたばかりでまだ薄暗い。下の森林は靄がかりまだ何も確認できなかった。

 しかし、何かがいる。

 巨大な何かが確実に近づいてきている。


 ゆっくりとではあるが、蔓を揺らしながら上ってくる。


 蔓は大きく揺れ、しがみつくのがやっと。私はその場を動くことができなかった。


 やがて、それはやってきた。


「あ、あれは・・何なの?」


「警告、この場からの迅速な退避を提案します!」


 それは、黒い・・・蜘蛛のような姿をしていた。

 足は八本。闇のように黒い異形の「バケモノ」だった。

 紅の目が赤く光っている。


 ざわり。


 背筋を悪寒が這う。


「ミライ様! 退避して下さい」


 うさちゃんの警告は、耳に入っているが足がすくんで動くことができなかった。


 ぎちっ・・・


 耳障りな音が、上部で起こった。

 見上げれば破片をまき散らしながら蔓が限界を迎えようとしていた。


「ミライ様ーーー!」


 耳障りな音を立てて、蔓が切れた。

 体に感じていた重力が消える。


 落下。


 暗転。


 急速な降下感。


 私の意識は遠のいていった。


・ミライ 性別:女 年齢:16歳

 所持品 服上下・靴1足

     (消失)簡易リュック 携帯食料 2日分

 状態  気絶


■闇

 人は闇を恐れる。逆に言えば闇を恐れるのは人間のみ。

 動物は闇を利用し、隠れ、餌となる獣を狩る。

 そこに何があるか分からない。何者かが潜んでいるかもしれないという恐怖が、「恐れ」を生み出す。

 人が火を使い始めた理由は、闇を払うためだったのかもしれない。


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