冒険7歩目
すでにグダグダになってきている気がする
文明なしってのはさすがにまずかったか
だがまだあきらめんぞおぉぉ~~~!!
そもそも現代っ子の私が文明のない生活なんて想像できるわけがなかった件
午後からは臨時庁舎に来てみた。
庁舎はすでに活動を始めており、プレイヤーたちから上がってくる街づくりなどの意見、要望をまとめている。
まとめられた意見は日暮れ後に会議を開いて相談するそうだ。
第一回目の会議はゲーム内で昨日の夜行われたとのこと。
今のところメンバーとして生産系プレイヤーと一部の戦闘系プレイヤーが集まってしているらしい。
決められたのは今後の大まかな方針と所持スキルごとの役割分担だ。
木工組は建屋の増設、鍛冶組は貨幣の発行、その他生産スキル持ちはそれぞれに合った方法で周囲の支援をする。
戦闘組は素材収集と生産組の護衛だ。
会議はだれでも参加可能なので今後ちょくちょく参加することにする。
そういえば初日からすでに犯罪プレイヤーが出たらしい。
現在はどこかに潜伏中とのことだ。
犯罪者は程度によって要注意、敵勢で表示されるらしく、ステータスもしくは【(P)気配察知】【(P)看破】スキルで確認できるそうだ。
ちなみに友好は青、中立は緑、警戒が黄色になるという。
何が言いたいかというとこのゲームでは『カルマ値』が設定されており、一定以上の数値に達すると敵性存在として扱われるらしい。
敵であるということは善良なプレイヤーから相手にされなくなり、ゲームの継続が困難になるということだ。
また犯罪プレイヤーを倒すことはモンスター討伐と同義であり犯罪行為に当たらないため他のプレイヤーから狙われることになる。
犯罪プレイヤーの証言によるとプレイヤーを相手にする方が経験値の上りがいいという。
これが広まれば今後犯罪プレイヤーが増えるか犯罪者狩りが増えるのか悩みどころである。
ようはそういったことから商人系スキル持ちは物価をごまかしたりすれば悪落ちするし鍛冶系スキル持ちによる偽金の横行も防がれることになる。
治安を守る兵や法がない今、カルマ値がモラルを守っているといえる。
庁舎で聞けたのはそんなところだ。
恐ろしい。
カルマ値だけには絶対気を付けることにしよう。
【気配察知】は安全や狩のために有効そうなのでSPを1ポイント消費して習得する。
(P)【気配察知】周囲の気配を読み取り色で強調表示する。レベルが上がると距離や精度が上がる。
気配察知が有効になると今まで漠然と感じていた気配が自信を中心にはっきりとわかるようになった。
といってもはっきりと感じ取ることができるのはせいぜい3mくらいで5m以上離れるとほぼ感じ取れなくなる。
3mから5mにかけては灰色で表されているため敵なのか味方なのかはっきりしない。
少なくとも自分の周囲に敵となる存在がいないことは分かった。
のこった時間は自身の生産活動に充てることにする。
薬師のお下がりから見習い教本を取り出した。
本は十数枚の羊皮紙からなっており、小冊子のように薄い。
書かれていたのは下級回復薬のレシピが数種類と必要な素材だ。
それ以上のものを作るにはレシピを入手するか自分で考えるしかないようだ。
現在わかっている範囲で入手可能そうな素材はどこにでも生えている『ニガヨモギ(薬草)』、グリーンスライムのドロップである『グリーンゼリー』、ホーンラビットのドロップである『角ウサギの角』だ。
薬草からは下級ライフポーションが、グリーンゼリーと角からはグリーンポーションができる。
性能はこんな感じだ。
[薬品] 下級ライフポーション 【普遍】
HP +12~30
HP回復用のポーション。とても苦い。
[薬品] グリーンポーション 【普遍】
HP +1~5/5~10Sec
HP回復用のポーション。時間をかけて回復する。とても不味い。
現状モンスターに関しては狩場が詰まっているので薬草を集めることにした。
特徴は葉がギザギザで裏が白い。
現実のヨモギとよく似ているので探すのに苦労はしないだろう。
そういうわけで探してみると案外すぐに見つかった。
採集ナイフで根元から切り取る。
[薬草] ニガヨモギ 【粗雑】
品質 5/10
傷薬などの材料となる薬草。とても苦い。
品質しか表示されていないということはこのままでは薬効はないということだろう。
他のゲームだとこのままでも効果があったりするがこのゲームではいちど手を加えることで効果が現れるらしい。
【調合】スキルがなければ二束三文ってところだろうか。
その後も引き続き品質に変化があるか試しながら採集していく。
とりあえず判明したことは雑にむしり取ると品質が低下し、逆に丁寧に根ごと掘り返しても品質は最高で5までであったことから採集自体は5が最高値らしい。
品質を上げる方法に関してはよくわからない。
掘る分手間がかかるので根元から切り取って採集していく。
一心不乱に採集していたため薬草はかなり集った。
ただ集中していたせいもあってすでに日が暮れ始めている。
森よりもモンスターが弱い地域とはいえ夜には何が起こるかもわからないのでそろそろ戻ってログアウトすることにした。
翌日、午前は建屋作りに充てて午後からはポーションを作ることにした。
すでに戦闘組ではポーションが尽きかけているらしい。
現状は自然回復に頼るか生産組の作る超低品質ポーション(回復値1~8)が少量出回っている程度だ。
このままでは本格的に戦闘組の不満が暴発しかねん。
ポーション製作組はどうやら一組にまとまって製作してる。
どうも一人で作っているとガラの悪い奴らに絡まれるらしい。
今は商業組が間に立って仲介しているようだ。
というか絡んだ奴らは今後ポーションの取引をしてもらえなくなるとは思わんのだろうか。
俺だったらそいつらが今後一切まともにプレイできないように生産組に対して根回しするだろうな。
というわけで生産組に混ざってポーションを作り始める。
作り方は簡単。
葉っぱの部分だけをむしり取り乳鉢ですりつぶす。
ペースト状になったらコップ2杯分の熱湯で煮出す。
3分待ったら布を敷いた漏斗でこしとりながら小瓶に移す。
余熱が取れたら完成だ。
1株当たり2本分のポーションができる。
だがやってみるとこれが案外難しいことが分かった。
できた品はどれも【粗悪】ばかりで回復量も1~4しかない。
スキルレベルを考えれば当然なのだがこれでは到底実用には向かないだろう。
試しに1本飲んでみたが吹き出しそうになるほど苦かった。
回復量も少ないのでこれならまだ自然回復に任せた方がずっとましというものだ。
立て続けに何本も飲むなんて正気の沙汰じゃない。
どうして戦闘組はそこまでしてポーションを欲しがるのだろうか。
その後もポーションを作り続けるが回復量8のものは数本しかできなかった。
代わりに【調合】と水を出すのに使った【生活魔法】がレベル3まで上がっていた。
名前 ユーリ
種族 人間
HP 130
MP 130
スタミナ 240/(80%)
Str 10
Vit 10
Agi 10
Dex 10
Mag 10
Mnd 10
スキル
(A) 【罠】Lv.1 【鍛冶】Lv.1 【調合】Lv.3(Up!) 【木工】Lv.5(Up!) 【生活魔法】Lv.3(Up!)
(P) 【収集】Lv.3(Up!) 【気配察知】Lv.2(Up!)