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冒険3歩目

視界が開けるとそこは何もない平原だった。

遠くに森や山脈が見えるくらいで本当に何もない。


というか人工物の形跡が一切見当たらない。

こういうファンタジーに付き物の『始まりの村』とか『冒険者ギルド』的なものすら存在しない。

一瞬バグだろうか、と思うも周囲に数人いるプレイヤーと思しき人影や今も現れているログインによる光の柱から現れるプレイヤーたちがいることからここが『始まりの地』であることは分かった。


自分の格好を見ると麻のシャツにズボン、皮の靴といった村人スタイルだ。

中には冒険者のような恰好をしている者もいるがそっちは武器・防具スキルをとったことによるギフトアイテムだろう。



しばらく観察しているとようやく光の柱も収まり、あたりには数千人のプレイヤーが溢れかえった。

どの顔も怪訝な表情であたりを見回している。

当たり前だ、周囲には同じプレイヤー以外に何もないのだから。

何人かスタートダッシュを切ろうと走り出しすでに見当たらなくなっているがまだ多くのプレイヤーが残っている。


その時「ピコン」というシステム音とともに視界の端にアイコンが現れた。

どうやらメールのようだ。

メールはすべてのプレイヤーに届いたらしくあちこちで確認する者たちがいる。

それに倣ってメールを開いてみた。


『運営よりのお知らせ


このたびは ZEЯO GRΦUND On-lineをプレイしていただき誠にありがとうございます。

さっそくですが今まで秘匿されていたこのゲームの趣旨をお伝えしようかと思います。


まずこのゲームでは一部の地域を除き文明が存在しません。

プレイヤーの皆様にはその地域からある程度離れた位置へとログインしていただきました。

現在の状態では地域を移動するのは非常に難しい設定にさせていただいております。

これは皆様に新たな世界を創造していただきたいがための措置です。


プレイヤーの皆様にはいくつかの地域に分けて転送いたしました。

ランダムで転送したため知り合いの方とは別々になってしまったかもしれませんがご了承ください。

もちろん不公平のないよう所持スキルが均等になるように割り振っております。

一定以上のスキル所持プレイヤーを配置しておりますので攻略が不可能になることはまずないでしょう。

そのために初期アイテムを配布させていただきました。


このゲームは『ZERO GROUND』、まさに『何も存在しない』ところから新たな文明を起こし、発展させることを目的としています。

プレイヤーの皆様はこの世界を冒険し、自分の思うままの世界を作り上げることができます。

土地を開墾し領主になるも一国の王になるも皆様の思いのままです。



この世界での生活、冒険を楽しんでいただけることを願っております。

今後も引き続き『ZEЯO GRΦUND On-line』をよろしくお願いします。



今回は初ログインボーナスとしてSP5ポイントを進呈いたします。

システムから『クエスト』を開き報酬を受け取ってください。




それではよい冒険生活を。


                          ZEЯO GRΦUND On-line運営チーム』




メールを読み終えウィンドウから目を離すと、どの顔も納得したような表情が浮かんでいた。

つまりはみんなで協力して世界を発展させろということらしい。

今までのゲームにはないチャレンジだ。

なかなかに面白そうではないか。


となるとまずは目標を決めないといけない。

さしあたっては生産スキルの向上だがそのためには生産拠点を得る必要もある。

道具はある程度そろっているため自分で作るか?



あたりを見回すと結構な人が各地へと散っている。

残っているのは生産職か交流をしようとしているプレイヤーだろうか。

生産職は横のつながりが重要だと聞く。

とりあえず交流でもしてみよう。


「こんにちは、ここにいるのは生産職の方ですか?」


一番近くにいたエルフ族のプレイヤーに話しかける。

彫りが深い顔でもしかしたら外国の人かもしれない。

このゲームは脳波によって通信されるため言語は共通になっているので世界中の人と会話ができる。

エルフのプレイヤーは少し驚くがにこりと笑って返してきた。


「やぁ、大体の人はそうみたいだけど戦闘職も混ざってるみたいだね」


というからにはやっぱり交流が目当てだろうか。


「生産職の方はこれからの発展のことも交えて交流するみたいだよ」


ということなので混ぜてもらうことにした。

エルフのプレイヤーはリトスという名前で裁縫スキル持ちだそうだ。

今後頼るかもしれないので挨拶もかねて自己紹介をしておく。


中心になって話しているのはドワーフのプレイヤーだ。

オヤカタというプレイヤーネームでドワーフらしく鍛冶と彫金スキル持ちらしい。

話を聞くところによるとまず拠点を作る相談をしているようだ。

まずは地面を固めて建物を作るらしい。

さっそく【木工】スキルが役に立ちそうだ。

生産スキルの能力ごとに役割を振るらしいので軽く自己紹介をしていく。



結果【木工】【石工】スキル持ちがそれなりにいることが分かったので彼らを中心に設営を始めることになった。

自分の自己紹介の時に所持スキルが全て生産系であることに呆れられた。

大体は一つ戦闘スキルをとるものらしい。

と言っても一応【罠】は戦闘スキルに入るのでそこを主張しておいた。


とりあえずの方針として【木工】持ちは森へ、【石工】持ちは山脈方面へ素材採集しに行くことになった。

残っていた戦闘職は護衛だ。

【料理】スキル持ちは炊き出しを、それ以外は適当に分かれて補助することになる。



このゲームではいくつかのパラメーターが存在するが最も重要なのは『満腹値』だ。

満腹値はスタミナと連動しており、満腹値=スタミナの最大値となっている。

スタミナが減ることで疲労を覚え、満足に行動することができなくなる。

また満腹値が50%を割るとHP・MPが自然回復しなくなり、さらに減るとその他のステータスが減少し始める。

満腹値が0になることでの死に戻りはないが全ステータス50%ダウンという症状を起こすため、満足に冒険するには常に一定以上の数値を満たさなければならない。

ということがヘルプにより判明した。

やはりどこの世界でも食事は大事です。



というわけでそれぞれ支度をして目的地へと旅立った。




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