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守護霊なう  作者: 宇龍地
第二章
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試験を終えて

試験を終え、無事就職したメンバーは【戦士】宿舎に泊まることになった。

朝になったら【戦士ギルド】に登録し、はれて【戦士】として認められるようになるそうだ。


「なあ、なあ、あんただよな?三次免除された奴って」


不意に声をかけられた。

チャラい感じだが、見た目は非常に地味な奴だ。


「そうだが?」

「あんたあれだろ?二次試験で話が出てた、前回の試験でやられたほうだろ?」


何でそんな事知ってんだよ・・・


「俺もあの試験の時居たんだよ、三次組だったけど」

「そう・・か、それで知ってたのか」

「あの時は【ゴブリン】の乱入は無かったんだが、その前、俺が初参加したときは【ゴブリン】が出てな、そのときたまたま当たった奴がヘマやらかしてお説教であの話(・・・)してたんだ」


【ゴブリン】は群れで行動するってあれか。


「で、今回愚痴ってた連中の中には、そのとき失格になって1回休みになった連中も居たんだが・・・あんたよく知ってたな?」

「意外と常識だと思ってたくらいなんだが・・・」

「あんたもしかして【魔法剣士】の養成所出身なのか?」

「?」

「いや、たまに居るんだよ。他の養成所で条件を満たせるほどスキルが上がらなくて【戦士】になりに試験を受ける奴」

「そうか・・・いや、俺は実は記憶が無くてな。」

「はい?」

「全然無いわけじゃないんだが、俺自身何になりたかったのかがちっとも思い出せないんだ」

「ずいぶん変な記憶喪失だな」

「記憶喪失というか・・・たぶん就職に失敗して失意のあまり混乱してたんだろうな。取得スキルで言えば【戦士】か【僧侶】になれそうな感じだが、どっちにも今ひとつ足りないんだ」

「【戦士】に足りないところがあったのか?」

「ああ、実は俺は体力が異常に少ないんだ。だから短期戦闘はともかくちょっとでも長引くと直接攻撃での殲滅は多分無理だ」

「そういうことか・・・でも魔法とか強くないか?あれ【恒炎球投擲(フレアスロウ)】だろ?」


恒炎球投擲(フレアスロウ)】・・・【魔術】Lv.5の上級火炎魔術じゃないか。


「いや・・・あれは【火球投擲(ファイヤースロウ)】だぞ?」

「へ?【火球投擲】って言ったら野球ボールサイズを投げる奴だろ?俺が前に見せてもらった【恒炎球投擲】と遜色ない大きさだったぞ?」

「大きさだけならな。威力は段違いのはずだぞ?あっちは鉄が溶けるほどの熱と爆発の威力で敵を殲滅する術、さっきのは炎を飛び散らし、纏わりついて火傷を負わせる術だ。根本がまず違う」


【火球投擲】【恒炎球投擲】は【魔術】の中でも【火炎魔術】の系統になる。

攻撃で使われる【火炎魔術】は全部で十段階ある。


Lv.1【火球投擲】(持続性の炎の塊を投げる。着弾時はじけて炎を纏わりつかせ火傷を負わせる)

Lv.2【火矢(ファイヤーボルト)】(炎の矢を飛ばす)

Lv.3【火炎球(ファイヤーボール)】(任意の場所に大きな炎の玉を発生させる。射程は50m)

Lv.4【火炎投槍(フレイムジャベリン)】(【火矢】の威力強化版)

Lv.5【恒炎球投擲】(【火球投擲】の強化に見えるが、鉄を溶かすほどの熱と石壁を打ち抜く爆発を主目的とする)

Lv.6【恒炎突槍(フレアランス)】(【火炎投槍】を強化し、着弾とともに爆発でダメージを増やす)

Lv.7【火炎放射(バーナー)】{広域火炎攻撃)

Lv.8【爆炎火球(バーンフレア)】(【火炎球】の強化版、大きさは半径1mを超える)

Lv.9【火炎原野(フレイムフィールド)】(半径100mを炎で埋め尽くす。持続系)

Lv.10【獄炎(メギドフレア)】(視界にある任意の対象を焼き尽くす)


どう考えても見間違えようの無い差が出そうなもんだが。


ちなみに、魔法職を調べた事が無い者には誤解されがちなのだが、たとえ【魔術】の習得レベルが該当レベルであっても、相性の関係で使えない術というのがある。

【火炎魔術】は見た目の派手さと地上戦闘に最適という事で多くの人間が習得可能レベル上限まで覚える・・が、何事にも例外がある、それが相性だ。

どうやっても一定以上習得する事が出来ない系統が出来るため、特定のスキルを要求されたときは見た目だけそれ(・・)に見えるようにする場合がある。

しかし、本物を見た事がある人間にはどうしても見分けがついてしまう程度のお粗末な物なのだが、見た事が無く概要を聞いただけでは騙される事も多いらしい。


「多分、そのときは何かしらの理由で無理やり使って見せてくれとか言われて使ったんじゃないか?相性の問題で他の魔術はちゃんと使えるのに【火炎魔術】だけ一定レベルから上がらないなんて事はよくあるんだぞ?」

「あ~・・・確かあの時は【魔術師】になったって言う奴をみんなで祝ってて、話の流れで【魔術】Lv.5なら【恒炎球投擲】が使えるだろう?見せてくれって流れに・・・」

「まぁ、その流れだと危ないから使わなかった可能性もあるかもな」


【恒炎球投擲】は非常に危険な術だ、【火炎球】の火力をバレーボール大に圧縮する事で熱量と爆発力を上げる、だからこそ戦場でもなかなか使う機会が無い、モンスターの大群相手、または篭城戦における殲滅魔法としての意味合いが強い。

こんなもんを仮にちょっとした空き地があったとしておいそれとは使えないだろう。


「まあ、戦争でもやる気が無ければ必須というほど必要な術じゃない、護衛任務程度なら【水流魔術】にも同じレベル帯で同じような術があるから大丈夫、【火炎魔術】が苦手だと【水流魔術】が得意な場合が多いからその辺問題ないしな」

「両方苦手な事ってないのか?」

「まず無い、両方得意じゃないという場合もあるが、その場合でもLv.6以上にはなる」


「俺はいい加減寝るぞ、朝8時には追い出されるんだからな」

「それもそうだな、お休み」


翌朝、【戦士】としての登録を済ませた俺は【ギルド】で冒険者としての登録をしに行った。


・・・


「ところでなんでお前ついてくるの?」

「俺も登録に行くに決まってるだろ!」


ストーカーじゃない事を祈ろう

ストーカーはかわいい娘でも怖いよね

次回は11/8の予定です

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