表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護霊なう  作者: 宇龍地
第二章
6/42

職業選択の自由・・・

ネタが古いって?

主人公は40ですからしょうがないですよ

「職業選択の自由・・アハハン」

なんてCMが昔ありました


現実は実に厳しい、職業が選択できるなんで前の世界だってこちらの世界でだってリア充の特権でしかない。

って言うか、あのCMやってた時代ですら選択権は企業にあったわけで、実際に転職が成功するかは本人の能力しだいだったわけだ・・・どこにあるんだよ自由。


それはまあ、置いといて(閑話休題)


俺は今非常に困った状況に陥っている。

まず、この世界での就職の方法だが、養成所に入ったり弟子入りする方法と、試験を受けるという2つの方法がある。


しかし、試験を受ける事が出来るのは月に一度、養成所などが決めた日のみである。

そして目の前に開かれた無常・・・


「【戦士】の試験が今日これからで【僧侶】の試験が明日早朝かよ・・・」

しかも【戦士】の試験会場と【僧侶】の試験会場は町の中央を挟んで真逆、移動に歩きで4時間はかかる。


さらに言うなら、(肉体)は体力の関係で【戦士】を保険程度に考えていたわけだが、是が非でも就職するならそちらを優先しなくてはならない。

しかしここからが食わせ物なんだが、今から【戦士】の試験に行ってギリギリ間に合ったとして、移動で削られた体力で試験に受かるかがまずわからない。

そして仮に受からなかったとして、試験終了から【僧侶】の会場に行くと体力が万全でも日をまたぐであろう事はわかる。

会場までたどり着き、試験を受けるまで数時間・・・下手すると4時間切るので休憩が足りない可能性もある。


となれば、安全策を取るならどちらかに決めなくてはいけないわけだが、どちらにしろ受かる保証など無く、次の試験は一ヵ月後・・・

これのどこに自由があるというのだろう・・・受ける自由だけはあるか。


そうだな、徒労に終わる可能性が大きいとはいえ、まず俺は就職しないという選択肢が無いんだ、可能性を広げるためには両方受けるしか無い。

まずは【戦士】の試験を受けよう・・・【ギルド】に入れなければ収入が激減だ。


2時間ほど歩いた・・・それにしても午後5時から試験とかなに考えてるんだ?

合理的に考えるなら夜間戦闘など夕方からの方が確認できる事を優先する場合だ。

【戦士】は護衛や哨戒が主な仕事だ、必然的に黄昏時や夜間の警戒・戦闘が増える、それに対しての適性を調べるのだろう。


恐らく【僧侶】の早朝も同じような理由がある、浄化対象の数が最も多く、もっとも弱体化する時間、それが早朝だ。

仮に対象が増え過ぎても、朝日を迎えれば自然と消える、それがアンデッド(浄化対象)だ。

・・・だったらせめて1日空けるか順序を逆にして欲しい物だ。


それはともかく受付だな・・・


「すいません、受付はこちらでよろしいでしょうか?」

「はい・・あれ?あなたは前回も来ていましたね?」

「はあ・・(前回受けて失敗してるのか・・やはり体力が)」

「残念でしたねぇ、筋力は十分でしたのにまさか二次試験の哨戒任務で落ちるとは思いませんでしたよ」


哨戒任務で・・か、夜目が利かなかったのか?

もしかすると索敵とかそういう部分が致命的なのかもな。


「今回は二次試験から受けられますから、あちらの控え室でお待ちください」

「ありがとうございます」


控え室に行き、荷物の中から手帳を取り出す・・・ユウリは日記をつけていたらしい、特別悔しかった事を書き綴った恨みノートとも言うが。


'yy,mm,dd,

今日は【戦士】の就職試験日だった

筋力試験で大きな荷物を運ばされたが、らくらくとクリアできたので、何とか就職できそうだと思った

養成所には体力不足ではいることすら出来なかったから、二次試験までいけたのは正直うれしかった

だが、なんだあの二次試験は

夜間哨戒なんか訓練をちゃんとした人間じゃなければ難しいし、それどころか一緒に組んだ奴が襲ってくるとか難易度高すぎだろ、どれだけ高度なレベルを要求してるんだよ

とか思ってたら、現実はもっと酷かったらしい

どうやら俺を襲ったのは試験官でもなんでもない、同じく試験を受けに来た受験者だったらしく、ライバル落としの為に襲ってきたらしい

その一部始終を見ていた試験官は、俺を襲った奴は不適格として失格、俺はあっさりやられすぎたので失格としたらしい

せめて再試験をしてくれよ!!


・・・酷い話だ。

とりあえず周り全部敵だと思ってよさそうだな。


午後7時・・・夜間哨戒に十分な暗さになった。

試験会場には三次試験から受ける受験者も合わせて30名程居たが、内一次試験から受けたのが20名、そのうち10名が二次試験に来ていた。

後で聞いたが、一次試験では人数を絞るためよほど僅差でない限り必ず半分になるらしい。


残った20名のうち前回以前から二次試験を通過できなかった者を併せて14名が二次試験を受ける事になった。

試験は3・4人で組んで夜間哨戒をする。

前回までは二人一組が基本だったのだが、不届き者とあっさりやられる者が組んでしまい両方失格になるという不祥事が起きたため、反省の結果3人以上で組む事になったらしい・・・(ユウリ)の事ですね、わかります。


試験が始まり、俺たちの番になった。

それぞれ10mほど離れて周りを監視する。

哨戒なので、順番にぐるっと回る事になるが、その間どこから試験官が入り込むかわからない。

受験者は試験官を発見し周りに報告するのがベスト、その時点で合格。

侵攻を許しても交戦し、撃退すれば合格。

完全に門を超えられると失格である。


試験官が来る前に見つける事自体は生態感知でどうにでもなるので割りと楽だった。

俺の見回り順になったので、適当に回る・・人間の大きさの生体反応の近くで目を凝らし、発見したと報告・・これで合格だ。


ガサッ!!


何かが飛び出してきた音がする。

おかしい、報告したら合格のはずではなかったか?

とりあえず出てきた物に盾を向けてタックルする!


ガッ!!


!!?

俺が押さえつけていたのはこともあろうに【ゴブリン】だった、そういえばこの門は森側から街を守る門・・・こういう事もあるのか!!

【ゴブリン】が単体で来るのは極めて珍しい、近くに群れが居る可能性もある・・・というのはファンタジー小説の知識だが、それが元になっている世界のはずだ、同じ可能性は十分にある。


「【ゴブリン】だ!!試験官じゃない!」


他の連中に注意を促す、場合によっては試験官も出てくるはずだ。

他の連中が慌てる間に【ゴブリン】の動きを封じる、まさか念の為と支給された捕縛用のロープが活躍するとは。

しかし、体力の限界ガ近い・・・(ユウリ)に無駄な体力使わせないで欲しい。


「「ギギャー!!」」


案の定残りの【ゴブリン】が出てきた・・・さて、ここからは距離はあるがどうする?交戦はまず無理だろうし・・魔法で行くか?

【スキル】を呼び出し【火球投擲】をイメージする。


【火球投擲】

効果:炎の玉を投げつける。 飛距離は筋力、威力は消費魔力に依存する。

用法:コストを設定し【発動】を念じ、炎を出して適度な力で投げる。 基本消費魔力2


基本で2か・・・とりあえず魔力を10消費するイメージで【発動】!!

バスケットボール大の炎の玉が生まれた、熱さは感じない。

どう投げて良いかよくわからないのでアンダースローで投げてみる・・・自慢じゃないが、生前運動神経はよくなかった。


ちょうど出てきた【ゴブリン】の直前に落ちて・・爆発した!?

炎は周辺に散り、飛び出してきた【ゴブリン】全体に纏わりついて燃え続ける!

どうやら火炎瓶の効果をそのまま魔法で再現しているかのようだ・・・原理よくわからないからイメージだけど。


出てきた【ゴブリン】は全部で4匹、内1匹は俺がふんじばってる。

炎が消えかける頃には漸く体制を整えた他の受験者がやってきた・・・試験官も来たようだ。


「【ゴブリン】は全部生け捕りにしてくれ、養成所での良い対戦相手になるんだ」

「「わかりました!!」」


そんな事情があったとは・・・殺すには体力限界だったから縛っておいたんだが、どうやら正解だったらしい。

そういえば聞いたことがあるな、単純に殺すだけなら簡単で、極力無傷で無力化して捕縛するのが一番難しいって。

だったらこれで加点して三次試験パスとかならないかな~


二次試験も終わって合否判定の時間になった。


「よっし、多少イレギュラーもあったが実践という事でこの組は全員二次試験通過とする」

「「ありがとうございました!!」」

「さて、君は・・・」

「俺ですか?」

「そう、受験番号は・・・25番か。何故あの場で他の受験者に【ゴブリン】の存在を告げたのだね?」


その事か・・・単純に俺だけじゃどうにもできそうに無いから叫んだんだが。


「【ゴブリン】は見かけたら群れだと思えと教わったので」


試験官は鷹揚に頷くと・・


「正解だ、良い教師が居たようだな。養成所出身でも聞き逃して失敗する事もあるポイントだ」

「ありがとうございます」

「他の者もよく覚えておけ!【ゴブリン】は基本的に群れで行動する魔物だ。1匹だけ見かけて倒しただけで安心したところに襲われて命を落とす初心者は多いぞ!」

「「はい!!」」


一次試験組みが勢いよく返事をする、二次試験からの連中の中には「そんな事知ってたよ」と小声で愚痴ってる者も居るようだ。

養成所どころか実戦経験無い奴も居るんだから、そこで愚痴るなよ。


「ユウリは予想外に体力を使う事になったし、実践で使えるだけの判断力と能力を見せてもらった。三次試験は免除して、【戦士】としての資格を与える物とする」

「!!?ありがとうございます!」


こうして、俺は無事職を得る事が出来たようだ。

次回は11/7の予定です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ