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守護霊なう  作者: 宇龍地
最終章
35/42

北王の都

海峡連絡船の旅は意外と危険が少なかった。

本来は海には凶悪な魔獣が出るのだが、ここには守護獣と呼ばれる海の魔獣を主食にするモンスターが住み着いているため、人間の船は問題なく航行できるそうだ。


対岸の港に着くと、【ギルド】関係者が大陸までのルートを安全に行く為、国内の他の地域からも集まった「選ばれし者」達で一軍とも言える数の団体が出来上がっていた。

彼らと共にこれから数百km海岸沿いを走る事になる。


しかし多いとは聞いていたが、まさか国内だけで20人近いとは思っても見なかった。

20人近くの選らばれし者にその護衛や元々のパーティー仲間数人・・・一人当たり5人連れてると仮定しても選ばれし者を除いて約100人だ。

これが選ばれし者一人当たり1台のキャンピングカーと【ギルド】の用意した護衛を載せたトラックと合わせて含めて二十数台。

これだけの車が海岸線をひた走る。


ほんと、どこの軍隊だこれは。


戦力としても侮れない。


何しろ選ばれし者はまともに成長していれば正規軍の小隊レベルなら2・3部隊でも一人で相手取れる・・それが20人近く。

そこに護衛と合わせて100人以上の冒険者、うち2割は【魔術師】・・・ちょっとした街でも攻めれば良い勝負が出来るだろう。


恐らく【ギルド】が用意した護衛は、俺たちの監視の任も負っているに違いない・・・

多分攻撃はしてこないだろう、こんな連中襲ったらゲード達(あの山賊)の二の舞だ。


俺達は【ギルド】の護衛たちに案内され北王の都に入る事になった。

この都から鉄道に乗り換え、一気に北の岬に行くらしい。


北王の都に入ると、【ギルド】から依頼が出された。

どうやらできる限り多くの冒険者に参加して欲しいと言うので話を聞こうとすると、依頼を受けるまで詳しい事は言えないと言われてしまった。


そんな怪しい依頼誰が受けるんだと思ってたらセイジが受けてきた・・・もうヤダこいつ。


よく見ると、どこのパーティーでも乗せられ易い奴が居たらしく、ピンポイントでそこを狙われて参加する羽目になっていた。

まさか【ギルド】の出した護衛がそんなところまで情報収集してたんじゃないだろうかと疑ってしまう。


依頼の内容は、鉄道の路線の通る山に最近(ツガイ)の【ドラゴン】が住み着いたらしく、しばらく子育てで苛立っているとの事で、襲ってくるようだったら倒して欲しいと言う事だった。


そんな危ない橋を渡る気は無いので、「導き手」同士で会議をした結果、全員で【ドラゴン】と直談判する事に落ち着いた。


北王の都では他に特筆すべき事もなく、自分たちの装備以外は全て【ギルド】に預ける形になった。

これからは基本的に鉄道か【ギルド】の用意した車での移動になる為、あっても邪魔になるからだ。


都に入った翌日、俺達は鉄道に乗り込み、車窓の人になったのだった。


ところ変わって岬への車中。

途中【ドラゴン】の番に事情を説明すると言う件こそあったが、特段何事もなく順調な旅となった。


むしろ【ドラゴン】のオスの方が話のわかる奴で、道中他のモンスターに睨みを利かせてくれたのは助かった。

予断だが、メスの方は以前と持つに行く最中に【グリフォン】を捕食していたあの(・・)【ドラゴン】だったそうで、「あ~、あの時の異常に魔力の多かった人間!」等と車中のユウリ達を見て驚いていた。

元々見合いの為に北上する最中、腹が減ったのであそこで捕食していたそうだ。


【ドラゴン】は知能も高く社会性があるので人間に近い社会行動をする事もあるらしいが・・・見合いって・・・


オス【ドラゴン】(旦那)に言わせると、メス【ドラゴン】(嫁さん)は食欲魔竜だったらしく、道すがら2桁以上の大型モンスターを捕食していたらしい。

ちなみに、【ドラゴン】の飛行速度でなら元の住処からこの場所まで大体二日で来る事ができるところを、三日かけてきたらしいとは迎えに行った旦那の眷族の報告だそうな。


列車は【ドラゴン】のおかげか無事終着駅に着いた、ここから港までバスで移動し、港から生前の世界で言う樺太に渡り、また鉄道に乗る事になった。

向こうの安全については、旦那の方で話を通してくれたらしいので、恐らく安心して大陸に渡れるだろう。


大陸に渡ればいよいよ北極圏だ・・・果たして無事通り抜ける事が出来るのだろうか?


一方その頃。

北王の都に高位魔族の襲撃があったのだが、あわや攻撃が当たるというところでアルバ一派の高位魔族が撃退すると言う事件があったらしい。


ついでに高位魔族たちに因って都に結界と魔法障壁が設置され、今後の脅威に備えて緊急呼び出しの契約も取り付けたらしい。


・・・個人的にはそんなタイミングでうまいことやってきて、その上防衛措置までして帰る準備があるという時点で凄く怪しいんだけど、都の人達は気にならなかったんだろうか?


そんなこんなで俺達が樺太から大陸に移ろうと言う時にそう言う報告を受けた俺は、「それマッチポンプかもしれないからちょっと確認してみる」と伝えてもらった。


《アルバ、ちょっと確認したい事があるから何か連絡手段よこしてくれ》


しばらくするとアルバ本人が来た・・・忙しいんじゃなかったのか?

とりあえず事のあらましを掻い摘んで説明した。


「それは・・・奇妙だな」


流石に表情に動揺が現れた。

アルバにしては珍しいが、それだけ状況が異常なわけだ。


《俺としては、無所属派が形の上でも人間と繋がりを持とうと動いたように見えるんだが》

「そうだな、少なくとも我の仲間がそのように恩を着せる事はすまい」


アルバのスタンスは明確だ・・・あくまで自分達に被害が来ないよう無用な諍いを避ける。

自分達に火の粉が降りかかるような災いの種になるのであれば器であろうと破壊する事も厭わない。


しかし今回は違う。

ナニかしらを察知して都を守ったまでは良い・・・だが、彼らのスタンスではそのまま攻撃をした魔族を引き摺り出して見せしめに殺すまではするかもしれないが、追いもせず結界や魔法障壁を張り、あまつさえ「何かあったら呼べ」等と言う回りくどい事はしないだろう。

つまり彼らとは違う、魔族に被害を出さず、とりあえずぼんやりとでも繋がりを持つと言う既成事実を狙ったマッチポンプとみた方が良い。


「我の方でも調べてみよう。まあ、我等に不都合が無いようであれば捨て置くかも知れんが、我等の名前を使われるのも癪だ・・灸だけは据えねばな」

《頼む・・まあ、悪い事考えてるのでもなければ大丈夫だとは思うけどな》


【ギルド】の関係者に「既成事実を狙った形だけの約束かも知れないから、そのつもりで注意するように」と伝えてもらい、連絡船に乗り込んだ。


この海峡を渡り切ればいよいよ大陸だ・・・

裏で色んな思惑が走りました


ちなみにいくら【ドラゴン】でも、グリフォン位の大物なら2・3日に一匹食えば良いのが普通と言う感覚で書いてます

じゃ無いとあっという間に周囲から食料なくなりますからね


昔はヒロインに大食い属性って結構あったけど、最近飯マズ属性はあっても大食い属性って珍しい気がするなあとか書いてて思った

私が見逃してるだけかな?

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