プロローグ2
プロローグの後半です
初めはこれが第一話の予定でしたが、読み直してここまでをプロローグにするべきだと思い改題しました
ありのままに現状を言おう・・・守護霊になったらしい。
あまりに途中がすっ飛んでるのでびっくりしたと思う、俺もびっくりだった。
よく思い出してみよう・・そうそう、あんまり暑いんで、俺は近所のコンビニにクーラーと冷たい物を目的に立ち読みしに行ったんだった。
そして店に着いたところで・・・コンビニ強盗(帰り)に鉢合わせした。
元気な強盗さんは俺を牽制する事も忘れていきなり襲い掛かってきた・・・手には刃渡り15cmのコンバットナイフらしき物。
「らしき」なのは仕方ない、俺は大体の種別しかわからないんだから。
体重の掛かったタックルはなんとか避けたのだが、ナイフが俺の腹を捕らえていた。
体勢を崩し、俺と強盗の位置が入れ替わった事で哀れ強盗は身動きが取れなくなっていた。
仕方ない事だ、何しろ3桁もの重さの人間が脱力した状態で上に覆い被さっているのだから。
どうも俺はそこで意識を失ったらしく、次の記憶は病室だった。
そう、「記憶」なのだ。
俺は意識を回復させる事は無かった。
知らせる事ができる様な俺の知人も無く、葬儀は俺にとっては簡素な物に映った。
俺の遺品は俺にとっても価値のあるとは言い難いものばかりだった為全て廃棄されてしまった・・・仕方ない事だ、俺でも多分捨てる。
そんな姿を俺は空中から俯瞰で見ていた。
とりあえず暇になったもののすることが無かった俺は、どうやら幽霊としては恐ろしく力のある類だった事に気づいた。
と言っても任意の物を持ち歩ける程度の物だが。
俺は「こんなことして俺って悪霊?」とか思いながら悪戯に興じるようになった。
例えば秘密のノートを目に付くところに置いたり。
例えば電話を通話状態にして秘密の会話を駄々漏れにしたり。
例えば隠し金庫の扉を開けておいたり。
世の中はてんやわんやだったなぁ・・・具体的に言うと現職知事・国会議員・党首が2桁ほど警察に連れてかれたっぽい。
そんなこんなで四十九日も終わり、さて俺はどうなるんだろうと思っていたらなんか眩しい人(?)に声をかけられた。
「あなたは本当にとんでもない事をしでかしました。」
うん、そうだね、我ながらあれはとんでもなかった。
でももしできるようになったらやってみたい事でもあったんだ、具体的なイメージでは怪盗だったり透明人間になった場合のシミュレーションだったけど。
「でも面白いので許しておきます、でも善行には数えませんからね!?」
あ~、やっぱりあれ善行にはしてくれないか~・・・まぁ、どっちかって言うと悪行だもんな、あれ。
むしろ結果と合わせてプラマイ0って所か。
「そういうことです。」
で、俺は地獄行きですか?転生して修行しなおしですか?このまま浮遊霊になって悪行三昧していいならそれもいいけど。
「残念ながらどれでもありませんね。」
へ?
「あなたには別の世界に行って守護霊として修行を積んでいただきます。」
ほえ?
「じつはここと近い、あなた方的に言うと平行世界に当たる世界にあなたの手助けを必要とする運命を持つ人物が居るのです。」
はあ・・・
「しかし彼の人生は、彼の性格を加味すると非常に過酷なのです・・・
そして、あの世界にとって彼が死ぬ事は大きな損失になります。」
なるほど・・・
それで、これまでの人生経験上度を越えたポジティブになってしまった俺の助力を求むと。
「そういうことです、そしてこれは強制です。」
うまくいったご褒美は?
「あなたの転生を約束しましょう。」
え~?めんどくさい。
「は?」
俺、これまで結構酷い人生ですよ?
他にもっと酷い人が居るのも知ってますが、俺レベルで自殺する人って結構ざらなのも知ってます。
多少巧く行くようにして貰ったところでまた同じような世界を渡るには擦れすぎてますし。
かと言って剣と魔法の世界に転生ってのもめんどくさい、むしろ生きてるのがめんどくさい的な無気力人間に仕上がってるんですよ。
そんな人間にどうやって第二の人生楽しめってんですか。
かと言って地獄もいやだしなあ・・・やべ、マジでご褒美に当てが無いや。
「は~・・・仕方ありませんね。
ご褒美は全て終わった後に、あなたの希望になるべく沿うようにします、それでいいですか?」
それでいいなら・・・まぁ、馬の前のニンジンの役は無いでしょうけど、やりがいのある仕事ならやりきりますよ。
その辺ワーカホリック人種の宿命です(苦笑)
「良くも悪くも日本人と言う事ですか・・・」
ですね、死んでも直るもんじゃありません。
「わかりました、ではそういう事で行ってらっしゃーい!」
こうして俺は守護霊になった。
次回から本編です
掲載予定は11/1となります