表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護霊なう  作者: 宇龍地
第三章
13/42

遺跡の真実

この章の最終話となります

ヤママール遺跡

古代の墓地跡とも言われる遺跡で、世界融合の際に【フィアル】から残った遺跡の一つ

近年の研究者が他の地域の文献を調べたところ、昔この近くで疫病が流行り、死体は一箇所に纏めて封印されたという史実が明らかになった。

その史実が事実かどうかを調べるため、考古学者がこの遺跡を改めて調べようとした所でこの騒ぎになったそうだ。


朝、他の連中より早めに目が覚めた俺は、砦から来ている兵士の一人からこの遺跡について聞くことにした。

すっかり意識を失ってたセイジの身体を使ってだが。


つまり史実が正しいとすれば、今回の【レイス】の団体は封印された疫病患者の死体の集団から発生した可能性が高いと言える。

そして「疫病」の原因は不明・・・遺跡の奥からは強烈なプレッシャー・・・嫌な予感しかしない。


他の連中が起き出したタイミングを見計らい、ユウリ(肉体)に戻って起きる。

そして恒例のレベルチェック・・・


ユウリ:クレリックLv.15【魔術】Lv.4

エリオ:クレリックLv.18【魔術】Lv.5


驚いた事に、殆どのメンバーが【滅魔】を習得する事に成功した。

この人数なら中ボスレベルの魔族なら倒せるかもしれないな・・・


【レイス】達が弱体化しきったタイミングを見計らって【浄化】作戦再開。

全員が【滅魔】を身につけられるほどの高レベルクレリックだけあって勢い余って【ゾンビ】達まで浄化してしまった。


しばらく祠を観察するも何も起きない。


「や・・やったか?」


おい、誰だよそう言う不吉な事言うの・・・


その次の瞬間、塚石の奥から地響きが伝わってくる。

強い振動と共に悪意の塊、強い負のエネルギーが噴出すのを感じると、そこには【レイス】とは異なる、凶悪な悪霊が上から俺たちを見下ろしていた。


【スペクター】

強い負の情念と共に非業の死を遂げた者が亡霊となり、悪意に染まってこの世に災いを成そうと現れた物と言われている。

【レイス】と異なる点はよくわからないが、明らかに【レイス】とは比べ物にならないほど強力と言われている。


この威圧感(プレッシャー)・・・遺跡の奥から感じたあれ(・・)とは明らかに違うが、大きく劣らない強烈な物を感じる。

明らかに中ボスクラスである事は想像に難くない。


「なんだあれ!?」

「【レイス】じゃないのか!?」

「違う!強すぎる!!」


思い思いに口にする【僧侶】たち。

【スペクター】を知らないと言うのか?

俺がこっちに来て調べたモンスター図鑑にも載ってたんだが・・・そうか、そういえばこいつらの大半は試験組・・・授業を受けてないのか。


「【スペクター】・・・」


流石にエリオはわかったらしい。


「【スペクター】か・・・みんな【滅魔】を使え!!」


総勢17名の【滅魔】

中には知力120の俺やLv18のエリオもいる、そうそう抵抗できる物じゃないはずだ!!


「ヴ・・ヴォォオオオッ!!」


堪らず蒸発していく【スペクター】

断末魔を聞きながら勝利を確信すると、奥から俺に向かって何かが撃ちだされるのが見える・・あれは・・ッ!?


「ドスッ!」


鈍い音がする。

痛みは感じない・・!?


「ドサッ」


見るとそこには・・・砦から俺たちをここまで送ってくれた部隊の隊長らしき兵士が腹に大剣を刺したまま倒れていた。

剣は深々と刺さり、血は止まらない。


「くっ!」


俺は【滅魔】を一時中断し、【倍回復術】を唱える。

致死性の傷を受けたはずの兵士から剣を抜き、血が止まったのを確認すると剣の撃ちだされた方向を【生命感知】で確認する。

するとまた一振りの大剣が飛んできた。


「ッ!!【火矢】!!」


咄嗟に【火矢】を放ち打ち落とす。

場所はわかった!!


「【火炎球】!!」


大体の位置を指定して【火炎球】を放つ。

軌跡も見えず、爆発によって大きな範囲に炎を拡散させる【火炎球】から逃げる事は至難の業だ。

【火炎球】が爆発すると、剣が飛んできた森の奥から下級魔族が数匹飛び出してきた。


太く長い腕が特徴の下級魔族、その腕には人間では固定しなくては使えないほど大きなパチンコ(スリング)が見て取れる。

【スリンガー】と言う魔族だ。

あまりにも下級で、魔族というには【浄化】【滅魔】の影響を受けず、どちらかと言うとモンスターに近いとまで言われている。

しかし、その性質の悪さはモンスターの比ではない。

命令を理解するだけの知性を持ち、自分より上位の魔族からの命令を忠実に守ろうとする。

そしてその長い腕と強靭な腕力、手に握られた大型のパチンコによって撃ちだされる物体は多岐にわたり、槍や剣を撃ちだされたときの貫通力は、一般的な盾では防ぐ事すら適わないと言われている。


俺は躊躇わず、【火炎投槍】を連続で打ち込むと、すかさず辺りを警戒する。

こいつらを相手出来て遠距離攻撃まで出来るのは、ここでは俺しかいない。


【生命感知】で見てもこれ以上の生き物は確認できない・・・少なくとも「今」は。

【スペクター】は順調に力を失っている・・・あと一息だ。

しかし、俺はもう【スペクター】にはかかわれない。

警戒を怠らず、【スペクター】が消えてもなお周囲から目を離さない。


【生命感知】を切ることなく、怪我人の有無を確認して遺跡から離れる事を提案する。

【スリンガー】の件もあり、全員一致で遺跡から離れる、調査には【スリンガー】を伴った魔族からの妨害も視野に入れて来てもらうしかないだろう。


砦に引き返した俺たちはその場で一泊し、翌日二通のクエスト完了証とクエスト外モンスター(【スペクター】【スリンガー】)の撃退証明書を持ってそれぞれの街へと送られた。


俺は強制力の引き起こす災害の大きさに恐怖を覚えながら、街への帰路についた。


後日、遺跡の中心から中級魔族が飛び出してきて、死霊の元となった古代人がなったような疫病にかかる調査員が続出したと言う報告を受けた。

その魔族は討伐クエストによって集められた高位の【僧侶】たちによって退治されたそうで、調査員たちは無事疫病から解放されたらしい。


疫病の正体は中級魔族の呪いだったそうで、あそこに現れた魔族たちは、その中級魔族の解放をするための調査に来ていたらしいと言うのが、政府の見解となった。

次回更新は2日後の11/18になります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ