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守護霊なう  作者: 宇龍地
第二章
10/42

遭遇《エンカウント》

さあ、戦闘だ!・・・

表現しきる能力は無いのであっさりすまします(苦笑

森から【ハタケアラシ】が出てきた!

3匹ほどがパラパラと俺たちから離れたところに現れたので、エリオをそちらに向かわせる。

エリオを向かわせながらも、俺は弓で1匹に向けて牽制をする。

これで逃げてくれるならありがたいが、そうも行かないだろう。


俺は弓を手放すと【火球投擲】の準備をする、魔力は10倍にしておくか。

そこへ、横の茂みから10匹ほどの【ハタケアラシ】が出てきた!

しかしそこまでは【生命感知】で読めている、俺は慌てず群れの中心に向けて炎を投げ込んだ。


「「ギャーーーッ!!」」


【ハタケアラシ】の悲鳴が重なる。

そこに居た【ハタケアラシ】全ての行動が纏わりついた炎によって阻害され、やがて火傷で蹲る者も現れる。

俺は動かなくなった【ハタケアラシ】を紐で縛り、まだ炎に抗い、もがいている【ハタケアラシ】を小突いて意識を落とし、縛り付ける。

こちらに来た全ての【ハタケアラシ】を無力化する頃には、こちらの様子に気づいた向こうの【ハタケアラシ】も不利を悟って逃げ出したようだ。


捕まえた【ハタケアラシ】は向こうと併せて13匹、エリオも2匹を無力化したようだ。

あれ・もっと逃げてなかったっけ?と思ったら、どうやら俺が自分のところに来た分を縛ってる間に、向こうにも追加があったらしい。

しかし元々囮部隊、数が少なく、本体も殲滅されたのを見て逃げ出したようだった。


そして、俺たちが合流した頃になって、漸くセイジが休憩所から人を連れてきた。

農場の人も居たので、【ハタケアラシ】を引き渡しがてら小休止を取る事にする。

その間の監視は来てもらったついでに駆けつけた他の時間帯の人達にお願いする。


【ハタケアラシ】はギルドの買取対象だったので、農場の人がそのまま売りに行ってくれるそうだ。

生け捕り時の報酬は1匹当たり800円、合計10400円になった。

死んでると600円らしいが、これは【ゴブリン】の時のように訓練にでも使うということだろうか?


さて、休憩も早まったし早めに戻るとするか。


持ち場に戻る最中何か叫び声が聞こえるような・・・


「【ハタケアラシ】が戻ってきやがった!!援軍を呼んで来い!」


どうやら留守を頼んでる最中に連中が踊ってきたらしい・・って、間髪入れず来るとか頭良いのか悪いのかわからんな。


「エリオ!お前は宿舎に戻って人を呼んでくれ、あれだけ人数がいれば俺とセイジで行ったほうが良い」

「わかった!」


現場に着くと俺たちが遭遇した3倍近い【ハタケアラシ】の大群の攻撃に身動きが取れなくなっている様子が見えた。


「援護する!応援は呼んでるからとりあえず片側に寄ってくれ!!」


俺はとりあえず指示をすると、留守番たちが寄った方の逆に向けて、留守番に当たらないよう調節して【火球投擲】10倍を打ち込む。

今回も10匹ほど巻き込んで炎が散ってゆく。

俺の魔法で無力化したことに気づいた留守番たちがさらに極端に寄って【火球投擲】をする余裕を作ってくれる。

そこにすかさずもう一発、今度は5倍で打ち込んで戦力を殺ぐ事に集中する。

そこにセイジも合流し、何とか数の不利が解消されたのを見て、俺は火傷や炎で混乱している【ハタケアラシ】を優先的に気絶させていく。


あらかた小突き終わったあたりでこちらの援軍が見えた。

今度は逃げられないように、【ハタケアラシ】の後方に向けて【火球投擲】を投げ込む。威力こそ弱いが【火球投擲】は魔力2でも派手な効果で野生動物を怯ませるには十分だ。

後方の炎に追い立てられた【ハタケアラシ】がパニックになってこちらに向かってきたタイミングで、こちらの援軍も合流した。

この時点度は殆ど一対一だ、こちらに負ける要素があるとすれば相手の小回りの良さだが、そこは戦闘のプロが混ざってるだけあって問題にはならなかった。


結果、その場で退治した【ハタケアラシ】の内、生け捕り分15匹は俺たちの取り分となり、殺した内の5匹は留守番と俺たちで分け、残り13匹を全体で分けることになった。


「なんか・・・すごい事になったな」


生け捕り15匹で12000円、留守番と山分けした分が1/6x2で1000円、最後に全員で分けた分が7800円の3/11だから約2100円。

合わせてさっきの戦闘だけで15100円になった。

その前の分も合わせて25600円・・・そこに基本給4000円入れて29600円。

1任務で3万弱とかちょっとした討伐任務の成功報酬じゃないか。


「ま・・まあ、一人頭だと1万行かないわけだし、宿代3日分と考えたらたいした収入じゃないよ」

「そうだな、エリオの言うとおりだ!別にしばらく働かなくて済むような報酬じゃないんだ、気にする事は無いさ!!」


・・・脳筋の言う事は置いといて。

とりあえず俺たちは今回の仕事でどれだけ成長したか見てみる事にした。


ユウリ:ファイターLv.2 メイジLv.3 クレリックLv.1 ノービスLv.10

セイジ:ファイターLv.3 ソードマンLv.3

エリオ:クレリックLv.1 ノービスLv.7


エリオのノービスが上がっているのは職業として【僧侶】になっていない為、戦闘技能の経験はノービスの方を上げてしまうらしい。

セイジのファイターとソードマン両方が上がっているのは、【剣術】を駆使して戦った経験の為、俺のメイジが上がっているのは魔法主体だった為だろう。


・・・俺ホントなんで【戦士】なんだろうな。


このまま何事も無ければ今日の規定任務は終了、万が一に備えて休憩所で待機するだけだ。

流石にあれだけの大群が来た後だけに追加は来ないと思うが、念の為と無線機を置いていかれた。

緊急スイッチを入れると、向こうにサイレンが流れる機能付だ。


・・・時々忘れそうになるけど、ここって現代科学が息づいてる世界なんだよなぁ、そういえば。


時間が来たので俺たちは交代を待って一通り農場を見て回る事にする。

【生命感知】を使ってみたが、不審な影は見当たらない。

引継ぎを終えて、休憩所へ戻り、食事を取ってテレビを見る。

・・・俺の居た世界でやってた様なバラエティ番組を異世界で見るのはなんか違和感があるな。


休憩に入ってから2時間ほど、漸く睡魔が襲ってきたので仮眠室に行く事にする。

仮眠室はある程度大人数のパーティーが来ても良いように10人くらいが一度に寝られるようになっていたので、特に場所に困る事も無く寝る事が出来た。


目が覚めると朝8時だった、大体7時間くらい寝たか。

ここに来たのが13時ごろだから残り5時間、まあ、応援頼まれるような事は無いだろうな・・・とのんびりしていると、昼前にサイレンがなった。

何のフラグだよ。


「行くぞ!」


勢いよく飛び出すセイジを追いかけ、エリオとともに飛び出すと、目の前でとんでもない絵面が飛び込んできた。


「なんだ・・あれ?」


走りながら呆気に取られてつい口に出してしまった。

目の前に見えるのは大猿、頭には三度笠のような物を被り、蓑を肩に羽織り、腰に何かの枝のような棒を引っ掛けた大猿が飛び込んできた。

大猿は腰に引っ掛けた棒を使うわけでもなく、腕を振り回して警備の人間を翻弄する。

その間足元から【ハタケアラシ】の群れがわらわらと農場に入ってくるのが見える。


「っ! 俺はとりあえず一発ぶち込むからエリオとセイジは農場に入り込んだ奴を追い払ってくれ!」


言うが早いか、俺は【火球投擲】を10倍で投げ込む。

農場にかかると作物に火が移ってしまうのでギリギリかからない範囲で打ち込んだのが良かったのか、農場に来た【ハタケアラシ】の殆どに炎がかかる。


投げ込む為に足を止めた俺を振り返ることなく、セイジとエリオが農場近くまで来た【ハタケアラシ】を撃退する。

それを確認した俺は足を進めてまっすぐ大猿に向かった。


「こいついったい何なんですか!?」


近くに居た適当な人に聞いてみる。


「こいつは【マタタビデゴザル】だ!【ハタケアラシ】がやけに多いと思ったらこいつが群れのボスになってやがった!」


どうやら、こいつは【ハタケアラシ】の群れをいくつか束ねる事が出来るらしく、通常ではせいぜい20匹程度の群れでしかない【ハタケアラシ】が30匹以上で襲ってきたのもこいつが居たからだろうと言う話だ。

しかし、こいつが出たという事は、つまりこの辺りの【ハタケアラシ】は殆ど居なくなったと言う事でもあるようだ。


「わかりました、こいつの背中に向かって【火球投擲】を打ち込んでみます。炎が見えたらとにかく離れてください!!」


そういうと俺は魔力を練りだした。

大きさは全高5mほど、腰を曲げてるから今は3m強という所か。

炎の散り方を考えると5倍以上には出来ない・・ならば!


俺は炎を高くほおリ投げるともう一度炎を手の中に作る。

直ぐに作れる大きさは3倍が良いところだ・・が、このやり方なら問題は無い。

俺は手の中の炎を【マタタビデゴザル】の懐に投げ込んだ。


炎の挟撃で堪らず悶える【マタタビデゴザル】。

その隙を突いてその場に居た全員が総攻撃を仕掛ける。

堪らず倒れた【マタタビデゴザル】を見止めた【ハタケアラシ】達が大慌てで逃げ出すのを確認して、戦闘が終了した事を知った。


振り返るとセイジたちも戦闘を終了し、畑に向かった数匹を縛り付けたらしい、どうやら生け捕りに成功したようだ。

・・・今回歩合がすごい事になってるな。

などと、場違いな事を考えながら俺はセイジたちと合流した。


人里に下りた【マタタビデゴザル】は見つけ次第討伐対象として倒す事が義務付けられており、討伐報酬はなんと10万円・・・確かにあの大きさならそこそこの手練か人海戦術で行くかだから、それくらい出すのもありか。

俺は討伐報酬の2割を貰える事になった。

どうやらあそこに居た連中では押さえることは出来ても退治は難しく、俺の機転で倒す事が出来たんだそうだ。

・・・【魔術師】居ればどうにかならなかったか?【恒炎球投擲】があれば一発だろ、あいつ。

まあ、駆け出しで金がないのでもなければ【魔術師】連れてこんな仕事しないか。


そんな事もあって、俺たちは初任務で都合5万円以上を稼ぐという大偉業をかましたパーティーとして、しばらく【ギルド】内で話題にされたのだった。

そして伝説へ・・・

ということは無く、これくらいなら「運の良いルーキー」くらいで済まされるようです

彼らの冒険はまだこれからだ!!


次回更新は11/12に更新できてるんじゃないかな?

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[気になる点] この時点度は殆ど一対一だ この時点では殆ど一対一だ
[気になる点] どうやら留守を頼んでる最中に連中が踊ってきたらしい どうやら留守を頼んでる最中に連中が戻ってきたらしい
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