月明かりに照らされた彼女は微笑みプロローグは始まった。
今にも崩れそうな廃墟から少女の歌声が聞こえてきた。
暗闇中、不安定で落ちそうな瓦礫の上をバランスよく座って、歌を口ずさんでいる。どこまでも高らかに遠く響き渡る歌声は、心にどこまでも響きかせ、いつの間にか聞き惚れてしまっていた。
心地よく聞いていた歌声は突然途絶えた。ゆっくりと立ち上がり、月明かりを背に、歌っていた彼女は振り返る。
ひらりと紺のスカートが舞い、姫カットされた黒髪は、月明かりの光がより一層美しさを引き立たせた。そして、彼女は言った。
「ねえ、穂積さん。神様はいると思いますか?」
それは唐突な問いで、奇妙なものだ。だが、そんな問いにも至って冷静に返答したのは、彼女だったからだろう。
「んー、どうだろうな? いると思えばいるんじゃないのかな。でも、なんで急にそんなことを?」
彼女は何も言わず、柔らかだがどこか妖艶な笑みを浮かべる。
「聖花ちゃん…」
大人びた雰囲気を纏う彼女は年不相応でより一層その雰囲気を際立たせたその笑みは、今まで彼女を見てきた中で、一番印象的で、一番美しかった。
☆
「……不合理だ」
誰かに呟くでもない。だが、赤のパーカに黒のジーンズを着ている少年は無性に言葉に出したかったのだ。
そんな少年の呟きが聞こえたのか後ろから声をかけられた。
「な~にが、『不合理だ』だよ! 名尋」
「ゆ、柚凪!」
ひょこっと顔を前から出し、微笑を浮かべ、名尋の前を回る柚凪に名尋は不機嫌そうに問う。
「柚凪……お前何しに来てんだよ?」
「何しにって……名尋こそ、こんな時間に何しに来てるの?」
「星が綺麗だったから、つい外に出ただけだ」
初めまして、こんばんは&こんにちは。
この作品を読んで下さってありがとうございます。
誤字・脱字がなるべくないようにはしたいと思いますが、抜けていたらすみません^^;
また、拙く駄文でしょうが、どうか最後まで見てやってください。
では、また~♪