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今日の三組  作者: 白稲荷
5/6

夏休み中の文芸部【山】その3

登場人物名前一覧

日向碧(ひなたあお)

二年生

檜垣卯月(ひがきうづき)

二年生

土屋誠市(つちやせいいち)

二年生

木村啓(きむらはじめ)

二年生

金村和喜(かなむらかずき)

三年生

三水一姫(さみずいつき)

一年生

城島博人(きじまひろと)

卒業生

 色々と読みにくくてすいません。

by作者

 辺りはすっかり暗くなり、不気味なほど静まり返った熱帯夜。

 誠市は懐中電灯片手に林の中を進んでいた。

「部屋割りのついでとはいえ、なぜこの組み合わせに……」

 呟き足を止め振り返る、すると三歩ほど後ろの人物も止まる。

「いや一姫ちゃん、もう少しこっち来ない?急にいなくなったりしないよね?」

 しかし返事はない、ある意味、夜の林よりこの人物の方が若干怖いような気がしてくる中、肩を落としながら再び林の中を進み始めた。

 後ろに気配があるのを確かめながら鋪装されていない林の中を進む途中、茂みが音をたてたり鳥が飛び立ったりするのを見て、恐怖よりもありきたりな感じに呆れていた。

「なんと言うかあまり怖くないですね」

 背後から声が聞こえ反射的に身構えたあとに二人組だったと俺は思い出す。

「えっ?ああ、そうだね」

「もしかして、怖いんですか?」

 この組み合わせと状況がな!

 空しく心の中で叫びながら、背後の一姫がやはり三歩後ろにいることを確かめる。

「なあ、やっぱりもう少しこっち来ないか?」

 気まずい空気の中を進みながらもう一度訊いてみるが返事はやはり無い。

 嫌われる事をしたか思い出そうとするがそんなことはある筈もなく、熱帯夜によるものか他の何かによるものか、冷や汗が流れる様な気がした。



 肝試しのコースも半分を過ぎた頃、ゴールに向かって進んでいるとひらけた場所に出た。

「いやいや、ありきたりもいいとこだな」

 辺りを見渡し苦笑する。

 目の前に広がっていたのは、漫画に出てきそうな夥しい数の墓石と卒塔婆だった。

「なんと言うか圧巻ですね、これだけあると」

 背後の一姫が呟き、しかし三歩ほどの距離は保ったままだった。

「ここを通ったら後はまっすぐ行けば良いだけか」

「そうですね」

 墓場の道を通りながらそっけない返事に苦笑しつつ歩を進める。

 あまりにも怖くないので俺は何となく感じたことを呟いた。

「肝試しって結局は理由をつけて夜中外に出たいだけなんだと思ってきた」

「どういう事ですか?」

 三歩ほど後ろから返事が来て少し驚いたが続ける。

「だって全然怖くないから、なのに日本人って夏場はこういう事好きじゃん」

「何となくわかる気がします」

 意見があったことに内心感動しつつ、墓場の道が終わり、また林の中を進み始める。

「城島先輩もこんなとこよく見つけてくるよな」

「貸し別荘といいこの立地といい城島先輩は何者なんですか?」

「そうか、一姫ちゃんは城島先輩の事知らないんだっけ」

「はい」

 始めて会話らしいものが成立し少し嬉しくなる。

「これは俺の勝手なイメージだが、何でもできる人って感じかな」

「何でもですか」

「うん、でも忙しいようにも見えないし本当にいつ終わらせてるんだって思ってた」

「いやいや、結構大変だったんだよ」

「すごいですね、城島先輩って」

 あい変わらず三歩ほど後ろから返事が返ってくる中に違和感を感じた。

 空耳かと思いつつも辺りを懐中電灯で照らす。

「やあ、久しぶり誠市君」

 背後、声と共に肩に手を置かれ、俺はそれを振り払うように振り向きながら、声の主を照らした。

 そこにあったのは学校によくある人体模型だった。

 急な事象に脳が処理落ちしかけるがついで発生した耳をつんざく様な一姫の悲鳴で我にかえる。

「すまん!」

 とっさに人体模型を振り切り何に対してかわからない謝罪をしながら一姫の手を掴み全力で走った。



――――――――――――



「なんか悲鳴が聴こえたような……」

 別荘の裏手、誠市達を待っている間の暇潰しにと、倉庫にあった簡易テーブル等を出して、碧は残りのメンバーとポーカーをしていた。

「悲鳴?聴こえたか?」

 和喜が啓に訊いてみる。

「いや何にも、あっ僕スタンドで」

 啓は答えながら山札から二枚引く。

「私は交換無しでスタンドだ」

 ニヤつきながら卯月が言い、全員が手札を見せる。

「ノーペアです」

なんの組もない手札を見せながら他のメンバーの手札を見てみる。

「ツーペア、おっ最下位はまぬがれたな」

 和喜がJとQが一組ずつある手札を見せる。

「フラッシュ、あー負けたか」

 スペードで統一された手札を見せるが啓は肩を落とす。

「ファイブカード、私の勝ちだ」

 卯月が勝ち誇りながら一揃いのキングとジョーカーを机に置く。

「やっぱりジョーカー抜かね、無理ゲーになってんぞこれ」

「和喜が入れるって言い始めたんじゃないですか」

 呆れつつため息をつくと卯月が林の方を見ていた。

「どうしたんですか?」

「帰ってきたぞ」

 言われ見てみるとこちらにものすごい勢いで二人が走ってきた、後ろに人体模型をつれて。


 怖く書くって技術がいるということを学びました。

 by作者


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