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今日の三組  作者: 白稲荷
3/6

夏休み中の文芸部【山】その1

登場人物名前一覧

日向碧(ひなたあお)

二年生

檜垣卯月(ひがきうづき)

二年生

土屋誠市(つちやせいいち)

二年生

木村啓(きむらはじめ)

二年生

金村和喜(かなむらかずき)

三年生

三水一姫(さみずいつき)

一年生

城島博人(きじまひろと)

卒業生

 色々と読みにくくてすいません。

by作者

 八月初旬、照りつける太陽がゆだるような熱線を放つ快晴。

 もういやというほどに聞き飽きた蝉の鳴き声をバックコーラスに、俺達――文芸部のメンバーは山を登っていた。

 生い茂る木々の間、鋪装された山道を登りながら俺は、何故こんな事になったのか現実逃避的に思いだし始めた。



 あれは三日前に終業式が終わり、七月もそろそろ終わろうとしていた夏休み初めの夕方の事だった。

 事の始まりは、部室で夏休みの宿題を皆でしていた時、碧が唐突に放った一言だった。

「山に行きましょう」

「……は?」

 思いもよらない一言に部室の空気が一瞬止まり、碧以外のメンバーの疑問符が何故かハモった。

「まだ、諦めて無かったのか」

 何か思い当たる事が有るのか、卯月は呟きつつ呆れ気味にため息をつく。

「そもそも山に行けるほど部費貰って無いでしょ?」

 啓は、自費は嫌だよ、と付け加え碧に言った。

「それは…………そうですけど、たまには山に行きたいじゃないですか」

 答えながら両手の指をもじもじと絡め、俯く碧。

 そのとき椅子の一つが音をたて、金村先輩が立ち上がった。

「よし、じゃあ山へ合宿に行こう」

 胸を張って高らかに宣言する金村先輩とは逆に部室が静まり返った。

「えっ?どうしたお前ら」

 静けさを感知したのか金村先輩が聞いてくると、卯月が返した。

「なんで、そこに合宿の話が出てくる啓の話を聞いて無かったのか」

 うんうん、と先輩以外の全員が頷き同意する、すると先輩はとんでもないことをドヤ顔で口走った。

「いや、大丈夫だ、合宿ってことにしとけば部費出るしな」

 結局の所、先輩も自費で出すのは嫌だったらしい。

 全員で話し合った結果、卯月の手配で貸し別荘を借り、山登りしつつ合宿をするというとこになった。

 卯月は最後まで面倒臭い、と嫌がったが結局、碧の熱意に折れたのか、何かしらのメリットを見いだせたのかは知らないが、しょうがないと言いつつニヤついていた。



 そんな数日前の事をまるで遠い昔のように思い出しながら舗装された山道を延々と登ること二時間、開けた場所に大きな洋館が姿を表した。

「しかしまた、大きい所を借りたんだな」

 三階建てだろうか、洋館を見て俺はそんなことを呟く。

 すると卯月が得意気に言葉を返してきた。

「まあな、男女六人が寝泊まり出来るとなるとな、探すのに少々苦労したらしいが」

「ここを借りるのには部費から出したの?」

 啓はリュックを背負い直しながら卯月に質問した。

「いや、費用は親に頼んで家から出したが探したのは城島先輩だ」

 褒め称えろ、と言わんばかりにドヤ顔で言う卯月。

「城島先輩に頼んだのか、道理で……」

 あの人なら確かに探してくるな、そんなふうに変に俺は納得してしまう。

「いやあ、城島先輩をこき使うのは楽しかったぞ、二回目のダメ出しをした時ときたら……」

 卯月は、クックッと喉を鳴らしながら思い出し笑いをしていた。

「うわあ、えげつない」

 そんな感想を呟きつつ、俺は城島先輩に同情したのだった。



――――――――――――



 大きめの扉を開けて中に入った俺達は、ただただ驚いてばかりだった。

「すげえ、ミステリー物に出てきそうだな」

 年季の入った調度品を眺めながら、確かに、と金村先輩に啓や俺が同意する。

 こんなに純粋に驚いたのは久しぶりだった。

 皆が一階で思い思いに休んでいると、卯月がバックからおもむろに割り箸の様なものを六つ取りだして言った。

「では、部屋割りを決めるとしようか」

「部屋の数は足りてるんでしょ、ならわざわざ部屋割りしなくても好きなところで良いと思うけど」

 啓が暖炉前の椅子に腰掛けながら言うと、卯月はやれやれといった感じに言い返した。

「自分で部屋を決めるのも確かに良いがそれではつまらんだろう」

「……ああ、なるほど」

 少し考えて、啓は何か納得したように頷く。

「じゃあ皆ここから一本引いてくれ……ああ、相部屋なんて用意して無いから安心しろ」

 卯月はそんな冗談を言いながら、先程取り出した割り箸の端を握り、ニヤニヤしつつ前に出した。

 一人一人順繰りに引き、全員が引き終わると、卯月は残った一本を見てやや不服そうに呟いた。

「二番か、まあまあだな」

「まあまあってどういう……部屋に違いでもあるんですか?」

 聞こえていたのか、碧が疑問符を浮かべる。

「ああ、違う違う、この番号は肝試しの順番にもなってるから、因みに俺は六番だ」

 碧の疑問に卯月ではなく金村先輩が答えながら割り箸を見せてくる。

「俺は三番なんだが、啓お前いくつ?」

「僕は五番だよ」

 変わりない爽やかな笑顔のイケメンの返事を聞きつつ、一つ疑問に思ったので卯月に聞いてみた。「肝試しって一人で行くのか?」

「その方が私的には楽しいのだが、一応移動費が部費から出ている部活動だからな、安全面を優先して二人組だ」

 まあ、一人で遭難でもしたら大変だしな。

 安直な理由だが安全面を考慮していることに安心しつつ、俺は部屋に向かって階段を上がるのだった。


 相変わらずの駄文加減ですみません。

 皆様に読んでいただき誠に有り難う御座います。

 これからも一層努力して参りたいと思います。

 by作者

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