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レッドキャップ  作者: 髪槍夜昼
一章 姫と妖精
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第二話 妖精


「そしたらな、そいつ気付かないまま出かけちまって…」


「あはは! それでそれで…?」


リアが笑いながら、続きを促す。


楽しそうにしているリアに赤帽子も満足し、笑みを浮かべていた。


勿体ぶった感じで続きを話そうと口を開く。


丁度その時、リアの部屋が扉がノックされた。


「………」


そのノックを聞いた赤帽子が話を止め、立ち上がった。


「赤帽子?」


「悪いな、お仕事みたいだ…続きはまた今度な」


そういうと、赤帽子は返事も待たずリアの部屋から出て行った。


少し冷たい感じがしたが、これが初めてではなかったので、リアは特に不満はなかった。


赤帽子は定期検診と別の仕事の間だけ、リアと会話をしてくれる。


これ以上話して、赤帽子を困らせるようなことはしてはならないのだ。


「…でも」


赤帽子が定期検診以外で何の仕事をしているのか。


それは、教えてもらったことがなかった。








「折角姫様と楽しくお喋りしていたのに、空気読めない人達ッスね」


「…あまりあの子に近づくな。国王の機嫌を損ねるのはお前としても不本意だろう?」


「ハッ…ご忠告どうも、セドリック隊長。親馬鹿の国王オトモダチを持つと苦労しますねー」


行き先を告げられずに乗せられた馬車の中、隣に座る表情のない男に赤帽子は言った。


この男はタイターニアのある部隊を指揮する軍人だ。


それと同時に、現国王エイブラムの旧友でもある。


娘に近づく赤帽子の監視役でも任せられているのだろう。


「お前は本来、王女を助けた時点で再び収監される筈だった…自由にさせているのは理由の一つ目は、彼女がそれを強く望んだ為…」


「………」


赤帽子は思い出していた。


自身が再び収監されようとした時、自分の父親に抗議したリアを、


命の恩人を必死で守ろうとする小さな少女の姿を、


思い返していた時、馬車が止まった。


どうやら、目的地についたらしい。


「二つ目の理由は…」


そう言い、セドリックは馬車を降りた。


赤帽子も共に降りる。


そこは…


「貴様が妖精狩りの戦力になるからだ」


二十を超える兵士と数匹の妖精が戦う戦場だった。


子供のような体格、それに似合わない白髪、赤帽子と同じ特徴を持った妖精が暴れている。


一説によると、魔法を扱う妖精は一匹が人間の兵士十人分に匹敵する力を持つらしい。


つまり、十にも満たないこの妖精達を倒すには数十人の人間が必要だということだ。


「やれやれだ…一、二、三…三匹か」


呟きながら、赤帽子は妖精達へ近付いていく。


妖精達も同族だと分かっているのか、暴れるのを止めて赤帽子を興味深そうに見つめている。


「…言葉、分かんねーか。まあ、それでも一応謝っとくわ同族」


赤帽子はいつの間にか、手に赤い斧を持っていた。


帽子と同じ、血のように真っ赤な斧を手に構える。


「悪い、お前達を喰うわ」


言葉と同時に…若しくは言葉よりも早く、赤帽子は妖精の目の前へ移動した。


妖精の身体が千切れ飛ぶ。


首が、腕が、足が、胴が、五体がバラバラになり、更にもっと分割された。


「く、くはははははは! いいね! 返り血最高!」


返り血を浴び、飛び散る肉片を喰らう。


妖精達も必死で抵抗するが、それすらも楽しみ、今度は妖精に直接喰らいつく。


妖精が妖精を喰らう、異様な光景だった。


「兵士共! 死にたくなければさっさと避難しろ! 赤帽子レッドキャップを投入した」


セドリックが人間の兵士へ叫ぶ。


最早、人間の兵士など何の役にも立たなかった。


妖精同士、人外同士の戦争。


そこに人間の入り込む余地などない。


「くはははは! スッゲー綺麗だ、輝いてるぜお前達!」


赤帽子は笑う。


妖精達が全て解体されるのに、数分と掛からなかった。


赤帽子さんの妖精解説コーナー


「はい、始まりましたー、このコーナー! 記念すべき第一回は勿論、この俺、赤帽子レッドキャップ!」


「殺人を好む、加害性の強い妖精と言われるこの俺! 妖精の可愛らしいイメージに騙されて、うっかり近付いたら、首ちょんぱだぜ!」


「斧を得物とし、瞬く間に接近して惨殺…正しく、妖精のアンチテーゼだな。頭の帽子が赤いのは、返り血に染まっているからだとも言われる…故に赤帽子…誰だ? 名前が安直だとか言いやがったのは!」


「ま、つー訳で、初回はこの辺で…また次回!」

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