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『日本改造計画』

『日本改造計画外伝』その玖<『女性専用車両』と『痴漢冤罪撲滅』>

作者: 桃太郎

 今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、経済産業省事務次官だ。

「本日は、御呼び立てし恐縮の至り。まずは、本題に入らせて下さい。事務次官。」

「とんでもない。こちらこそ恐縮の至りです。何なりとお申しつけ下さい。総統閣下。」

「では、お言葉に甘えて、由々しき事態です。何故未だに対処しないのです。」

「申し訳ございません。仰る意味が、分かりかねます。総統閣下。」

「つまり、『知らないのだから何をしても許せ。』と言う訳ですね。事務次官。」

「そうではございません。何なりとお申し付けくださいませ。総統閣下。」

 ここで、BGMとしてトッカータとフーガニ短調(作曲:バッハ)を流す。

「……この曲を聴いて顔が青ざめるとは、タンザニア大統領の件、知っていますね。」

 等と言う無駄口を叩かなかった。そして、BGMを止めた。

「では、『説明しよう!』 痴漢防止車両が存在するのに痴漢冤罪防止車両が無い。

 これは、如何なる意図によるものか。説明しなさい。事務次官。」

「それは、私が『作るな』と命じた訳でありません。ましてや、『女性専用車両』を

 『作れ』と命じた訳でありません。あくまで鉄道会社の自発的意思によるものです。

 その上で申し上げます。それは、あまりにも件数が少ないからです。

 費用対効果の問題であると愚考する次第です。総統閣下。」

 ここで、BGMとしてトッカータとフーガニ短調(作曲:バッハ)を流す

「成程、ならば事務次官。お前を『置換冤罪』で逮捕、懲戒解雇、全財産没収とする。」

「そっ……そそそそそそんなぁっ! 理不尽です! 総統閣下!」

 BGMを止めた。

「それが、『置換冤罪』の本質。故に、己の身に降りかからないと理解できない。

 人間とは、実に愚かな生物です。理解しましたね。事務次官。」

「はっ……はははぁーーーーっ。何なりとお申し付けくださいませ。総統閣下。」

「では、命じます。『日本帝国全鉄道会社は、痴漢冤罪防止車両並びに痴漢自由車両を

 制作、運航する事。車両数は、痴漢自由車両一両、痴漢自由車両並びに女性専用車両

 以外全ての車両を痴漢冤罪防止車両とする。』以上です。事務次官。」

「はっ。復唱致します。『日本帝国全鉄道会社は、痴漢冤罪防止車両並びに痴漢自由車両

 を制作、運航する事。車両数は、痴漢自由車両一両、痴漢自由車両並びに女性専用車両

 以外全ての車両を痴漢冤罪防止車両とする。』以上です。総統閣下。」

「当面、東京と大阪で実施。違反者は、鉄道警察が身柄を拘束。留置場送りにしなさい。

 また、装備品は全て返却を前提とした没収。二十日間拘留。その後解放しなさい。

 法改正は、後程実施します。以上です。事務次官。」

「はっ。『当面、東京と大阪で実施。違反者は、鉄道警察が身柄を拘束、留置場送り。

 また、装備品は全て返却を前提とした没収。二十日間拘留。その後解放。』

 以上復唱致しました。総統閣下。」

「重畳。では、私からの指示は、以上です。何か質問はありますか。」

 特になかったので、今回の会議は、これでお開きとなった。


 * * * 


 今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理だ。

「しかし、だからと言って『痴漢冤罪防止車両』に、『痴漢自由車両』ですか。

 『痴漢自由車両』には、誰も乗らないでしょうね。」

「それでよし。どうせ、値上げで散々儲けているのです。今更空車両一両ごときです。

 文句があるなら、社長会長役員を懲戒解雇にすると警告しなさい。」

「ですが、『痴漢冤罪防止車両』が、多過ぎではないでしょうか。総統。」

「それだけ、『痴漢冤罪』を政府が重要視していると言うメッセージですよ。二度とこのような悪事を許さない。甘やかすとつけあがる。良い教訓ですよ。総理。」

「分かりました。では、法改正はどうしましょう。総統。」

「最大十億円の罰金ないし及び最大三十年の禁固刑とします。総理。」

「重すぎませんか。」

「あくまで『最大』です。諸藩なら軽犯罪と同程度で十分ですよ。総理。」

「分かりました。私からは、以上になります。総統。」

「では、今日はお開きとします。」


<END>


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