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ロマンのぶつかり合い!

どうやらこの世界のギルドはかなり栄えているようだ。

常に人がいてやかましいぐらいだ。

中に入ると何位やら面白そうなものが目についた。

“ダンジョンが急遽発見されたため情報提供を求む”

何やら未開のダンジョンが発見されたらしい。

わたしは早速その張り紙を持って受付に行った。

「これお願いしまーす」

「わかりました。気をつけていってらっしゃいませ」

どうやら今日は何事もなきいけそうだ。

確実なフラグかと思ったが本当にダンジョンまでついたようだ。

外見としては悪くない感じだ。

いかにもなコケが生えていたり崩れたりしている素晴らしい遺跡のような場所だ。

「これは楽しみだなー」

そんなことを言いながら入ろうとすると何やら看板を見つけた。

「なんだこれ?」

内容を読んでみるとどうやらここはかつての勇者と戦った賢者とかいうなんか頭良さそうなやつの墓場だった。

そりゃ来たくないわけだ。

でも私はそんなことを気にはしない。

ロマンほどとは言わないが私も心が広いのだ。

冗談めかしながら入っていくと急に灯りがついた。

「すごいな。赤外線センサーでも搭載しているのだろうか」

まあおそらくは踏み入れた際に魔力が流れて作動するのだろうけどね。

進もうとするといきなり壁がでてきてしまった。

「困ったな。こういう頭を使うやつは苦手なんだよ」

賢者の遺跡というので一応配慮をして攻略していく予定ではあったがその予定は破綻しそうだ。

面倒だからロマン砲を打とうかと思うと壁に何やら文字が書かれていた。

一応これでもものを書いているので少し古いだけの文字程度なら訳ない。

早速読んでみることにした。

「なになに、ここを通りたくば己の思いを見せろだ…と…」

この文章を読んだ瞬間に身体が熱くたぎり始めた。

「つまりロマンを見せろということだな。ならばやらねば無作法というもの。いくぜーーー!!!」

私は気分が超昂って肩から一直線に腕を伸ばして壁に拳をつけた。

「この拳にっっ、命をかけろっっっ!!!!!」

圧縮された力がロマンというバイタイをつたって壁へと送られていった。

ズドーーーーーン!!!

ものすごい音を立てて壁が破壊されてしまった。

「流石だ。私の思いが届いたんだな」

私は満面の笑みをうけべながら先へと進んだ。

ちなみにここの正規の攻略法は魔力を大量にぶち込むということだったらしい。

まあ今更どうでもいいんだけどね。

少し進んで階段が出て来たためそれを降りると何やら広い場所に出た。

「随分と広い場所だね。さらに床には魔力回路の起動スイッチがたくさんあると見た」

実際どこが踏んだらアウトなのかはわかるのだがもしかしたらこれに命をかけている人がいるかもしれない。

そう思ったので私は最速で踏んであげた。

一応天井落ちや壁の挟まれには対策したのだが出て来たのはでっかいドラゴンであった。

「グオォォォォ」

「おおー!かっこいいな。やっぱりドラゴンといったらこうでなくちゃ」

全長20mほどの巨体が目の前で火を吹いていた。

私がドラゴンに目を輝かせているとこちらを向いて来て急に火を吹いてきた。

流石に焼かれると面倒なのでここはロマンで対抗した。

「お前のロマンはその程度かーーー!!!」

火に向かって私のロマンを相対させるといとも容易く消えてしまった。

流石に驚いたのか今度は尻尾を振って薙ぎ払いをしてきた。

「自慢の技でこいやーーーーー!!!!!」

尻尾はそこそこの質量に遠心力や運動エネルギーが乗っていたためここはまともに対応する。

「ロマン砲!」

尻尾と私のロマンがぶつかってドラゴンは少しだけよろけた。

本来であれば今のタイミングで追撃を仕掛けるべきなのだが私はしない。

私は戦いにきたのではなくロマンを求めにきたのだ!

「こい!お前の全開で!!」

ドラゴンに叫んでやると私の思いが通じたのか思いっきり息を吸い始めた。

私はドラゴンが息を吸っている間に足とロマンに力を込めはじめた。

ドラゴンが息を吸い終わり火を吹いてくる瞬間に私は思いっきり地面を踏み込んだ。

そしていくつかの大きな床材の塊が目の前に出て来た。

「このロマンにっ、かけるしかねぇぇぇぇ!!!」

床材の剛性を信じて全力で吹っ飛ばした。

火に吹かれながらも私のロマンを乗せた床材はぐんぐん進んで行った。

ついに口の中に到達してドラゴンをよろけさせた。

ドラゴンは錯乱してしまいブンブン尻尾を振りはじめた。

「まあまあ落ち着きなって。そらよっと」

尻尾を受け止めて掴み思いっきり力を入れて持ち上げてから投げた。

「グアァァァァァァァ!」

投げ飛ばされてドラゴンは横転してしまった。

「お前のロマン、しかと受け取ったぞ。だから今度はお前が受け取る番だ!」

私はそう言ってドラゴンに近づいていった。

もはや抵抗もできないのかあまり暴れていなかった。

「最後に相応しいものをくれれやろう」

私はそう言って壁に近寄って準備をした。

そして軽くジャンプして壁を思いっきり蹴った。

「このロマンにっ、命をかけろっっっ!!!」

運動エネルギーを乗せた一撃がドラゴンの腹を変形させて抉った。

「グアァァァァ…」

断末魔を上げてドラゴンは死んだようだ。

「最高のぶつけ合いだったな。またどこかで」

私はそう言って目の前の階段を降りようとしたが何やら変な通路を見つけてしまった。

「なんだあれは?しかし、気になるのであれば行くしかねぇ!」

そう言って走ってその通路に入っていった。

通路を走っていくと何やら扉のようなものが出て来た。

「またロマンか…いや開くじゃん」

試しに押してみたところ簡単に開いてしまった。

中は何やら生活感が溢れる空間となっていた。

探索しようかと思った時に気配を感じ取った。

「こんな辺境もいいところに誰だ?」

どうせご老体が出てくるのかと思ったが予想とは反して二十代ぐらいの若い男が出て来た。

「突然失礼しました。私は破雪と申します。実はいまこのダンジョンが未開だと言われて楽しそうだから攻略しに来た次第です。貴方は一体?」

「これは丁寧にありがとう。俺はただの研究者だ。それにしてもよく生き残ったね。さっきの騒ぎはドラゴンだろ?大したものじゃないか」

どうやらこの男はドラゴンから逃げて来たと思っているらしい。

「ああ、ドラゴンなら私のロマンで殺しましたよ」

「え?」

みた感じここに住みはじめてかなり経つように見えたがどうやらまだドラゴンを倒した人を見たことがなかったらしい。

「もしかしてなんか愛着とかありましたか?もしそうならめちゃめちゃ申し訳ないんだけど」

一応可能性的には否定しきれなかったので謝っておいた。

「あー、大丈夫だよ。実はあのドラゴンはかつての賢者が無人で起動できるようにつくった装置から生成されたものだからね。そういえばここを調査しに来たのだろう?もしよかったらこれを持っていきな」

男はそういうと私に飲み物をくれた。

「ありがとう!じゃあまたどこかで会おうね」

「縁があればね」

そんな感じでさっき見つけていた階段の方へ行って降りた。

降りた先にはなんだかこれまでとは格が違う雰囲気を感じる空間に出た。

正面には一際大きな扉がありまたも文字が書いてある。

「なるほど。これは私のロマンに対する挑戦だな?」

不敵な笑みを浮かべながらそう呟いた。

文章には“よくぞここまで辿り着いた。賢者と呼ばれている私は扉の先にいる。そこで思いを語り合おうではないか”

扉を押すと今度はすんなり開いてくれた。

そして中央に椅子がありそこに一人の女性が座っていた。

「初めまして。私は破雪という者です。其方の名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

少し遊びすぎた気がしたが気にしない。

「ふふっ、面白いですね。今時其方とはなかなか聞かないと思いますよ。私の名前は羅刹(らせつ)といいます。それにしてもよくここまで来れましたね」

賢者とかいうのだから私の偏見的にもっとお堅い人かと思ったが案外そんなことはないようだ。

「そりゃあまあ私には人生をかけているロマンがあるからね。このぐらいじゃ死なないよ」

仕草に立ち振る舞いから落ち着き具合を見るにそこそこには強そうだ。

もし戦闘に発展したら少し面倒だけど楽しそうだな。

「あら、貴方は狂信者でしたのね。何に人生を、全てを賭けているのですか?」

にっこりと微笑みながら羅刹は聞いて来た。

私は力強く拳を握って掲げた。

「私はこの拳に、ロマンに全てを捧げて生きている狂信者だよ。羅刹なら理解できると思うから話すけど私は複数世界を渡り歩きながらこのロマンを少しずつ確実に磨いているんだよ。羅刹は逆に何かないの?」

単純な疑問をぶつけてみた。

「そうですね…貴方と思いと比べるのは失礼かもしれませんが私は戦闘にかけていますよ」

その瞬間に少々雰囲気が変わった。

「相手との熱き思いや経験に人間性から反射神経など全身全霊をかけて戦う時が非常にいいのですよ。やっぱり戦闘スタイルなどは個性がとてもでますしなんと言っても誰しもが持っていると言っても過言ではない技がたまらなく最高なんですよ。その人の全てがそこに込められていますからね。他にも一歩一歩の動きから一瞬のみの動作など全てが込められていて最高すぎてもう私程度の語彙力では到底語ることができないのですよ」

これを聞いて全てに共感しながらも私は確信した。

こいつは狂信者という事実を隠して賢者になってしまったのだと。

そしてそれがパーティに知られてまあいい待遇は受けられなかったのだろうな。

そうすればまだ生きているのに墓が建てられているのも説明がつく。

要は失踪した賢者が実は狂信者などとはいえなかったから誰にも見つかっていないのをいいことに死んだことにしたのだろう。

まあその程度では私たち狂信者が持っている思いの邪魔などできないのだがな。

「素晴らしいぞ羅刹。こんなに最高だと思える奴は久しぶりだ。私とパーティを組まないか?」

それを聞いた羅刹は考えはじめたようだ。

「そうですね…わかりました。しばらくは行動を共にしましょう。しかし条件が一つあります。まあもはや条件でもないですがね」

私はそれをきいてなんとなく予想を立てた。

「ふっふっふ、私と戦おうじゃないか!」

私は力強くそう言って即座に間合いをとった。

「やはり最高ですね貴方は」

羅刹はそういうといきなり無詠唱でそこそこの呪文を発動して来た。

このレベルまでくると流石に強いな。

しかしだからこそ私のロマンが輝くってもんよ!!!

迫り来る火に対して私はロマンをぶつけてやった。

フューン

火が一気に消えて羅刹が笑っていた。

「すばらしいですね。どんどんいきますよ」

なんだか火、水、氷、風、雷、闇などなど全属性の中級程度のものを高速で間髪を入れずに連発して来やがった。

流石に少々しんどいので私は床に思いっきり踏み込んで四散させてそれらを相対させた。

しかし威力が足らなかったようだ。

かなり消すことはできたがそれでもモロにくらってしまった。

「がはっ」

私は思いっきり吹っ飛んで衝撃を緩和させながら壁に接近して振り向きながらの拳を繰り出して激突を回避した。

ダメージはかなり痛いがそれでも私は笑わずにはいられなかった。

相手の思い、経験、魔力、そしてなんと言ってもロマンをぶつけてくれたのだ。

この状況で笑うなという方が無理なのだ!

「羅刹!お前のロマンを受け取らせてもらったぞ!」

私はそう叫んで準備を開始した。

私の構えを見て嫌な予感でもしたのだろうか。

動いていない私に追撃は仕掛けてこないようだ。

「人の数だけ、ロマンがあると思わないか?」

私はそう問いかけて足に込めていた力を一気に開放した。

力の進行方向にも気を遣って自身の出せる最高速度を叩き出した。

そしてそのまま接近して私のロマンをぶつけた。

「ロマン砲」

殴った瞬間にかなりの反動がきたため回転運動を発生させて軽減した。

しかしおかしい。

いくら私のロマン砲とはいえどここまでの反動はないはずだ。

となるとあの一瞬で防御系統の呪文を使用したと考えるのが妥当か。

着地後すぐに間合いをとって羅刹をみた。

「本当に貴方は面白い方ですね。随分と久しぶりに使わせてもらいましたよ。私の最大のロマンを」

少しよく見るとほぼ透明なシールドのようなものがあった。

「それが羅刹の最大のロマン技か?」

私は絶対に回答してくると踏んで聞いた。

「ええ、そうですよ。私の今までの人生に経験に思いを載せた最高のシールドですよ。貴方は勝てますか?」

羅刹がそう答えてくれて私は笑わずにはいられなかった。

「はは、はははは、あーっははははははははははは」

羅刹は不思議そうに首を傾げて来た。

まあその理由は分からんでもない。

現在私の命がけの拳でも破壊は不可であろう。

現在の私では、だ!

「いつの世界ぶりだ?こんなに最高の相手が来てくれるなんて。これは羅刹に敬意をはらって見せてやらねばならないな。私…いや俺のロマンを!!!」

急な変容ぶりに困惑しているようだが俺は気にしない。

「この拳にっ、命をかけろっっっ!!!!」

先程とは格が違う速度で俺が突撃してその動作中に普段よりも更に腕が爆発するかと思うような力を圧縮して羅刹のロマンに触れた瞬間に放出した。

バキーン ズドーン

もはやシールドだけでは減速しきれず羅刹をぶん殴って壁に突撃してようやく止まることができた。

「私のロマンの勝利だーー!!!!!!!」

もう人格を解除して私はそう叫んだ。

「貴方のロマン、とても、響きました」

そう言って羅刹は気を失った。

しかしよくしゃべれたものだ。

私の本気で決めたのに生きている奴がここにもいるなんて私は嬉しくて仕方がないよ。

だってそこまで言ってようやく本当に語り合えるというものだからな。

私はとりあえず羅刹が起きるまで待つことにした。

こんにちは雪梛です。

昨日は更新できず申し訳ないです。

まあ言い訳としましては学校が無さすぎたというわけなのですが...

まあこっから頑張りたいのでよろしくお願いします。

ではまた次回お会いしましょう!

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