ちっ、まじ…か…よ…
「ここまで…長かったな」
「いや描写していないからって変なセリフから開始しないでくださいよ…」
私たちは今魔王城の前にいるぜ。
なんか門番らしき魔物がいたから瞬殺してきだがな。
しかしここはラスボスがいる城だ。
慎重に行こうではないか。
「じゃあ正面から入りましょうか。そこしか道がないのでね」
どうやら羅刹は城内図が頭に入っているらしい。
というかその時代から今までどうやって生きてきたのだろうか。
不死的な何かがあれば既に魔王を殺していそうな気がするが。
まあ気にしても仕方がない。
羅刹の後ろについていこうではないか。
そうして城に入った瞬間に入り口の扉が閉まってしまった。
「まあ予定調和ってやつかな。気にせず行こうぜ!」
「貴方はもう少し気にした方がいいと思いますけどね」
その瞬間に正面から魔物がそれなりの数やってきた。
「ナックル!やっておしまい!」
「なんか裏で指示しているお偉いさんみたいで面白いですね」
ナックルは私からの指示が入ると正面のみにブレスを吹いた。
ブオォォォ
きっちり調整がされていたため私たちの方には帰ってこなかったようだ。
「よくやったぞ!さあ先へ行こうではないか」
「待ちなさい!」
何者かに止められた瞬間に私たちは転移されたようだ。
出口も何もないことから相手を殺すかこちらが転移するしかないようだ。
「私の名前は破雪だ!お前の名前を教えてくれないか?」
気配は感じるものの姿は見えないようだ。
「案外しっかりしているのね」
その瞬間に私たちの前に出てきてくれたようだ。
「私は魔王軍の四天王よ。ここで貴方たちを殺すためにきたわ」
「わざわざご説明ありがとう。しかし最初に出てきていいのか?負けたりでもしたら他のやつに“ふっふっふ、やつは四天王の中でも最弱”とか言われるぞ」
どうやら最弱という言葉に反応したらしい。
「誰が最弱ですって!もういいわ本気でいくわよ!」
こんな安すぎるもはや挑発とも言えないレベルの内容に反応するとはな。
本当はもう少し会話を楽しみたかったが仕方がない。
ここからは対話のお時間だ!
相手はどうやら大きい熱球体を生成し始めていた。
生成中に殺害しようかとも思ったのだが案外これが隙がないようだ。
「焼き尽くせ!デスファイア!」
手をゆっくり下ろすとそれに合わせて遅めに熱球体が落ちてきた。
「上から来るぞ気をつけろ!」
「言ってる場合ですか。じゃあおねがいしますよ」
相棒にお願いされちゃあやるしかない。
私の手にシールドが装着されたことを確認すると圧縮を開始した。
「ロマン勝負っていうのは思いの強さで決まるんだぜ?」
思いっきり踏み込んでタイミングを測りきっちり合わせた瞬間に解放した。
「ロマン砲っ!」
スパーン
気持ちいい音を鳴らしながら先程の落下速度とは比べ物にならない速度で四天王に吹っ飛んでいった。
流石に予想外だったのか慌てて氷壁を生成していたが無駄だったようだ。
「キャー!」
甲高い悲鳴をあげて直撃したかと思うと空間が戻ってしまった。
「相変わらずの規格外ですね。まあ最悪の場合は私が転移魔法使えましたけどね」
やっぱり予想通りで使えるらしい。
本人はシールドに全てをかけているが案外魔法の方もかなり好きなのかもしれないな。
まあ一旦は攻略が先だ!
どんどん進んでいってほしいところだぜ。
どうやらこの城にも階段があるようだ。
登っていくと今度はとうせんぼかの如く待ち構えているようだ。
「ふっふっふ、よくぞあやつを倒せたな」
ついにあのセリフを聞くことができるぞ!
「だがしかし、やつは四天王の中でも最強だった。気合いを入れて実力差を巻き返すよ!」
「私はサポートやくでーす。お手柔らかに」
「なんでやねん!」
これは流石に予想外の展開だった。
まさか最弱の逆だったとはな…
ま、まあいいだろ。
それになんだか相手の顔が引き攣っているように見えるが気のせいだろうか。
「あら、お久しぶりですね。死にたくなければ退きなさい」
「そうしたいのは山々だけど、立場上引けないんだよーー!!」
本音をぶちまけながらそこそこの速度で距離を詰めてきた。
しかし距離感が予想されていたかのように綺麗に羅刹が炎を相手の目前に生成した。
「魔王には奮闘していたって言っておきますよ?」
「ありがてぇありがてぇ」
そんな感んじで次出てきた四天王すらもスルーできてしまった。
さあようやく魔王がいそうないかにもな扉の前に出てきた。
「さあいきますよ。彼女は昔めちゃめちゃ尖っていましたので入ると直後に受け体勢を取っていた方がいいですよ」
「わかったぜ!いくぞ相棒!」
私は扉をぶん殴って開いた。
その瞬間になんとも言えない不思議な気配を感じ取った。
「随分と騒がしい方達ですねー」
流石の羅刹もこれには驚いたようだ。
「初めまして。私は羅刹と申します。そしてこの相棒が破雪、古龍のナックルです。貴方の名前を聞いてもよろしいでしょうか」
不覚にも二人はにやけながら返答を待っている。
「これはこれはご丁寧にありがとうございますー。私の名前は、美雪と申しますー。ところでー、あなた方は何をしにきたのでしょうかー?」
まあ私には大体予想がついてしまったぞ。
この美雪というやつの裏がな。
「もちろんお前を殺しにきたぜー!って感じじゃなく。戦いにきたんだよ」
「ふふ、随分と面白い方ですねー。私以外にもいたのですねー」
これにより答え合わせが完了してしまったようだ。
羅刹も意味を把握して少しだけ冷や汗をかいているようだ。
「ではお望み通り…バトルといこうやないか」
その瞬間に美雪が纏っていた雰囲気というかオーラが一気に変わった。
私たちは臨戦体勢に入りつつも羅刹を下がらせた。
「多対一は好まんのやな。まあええわ。あんたも解放した方がええで。出ないと瞬殺や」
「そうだね…久しぶりの死合いだ。あんたはどうかわからないが俺は楽しませてもらうぞ!」
その瞬間に俺は動作を開始した。
出し惜しみは無しだ!
前の雪梛から学んだ魔力展開をしてから遠方と近接に氷球体を生成して力を圧縮開始。
その瞬間に美雪から魔力が流れたかと思うと既に氷が全て破壊されてしまった。
圧倒的な空間把握能力と出力制御能力だ。
仕方ないから俺は圧縮が完了した瞬間に自身の踏み込みと氷と炎の同出力融合による対エネルギー爆発、更に展開した魔力による進行方向補助を利用して今までの最速を出して一発叩き込んだ。
「素晴らしい威力や。しかしまだ少し届かへんな」
それを聞いた瞬間に勝機を感じた。
俺はカウンターの警戒をしながら距離を取っていつものやつを叫んでやった。
「お前のロマンを、みせてみろーー!!」
その瞬間に猛烈な殺気を感じ取ることができた。
「へへ、まさかあんたも狂信者とはな。私のロマンを受け切ってみーや!」
美雪は光と闇を除いた小さめの全属性の超高密度球体を同時に生成してそれらを手の上で超高速回転させながら融合させていきものすごい光を発しながらこちらに接近してきた。
「羅刹!」
「ええもちろん」
手には事前に準備していたかのような剛性のシールドが装着されてニッと笑い圧縮をした。
「光という波長すらも、ロマンは捉えられるんだぜ?」
美雪の他属性球体が私の拳と触れる瞬間を瞬時に計算で弾き出してタイミングを合わせて解放した。
「ロマン砲っ!」
「フルブレイカァァァ!!!」
ぶつかった瞬間にその場所を起点にして大爆発が起こった。
ドカーーーーーーン!!!!!!
羅刹はギリギリ踏ん張って美雪はほとんど自ら背後に吹っ飛んで衝撃の緩和を行った。
一方の俺は全身の筋繊維がボコボコになりながらも前から習得したかった技をぶっつけで使用した。
技名は衝撃透過だ。
詳しい解説はプロに任せるからまた今度だ。
「これは驚きやな。私のロマンを動かずに受け切るとはな。じゃあ今度はお前さんの番だ。私に撃ってみいや!」
「無論だ!いくぜーーー!!!」
俺は体内に魔力を充満させて怪我を一時的に無効化しつつ、更に力と魔力を圧縮させて身体をぶっ壊す覚悟で準備をした。
腕が少し膨張していたがまあなんとかなるだろう。
今回は足に力は入れない。
ゆったりと歩きながら美雪に近づいていき一足一刀の間合いまできた。
「さあやってみいや。私の無効を破壊できるかな?」
「はは、いけるさ。なにせ俺のロマンは無限大だからなぁ!」
踏み込みはせずに身体を半身にして右腕を後ろに一直線に伸ばして四箇所に集中し始めた。
「この拳にぃ、命をかけろぉぉぉ!!!」
右半身の膝、肩、肘、手首で同時に反射反応を起こして決めにいくぞ!
「プレスボム!」
美雪の腹部に直撃してその瞬間に美雪が吹っ飛んでいった。
これは…どうだ?
正直キツすぎて気力のみで立っていると煙の中から人影が歩いてきた。
「その無効破壊のレベルで、まさかここまでの、ダメージを与えられるとは。正直言って甘く見ていました」
ちっ、これでもまだ血反吐をちょっと吐くぐらいかよ。
久々の長続きした人生も一旦はここまでのようだ。
ぶっ倒れる直前に美雪が生成した高密度の極小氷に胸を貫かれて終了だ。
まあ予想通りだな。
というわけでここからは羅刹にパスといこうじゃないか。
こんにちは雪梛です。
ついに私はテストが始まってしまってすでにストック頼りの更新です。
書いてること自体は楽しいですが多趣味なため時間が取れずに書けないという感じですね。
まあ私の負担にならない程度に更新していきますね。
ではまた次回お会いしましょう!