歓迎会の終わり
どうもシファニーです! 今週も終わりましたよ! 休日です! ちなみに2月は残り1週間!
「じゃあな。また月曜」
「おっす博人じゃーね」
「今度はバドやるからね! 今日の仕返し!」
「うげ、遠慮しとく」
そして、残ったのはいつものメンバーだった。
いつものメンバー、と言うのは俺、愛可、奈央、美鈴、飛竜のこと。プラスアルファ猫弧も一応いる。ただ、遊び疲れたのか眠そうだし、そうなってしまえば借りてきた猫状態なのでいないも同然だ。
けれど、そんなメンバーも少しずつ解散していく。
「んじゃ、私と美鈴はそろそろ帰るね」
「ひーちゃんはどうする?」
「私は、迎え」
「そっかそっか。それじゃあみんなまたね」
「See you againデス!」
クスタフとトモカが片付けに勤しむ中、残った俺たちはダイニングテーブルを囲んで残ったお菓子やジュースを味わっていた。
ただ、俺も愛可も喋り出せずにいる。と言うのも、飛竜と何を喋ったらいいのかが分からないのだ。
飛竜は飛竜で気にした素振りも無くジュースをちびちび飲んでいて、気まずい感じではないが静かな時間が流れていく。
「……そ、そう言えば、ひーちゃんの衣装、カワイイデス!」
「馬子衣裳、ってやつ?」
「What?」
「え、えっと、謙遜してるんだと思うぞ」
いよいよことわざを省略しだした。
愛可が喋りかけたはいいが勢いを削がれて撃沈。再び沈黙が訪れようとして、飛竜が時計を見て、顔を上げた。
「あ、帰宅時間、私もお暇、するね?」
「O,oh、そうデスか? お見送りするデス」
「ううん、ここでいい」
立ち上がろうとした愛可に手を出し、飛竜は向き直る。
両手を足の前で重ね、背筋を正した。
おお、なんか洗練されている気がする。礼儀作法なんてものはまったく分からないが、その姿勢を取った飛竜はおしとやかで可憐に見えた。
「それじゃあ、愛可。これから、竜虎相博、これからも一緒に、ね?」
「Hoh? りゅう……ワタシは虎デス?」
「えっと、高め合う、みたいな意味?」
正確には競い合うみたいな意味だった気がするけど、きっとそんな所だろう。
「Oh! Yes! 一緒に頑張って行くデス!」
「うん。それじゃ、またね。友倉泰河、も」
「ん? ああ、またな」
言うと、飛竜は小さく手を振りながら去って行った。
これで、残るは俺と猫弧だけ。
そろそろ空も暗くなってきて、俺らも帰る時間になった。
「じゃ、俺らもそろそろ帰るかな。猫弧が眠そうだし」
「そ、そんなことない。別にこれくらい……」
「いいから帰るぞ。遅くまでいても迷惑だからな」
「まあ、それは賛成だけど。……それじゃあ愛可さん、今日はありがとうございました」
「Any time! いつでも来てくださいデス!」
「はい。また来ますね」
玄関向かい、靴を履く。
見送ってくれるらしい愛可に振り返り、お別れの挨拶をすることにした。
「じゃあな愛可、また学校で」
「Yes! またデス!」
「ああ」
振り返る。猫弧が愛可に会釈し、扉を開くところだった。それに続いて外に出ようとして、声がかかった。
「Wait! タイガ、忘れ物デス!」
「え? 俺、何も持ってきてな――」
振り返った時、愛可の顔が迫ってきていた。それこそ触れ合う距離に。
そして優しい感触が広がった。
ほっぺに添えられた柔らかいものは、ほんの一瞬触れたあと、小さな息遣いと共に距離を取る。
突然のことに目を白黒させる俺に、愛可は笑顔を浮かべてこう言った。
「I love you タイガ!」