恋煩い
どうもシファニーです! 昨日はチョコゼロでしたがゼリーとプリンを食べました。美味しかったです。
授業中、どうしても愛可のことが気になってしまう。
横目で伺うと、時々目が合う。とっさに目を逸らし、顔が熱くなるを繰り返す。
席が後ろの方だから何も指摘されていないが、最前列だったら先生に注意されていることだろう。
しかし、どうしてこうも愛可に視線を向けてしまうのだろうか。
顔が気になる。髪が気になる。目が気になる。指が気になる
もっとよく見て、知りたいと思ってしまう。好奇心とも違う何かが俺を奮い立てる。視線を向けたくて仕方なくなる。
有名芸能人がいる、くらい目が引かれる。
板書なんてまったく手につかないし、先生の話だって右から左に抜けて行く。
授業が終わってノートを見ればよく分からない落書きみたいになってる。どうやら俺は本当に愛可にご執心らしい。そんなに見よう見よう、と思っているわけではないはずなのに、気付けば横を向いている。自分でも怖いくらいだ。
どうしちまったんだろうか。これが恋煩いってやつか?
だとしたらどうにかして治さなければいけない。何かこのままだとどんどん駄目になっていく気がする。
そんなことを思いつつ、結局止められないまま昼休み。
ついにあの時間が来てしまった。
「……」
「……」
「……」
「……」
互いに見つめ合う時間が続く。
愛可は、両手にお弁当を持っている。俺たちは今、何か高度な読み合いをしているようで、どちらも何も言い出せないでいるだけだった。たぶん。愛可も俺と同じならそうだと思う。
さてどうしたものか。このままだとどちらもご飯を食べられないまま昼休みが終わってしまうことになる。
まあさっきまで目を合わせた瞬間に逸らしていたからこうして見つめ合っているだけの時間も割と悪くないのかもしれない。
ではなく。
ここは、男である甲斐性を見せるべきだろう。
「なあ愛――」
「トモク――」
「「……」」
……被った……。
気まずい時間に戻る。これどうするんだ。
今度こそどちらから話すかの高度な読み合いが発生している。たぶん。
しかしこのままじゃ八百長だ被ったとしても言い切ってやる。
「なあ愛可、そのお弁当貰ってもいいか?」
「はい、どうぞデス」
「ありがとうな」
……なんか、凄い淡々としたやり取りでお弁当を受け取ってしまった。
だが、一応第1任務は達成だ。一先ずご飯を食べることに――
「っ!?!?!?!?!?!?」
頭の上にビックリマークとハテナマークが大量に浮かんだことだろう。開いたお弁当はオムライスだった。それだけならここまで驚かない、最初のお弁当はオムライスだったからな。
だが、その上にケチャップで書かれた文字が問題だ。
『I love you♡』
横を見る。
目を逸らされる。ただ、耳だけ見てても分かるくらい真っ赤だ。
朝一番にこれをテンション高めに作っている愛可の姿が脳内に浮かんで嬉しくなると同時に、俺まで恥ずかしくなってきた。
というか食べるのがもったいない。え、どうしよう。とりあえず写真でも――
とスマホを取り出し、シャッターを押そうとしたタイミングで左手を掴まれる。
見てみると、愛可が顔を真っ赤にしてぶんぶんと顔を横に振っていた。
……。
パシャっ
「っ!?!?!?!?」
今度は愛可が目を見開いて驚きの表情を浮かべていた。
俺は嬉しかった。