驚きの発言
どうもシファニーです! なんか最近どんどん更新が遅く……。で、でもしてます!
愛可の驚きの発言は、しかし思い返してみれば何ら不思議なことは無かった。
出会った当日、そう言われていたのだから。
それをすっかり失念していた俺は、バッチリ驚いてしまったわけだが。
「Hoh? 忘れたデス?」
「……思い出した」
「Oh! 良かったデス! なので、ごめんデス!」
なんて愛可は嬉しそうに笑っているが、俺にしてみればそれどころではなかった。
クラスの上位カースト連中に、俺と愛可がデートをするらしいと広まった。この事から連想される嫌な未来は無数に存在する。俺が金で愛可を買ったんじゃないかとか、家族を人質に取ったんじゃないかとか、弱みを握ってるんじゃないかとか。どんだけ俺はろくでもないやつだと思われてんだよ。
……あ、ただの被害妄想だったわ。
「デートって、お前ら、付き合ってるのか? おいおい、冗談だろ?」
どこか引きつった笑みを浮かべて博人は言う。付き合っていたら冗談とか失礼なやつだ。まあ付き合ってはいないのだが。
「Hoh? デートは付き合ってからしかしないんデス?」
「は? いやまあ、そりゃ……」
「そうなんデス?」
愛可がこちらを向いてくる。
しかしなるほど、博人はアメリカの文化には詳しくないらしい。いや俺もニワカもいいところなんだけど。
アメリカではお試し感覚でデートすることが多いらしいから、確かに日本の常識とは違っているかもしれない。
普段賢いやつに知識で勝つとこんなにも清々しい気持ちなんだな。
俺は今、先程までの動揺や混乱などどこへやら。爽やかな気持ちになっていた。失礼なやつだし、心の中で笑うくらいは良いだろう。
「日本ではそうだな。でもアメリカではそうじゃないんだろ? まあ知らなくたって仕方ないよな、文化の違いだし」
「Yes。アメリカでは、Loverじゃなくてもデートするデス」
「へ、へぇ、そうなんだな……で、でも、気になるからとか、なんだろ?」
「Mmmm~、まあ、そうデス?」
「ってことは愛可、まさかこいつに気があるのか?」
とうとうこいつ呼びしやがった。名前は覚えられていなかったみたいだから分からなくはないが、悪意が込められていたような気がする。
しかしカースト上位も本当の顔は厭味ったらしいお子様だったか。なんでも真っすぐ頑張るやつだと思っていたが、この評価は考え直した方が良さそうだ。
しかし、その言葉は鋭い。こういう時、なんと返していいのか俺には答えが分からない。こういう聞かれ方をすると、何と聞かれても揶揄われる原因になって――
「あったらいけないデス?」
「「……え?」」
俺と博人の声が重なった。
「ワタシが誰に興味あってもあなたには関係ないはずデス」
「え、いや、そりゃそうだけど……お、俺の方がよくないか? ほら、勉強もできるし運動だって――」
「どうでもいいデス」
「っ!?!?!?」
どうやら愛可の発言が相当効いたらしい。博人は驚きの表情を浮かべて固まり、動けなくなっていた。
まったく予想外だったのか、その驚き要は思わず笑ってしまいそうなほどだ。
もう、誰にどう思われるとかどうでもよくなってきてしまった。