不調
どうもシファニーです! 今日起きたら12時だったんですよね。朝起きて、昼が過ぎてて、寝正月。シファを
翌朝。正直気不味いと思いながら登校する。
猫弧はあんなことを言っていたが、やっぱり俺は愛可に同行してもらうつもりはない。むしろ、やっぱり距離を取るべきなんじゃないかと思う。
そうは言っても何かいい案があるわけでもなく、どうすればいいかと悩みながら教室へ。どうやら先についていたらしい愛可は、奈央たちに囲まれていた。
これなら話しかけられることも無いだろうと特に気にしない様子を装って席に着く。
正直ここ最近の俺のメンタルはどうにもズタボロだ。
愛可と出会う前から調子が悪かったような気がするが、会ってからはさらに落ち込む一方だ。昨日一昨日とどんどん沈んでいく気持ちに、俺の体も引っ張られている。そう考えるとこの前の遅刻もそのせいなんじゃないかと考えそうになり、いや、あれは寝不足の成果と自虐に思わず笑みを零す。
すると、その小さな笑い声で気付いたのか、隣で何かが動く気配がした。
「Oh! タイガ! Good mornig!」
「泰河おはよー」
「おはよっ!」
「一路順風、今日もよろしく」
愛可の挨拶から始まり、奈央、美鈴、飛竜がそんなことを言ってくる。
なんとなく予感していたのが半分、他の3人からもこんな風に思っていなかったのが半分。
予想外と予想内の狭間でどう反応して良いか悩みながらも、何とか挨拶を絞り出す。
「お、おはよう……」
「昨日は大丈夫だったデス?」
「そーそー! 具合悪かったんでしょ?」
「あー……」
そう言えば昨日隊長ふりょぷを言い訳にして帰ったんだっけ。具合悪いのは本当だけど、どっちかって言うとメンタルのことだったんだよなぁ。ここも、ちょっと誤魔化すしかないか。
「一応、大丈夫。こうして学校来れてるし」
「それはよかったデス!」
「心配して損した!」
「千秋万歳、元気はいいこと」
「心配かけたらすみません」
なんとなくそう返して、前を向く。
いつまでも4人の話を邪魔しては良くないだろう。
そう思ってのことだったのだが、隣から何やら見つめてくるような気配を感じる。
数秒で耐えられなくなってそちらを向くと、愛可のみならず他の3人もこちらを見ていた。
「な、なにか?」
「やっぱり具合悪いデス?」
「泰河なんかテンション低いよね」
「マジ駄目そうならちゃんと休んだほうがいいよ!」
「無理大敵。保健室、行く?」
「あ、いや、その……」
素っ気ない態度を体調不良を受け取られてしまったらしい。4人分の心配を受けて、居たたまれなくなる。俺はただ、自分の不甲斐なさが嫌で距離を取ろうとしているだけ。それなのにこんな風に迷惑かけて、どんどん申し訳なさが膨らんでいた。
「ほ、本当に大丈夫だから! 全然、まったく、これっぽっちも問題ない!」
「Mmmmm……それなら、いいデス。でも、駄目だと思ったら、言って欲しいデス」
「わ、分かった、そうするよ……えっと、ありがとう?」
ごめんと謝るべきなのかと迷ったが、気遣いへのお礼としてそう言った。
愛可はそれで納得したのか諦めたのか、不満そうに頬を膨らませながらも、俺から視線を外してくれた。
胸をなでおろして一呼吸。ようやく解放されたことに安堵する。
それと同時、少しだけ体が熱くなるような気がした。
どうしたんだろうと心の中に意識を向ける。どこか乱れた呼吸と心拍、汗ばむ手、気怠い体。
何かおかしいと思って顔を上げると、視界がどこか歪んで見えた。淡いカーテンが引かれたような、もやもやとした視界。頭も何故か揺れていて、やがて支えきれないように重くなる。
「あ、れ……?」
気付いた時には頭が机の上に落ちていた。どうしたんだろう、何があったんだろうと考えるほど、意識がの遠のいていくというか、薄れていくのが分かった。微睡み、眠りに近づいていくのが分かった。
そんなはっきりとしない意識の中で、最後に昨日も聞いたような叫びを聞いた。
「トモクラ!」